2. 基本操作
2.1. インストール
インストールは次の手順で行います。
- 始めにホストアプリケーション(Cubase、Logicなど)が実行中でないことを確認し、もし実行中の場合は終了させておきます。
- 次にExcitonプラグインファイル(Macintosh版はExciton、Windows版はExciton.dll)をホストアプリケーションのVstpluginsフォルダにコピーすればインストールは完了です。
なお複数のホストアプリケーションをお持ちの場合はそれぞれのVstpluginsフォルダにExcitonプラグインファイルをコピーして下さい。
インストールが終わったらホストアプリケーションを起動し、プラグインの設定を行います。プラグインの設定については各ホストアプリケーションのマニュアルを参照してください。
Macintosh上で旧バージョン(1.0)のデモ版(Exciton Demo)を使用している場合はまず旧ファイルExciton DemoをVstpluginsフォルダから取り除いてください。現在のバージョンのEcxitonと旧デモ版のExciton Demoを共存させることはできません。両方が同一フォルダ内にあると正しく動作しなくなる場合があります。
(Macintosh版Cubase VST 5.1での注意)
Macintosh版Cubase VST 5.1上で旧バージョン(デモ版を含む)からバージョン変更を行う場合は次の手順で行ってください。
- Cubaseが起動していない状態で、旧バージョンのExcitonプラグインファイル(またはExciton Demoファイル)をVstpluginsフォルダから取り除く
- Vstpluginsフォルダ内にExciton関係のファイルが入っていない状態で一回Cubaseを起動する
- Cubaseを終了させてから新しいバージョンのExcitonプラグインファイルをVstpluginsフォルダにコピーする
この手順を用いず単に上書きするとVST Instrumentsパネル上でExcitonを選択した時Rewireのライブラリルーチン上でベリファイエラーを起こしMacintoshが制御不能になる場合があります。
最初にExcitonを起動したときの状態は試用モードで、いくつか機能上の制限があります。製品を購入された方にはオーソライズ用のパスワードが発行されます。パスワードを入力することにより機能制限が解除され、Excitonを100%フル活用できるようになります。具体的な方法については2.10. Excitonのオーソライズをご覧下さい。
2.2. 各部の名称
- 1. プログラムセレクター
- プログラム番号を選択します。
- 2. コピー/ペースト/メニューボタン
- プログラムのコピー/ペースト及びメニュー選択を行います。
- 3. プログラム名
- プログラム名が表示されます。マウスクリックすると編集できます。
- 4. インフォメーション
- 変更中のパラメーター値やその他の情報が表示されます。
- 5. メインセクション
- 全体の設定を行います。
- 6. OSC1セクション
- 音声信号を発生します。
- 7. OSC2セクション
- 音声信号を発生します。OSC1と機能は全く同じです。
- 8. MIXERセクション
- OSC1/OSC1の出力信号ととノイズ信号をミックスしてフィルターに送ります。
- 9. FILTERセクション
- MIXERでミックスした信号にフィルター処理を行います。
- 10. AMPLIFIERセクション
- フィルターの出力に強度変化を与えます。
- 11. ENV1セクション
- エンベロープ信号を発生します。
- 12. ENV2セクション
- エンベロープ信号を発生します。ENV1と機能は全く同じです。
- 13. LFO1/2セクション
- LFO信号を発生します。1/2の2系統があり、機能は同じです。
- 14. EFFECTセクション
- AMPLIFIERの出力に最終処理としてエフェクト処理を行います。
2.3. プログラムの選択
Excitonにはあらかじめ128個のプログラム(音色)が内蔵されています。プログラムの選択はプログラム番号の下にある4つのボタンで行います。で次のプログラム、
で1つ前のプログラムに移動します。また
で10番先のプログラム、
で10番前に移動します。
プログラム番号はホストアプリケーション側からも設定できます。ホストアプリケーション側からの設定方法は使用するホストアプリケーションのマニュアルを参照して下さい。
プログラムセレクターでプログラムを選択した場合、ホストアプリケーション側の表示は変更されません。このためプラグイン側の表示とホストアプリケーション側の表示が異なったものになる場合がありますが、常にプラグイン(Exciton)側の表示が現在の設定です。ホストアプリケーションではファイルセーブ時など必要な時にプラグインから情報を読み取っているため実用上問題はありません。
