HDDから発する熱を抑える

 RAIDを導入し,HDDを4台つなげてケースに設置しようと思っています。電源容量などのスペック,設置スペースに問題はないのですが,ほかに注意しなければならないことがあったら教えてください。



 CPUほどではありませんが,HDDからも熱が発生します。PCケース内に複数台のHDDを搭載すれば,当然熱の問題も考えなければなりません。RAIDなどで複数のHDDを設置する場合は,とくに熱に対する配慮が必要です。
 RAIDでは,普通にIDEなどで複数台のHDDを搭載する場合に比べてHDDの稼働率が高くなります。もちろん,その結果発生する熱量も増えてきます。高速回転のHDDを使えばなおさらです。PCケースによっては,HDDを設置するシャドウベイがエアフローを妨げていることもあります。
 HDDには動作保証温度が設定されており,この温度内で駆動させなければなりません。HDDが壊れてしまうと,保存されていたデータが消失してしまう可能性も考えられます。そこまでいかなくても,CPUクーラーの排熱効率が悪くなるなど,ハングアップの原因にもなりかねません。できればHDDから発する熱をうまく処理しておきたいところです。
 HDDの熱処理において注意するポイントは三つ挙げられます。まず,HDD間にスペースを空けて,空気が流れやすいように設置することです。通常のPCケースの場合,3.5インチベイはHDD間のスペースがあまりとられていません。市販のHDD増設用ステイを使って,空気が流れるスペースをできるだけ確保しておきましょう。ステイを取り付けるスペースがない場合には,変換マウンタを使ってあえて5インチベイに発熱量の高い3.5インチHDDを取り付けるのも有効な手段といえます。ケースファンやHDDファンを使って,HDDの周りに温まった空気がたまらないようにします。HDDの増設台数が多い場合には,スムースなエアフローを作るため,スマートケーブルを使うのも一策です。
 また,PCケース内にHDDをめいっぱい増設してしまうと,ケースファンだけでは,熱を処理できない場合も考えられます。ケースファンを増設したり,性能の高いファンに交換しておきましょう。もし,電源ファンだけという環境であったなら,ケースファンを取り付けることをお勧めします。 (吉村剛彦)



ジャスティ(http://www.justy.co.jp/)のHDDクーラー「DHC-06BL」。回転数5000rpmの50mmファンを2個装備している。価格はオープンプライス

主なHDDの動作保証温度
インタフェース メーカー名 製品名(シリーズ名) 動作保証温度
IDE Maxtor DiamondMax D540X 5〜55℃
DiamondMax Plus D740X 5〜55℃
IBM Desksta 5〜55℃
Seagate Barracuda ATA III 0〜55℃
Barracuda ATA 4 0〜60℃
Barracuda ATA 5 0〜60℃
U Series 0〜60℃
Western Digital WD Caviar 5〜55℃
SCSI Maxtor Atlas 10K II 5〜50℃
Atlas 10K III 5〜55℃
Atlas 10K 5 5〜55℃
IBM Ultrastar 5〜55℃
Seagate Barracuda 180 5〜50℃
Barracuda 36ES2 5〜55℃
Cheetah 5〜55℃

温度の上限は50〜60℃と,HDDによって10℃もの開きがある。RAIDを組む目的でHDDを購入する場合,動作保証温度も参考にしてほしい

HDDにおける熱対策のポイント
(1)HDDの設置密度を下げる (2)HDDの周りにエアフローを作る (3)ケース外への排気を十分に行う