IEEE1394でネットワーク構築

 2台のPCの間でファイルのやり取りをしたいのですが,イーサネットを使わずにIEEE1394で構築することは可能なのでしょうか。



 Windows MeとWindows XPでは,IEEE1394インタフェースをネットワークアダプタとして使用できる「IP over IEEE1394」が標準でサポートされています。接続する双方のPCにIEEE1394インタフェースが装備されていれば,IEEE1394ケーブルを用意するだけで手軽にネットワーク構築が可能です。ただし,IEEE1394のケーブル長は最大で4.5mまでとなっているので,大規模なLANには向きませんが,データのバックアップやちょっとしたファイルの共有などには役立つでしょう。また,省スペースPCでもIEEE1394があれば,PCIスロットを占有せずに済むので,この方法が有効といえます。
 実際の手順としては,ネットワークを構築する2台のPCをIEEE1394ケーブルで接続してから,マシンを起動すると,Windows 98以降のOSではAPIPA(Automatic Private IP Addressing)により,「169.254.0.1」から「169.254.255.254」の間で適当なIPアドレスが自動的に割り当てられます。あとはイーサネットなどのネットワークと同様に,ワークグループ名と任意のファイルの共有を設定するだけです。
 設定が済むと通信速度400Mbpsで接続が確立されますが,実際の速度はPCの構成や使用環境よって変わってきます。しかし,10BASE-Tよりもはるかに高速な実効速度30〜60Mbpsで通信ができます。また,IEEE1394ケーブルは6ピンと4ピンの仕様がありますが,LANケーブルと違って,クロス/ストレートといった区別はありません。
 ただし,Windows 98/2000ではIP over IEEE1394をサポートしていませんので,これらのOSでIEEE1394ネットワークを構築したければ,「FireNet」(入手先:http://www.unibrain.com/
products/ieee-1394/firenet.htm)というソフトなどを使わなければなりません。もちろん,このソフトを使う場合は,通信を行う双方のPCにインストールしておく必要があります。(吉村剛彦)


 IEEE1394インタフェースにケーブルを接続すると,APIPA機能により自動的にIPアドレスが割り当てられるので,簡単にネットワークが構築できる


 IEEE1394インタフェースを備えたノートPC(Crusoe/633MHz,Windows Me搭載)とデスクトップPC(Pentium 4/2A GHz,Windows XP搭載)の間で相互に100MBのファイルを転送したテストの結果。ただし,PCの性能の違いで転送速度が変わってくる