コンパクトフラッシュやメモリの寿命を判断したい

 コンパクトフラッシュ(以下CF)の説明書には寿命が書かれていますが,寿命を迎えたCFはどのような症状が出るのですか?

メモリや電源が寿命を迎える前に,判断できる方法はないでしょうか?



 CFなどに使われているフラッシュメモリは書き換え回数に上限があります。フラッシュメモリは1個のメモリセルに1ビットを記憶する素子ですが,電源を切ってもデータを消えなくするために,フローティングゲートという特殊なゲートを持つ半導体素子を用います。フローティングゲートはコントロールゲートを介して電子を充填したり,電子を抜き取ったりできるゲートで,電子の有無によりデータの記録が行える仕組みです。電源を切ってもフローティングゲートに充填した電子は抜けませんが,電子の充填,抜き出しを繰り返すと劣化し,使えなります。
 フラッシュメモリにはNAND型とNOR型の2種類があり,前者はブロック単位(一定のデータ量単位)でデータの書き換えが可能,後者は1バイト単位でも書き換えができるという違いがあります。いずれの場合も,書き換えの回数が限界に達した部分が壊れ,書き込みができなくなるという症状を起こすことが多いようです。データを書き込もうとしたらエラーになった,というような場合がCFの寿命かもしれません。
 メモリに関しては,ECC(Error Collection Code)付きのメモリであればエラー頻度の統計情報を取り出すことができ,故障が近づいたことをある程度までなら判定できます。ECC付きのメモリは,データを読み出すときにECCデータとデータ本体を比較し,異なっていればエラーを修正しますから,エラーが起こる頻度が分かるわけです。エラーが頻発しているモジュールは,いずれ故障する可能性がありますから取り替えるべきです。
 ちなみにHDDに関しては,現行のHDDは大半が拡張S.M.A.
R.T.(Self-Monitoring Analysis and Reporting Technology)に対応していますから,その機能を利用すれば故障が近づいたかどうかが判断できます。拡張S.M.A.R.T.機能とは,HDD内部でデータのエラー率などを監視する機能で,エラーが一定以上に増えると「故障が近い」と判断してユーザーに伝える仕組みになっています。もちろん,拡張S.M.A.R.T.も完璧ではありませんから,突然故障にいたるケースもあります。一般に,S.M.A.R.T.が予測できる故障は6〜7割程度といわれているようです。
 なお,S.M.A.R.T.の機能を使うには,BIOS設定でS.M.A.R.T.を有効(Enabled)にしておかなければなりません(有効にしておくと,故障が近づいたらBIOSが警告してくれるようになります)。
 電源に関しては,HDDのS.M.A.R.T.に相当する機能があるという話を筆者は聞いたことがありません。また,そのほかの部位に関してもS.M.A.R.Tに相当する機能は残念ながらないようです。
 参考までに,PCサーバーのハイエンド機では,各部ハードウェアモニタリング機能を備えていたり,ホットスワップ化(電源をオンにしたまま交換できる)を可能にしたりしている機種が多くあります。この種のPCであれば専用ソフトで故障の可能性を調べたり,事前にスワップして停止を防ぐことができます。理想的なマシンといえますが,個人のPCでそこまでやるのはコスト的に引き合わないでしょう。 (米田 聡)



どんなメディアでも書き換え回数には上限がある(写真はアイ・オー・データ機器「CFS-256MA」,実勢価格:2万円前後,(問)TEL:03-4288-1039)