またプログラムチェンジメッセージを用いてプログラム番号を設定することもできます。送信方法に関する詳細はホストアプリケーション及び送信側MIDI機器のマニュアルを参照してください。また受信可能なMIDIメッセージの詳細は6. MIDIインプリメンテーションチャートを参照して下さい。
2.4. プログラムの演奏
ホストアプリケーションからExcitonにMIDIノートオン/ノートオフメッセージを送信することによりプログラムの音色が演奏されます。またピッチベンドメッセージで発声中のボイスの音程が±2ノート幅で変化します。
さらにExcitonはサスティーンペダル(コントロールチェンジメッセージ64番)を受け付け、適切に処理します。サスティーンペダルを押している状態ではキーを離した後もトリガーがかかったままになり、ペダルを放すことにより音が止まります。
特にピアノ系の音を演奏する場合にサスティーンペダルは不可欠です。ただし押されているキーの数が最大ボイス数以上になると古い音から自動的に消えて新しいボイスが発声しますが、サスティーンペダルが押されている間はキーを離しても音が消えませんから思った以上に多くのボイス数が必要となります(ピアノのように演奏するには16ボイス程度は必要です)。発声可能な最大ボイス数はメインセクションのVoicesで設定します。
2.5. パラメーターの変更と音色の作成
音色作成はパネル上のノブとボタンをマウスでクリック・ドラッグして行います。直感的に操作すればOKです。
ノブは微調整ができるようにホストアプリケーションとは少し異なるマウスアクションになっています。マウスでノブをクリックしてから上または右方向にドラッグすると値が増加、下または左方向にドラッグすると減少します(微調整しやすくするためクリックしただけでは値は変化しないようにしてあります)。shiftキーを押しながらドラッグするとマウスの反応が通常の1/4になり、より細かい設定ができます。
2.6. 情報の表示
ノブやスイッチを操作してパラメーターを変更するとインフォメーション欄にその設定値(または状態)が表示されます。ノブの微調整を行う場合はインフォメーションの表示を見ながらshiftキーを押してノブをゆっくり動かせば細かい設定を行うことができます。またプログラム番号を選択したりコピー・ペーストを行った場合などはその都度操作結果が表示されます。
2.7. プログラム名の入力
プログラム名の欄をマウスクリックするとプログラム名を編集できるようになりキーボードで名前を入力できます。使用できる文字は半角英数字で24文字までです。カナ、漢字や他の2バイト文字(Unicodeなど)は使用できません(入力はできますが半角英数字専用フォントを用いているため文字化けします)。
またホストアプリケーション側からプログラム名を入力することもできます。入力方法はホストアプリケーションによって異なりますので詳しくは各ホストアプリケーションのマニュアルを参照願います。
ホストアプリケーション側でプログラム名を表示している場合、プラグイン(Exciton)側から新しいプログラム名を入力してもホスト側の表示は変更されません。そのためプラグイン(Exciton)のパネルの表示とホスト側の表示が異なる場合があります(プログラムセレクターでプログラムを変更した場合と同じです)が、常にExciton側の表示が現在の状態です。ホストアプリケーションではファイルセーブ時など必要な時にプラグインから情報を読み取っているため実用上問題はありません。
なおホストアプリケーション側から名前を入力する場合はその変更が直ちにプラグイン(Exciton)に伝えられ、上記の問題は発生しません。
2.8. プログラムのコピー・ペースト
作業途中のプログラムを一時的にコピーして保存しておくことができます。一時保存したプログラムは好きなときに呼び出して、現在のプログラム番号のメモリーにペースト(上書き)することができます。
COPYボタンを押すとその時点でのプログラムが内部メモリーに一時保存されます。一時保存されたメモリーはいつでもPASTEボタンを押すと呼び出され、現在の設定に上書きされます。
2.9. プログラムのロード・セーブ
作業中のプログラムはホストアプリケーションでソングデータの一部と見なされ、ファイルを保存すると自動的に保存されます。
ファイル保存時にセーブされる設定範囲はホストアプリケーションにより異なります。例えばCubase VSTでは1〜128すべてのプログラムがファイル保存時にソングデータの一部として保存されますが、Logic Audioでは現在作業中のプログラムだけがソングファイルと共に保存されます。その他のホストアプリケーションについては各ホストアプリケーションのマニュアルを参照してください。
またExcitonからプログラムを単独でロード、セーブすることができます(試用モードではセーブ不可)。Excitonでセーブしたプログラムファイルは全ての動作環境で共通で、ホストアプリケーションやMacintosh/Windowsの区別なくロード・セーブが可能です。
ファイル形式は2通りあります。
- プログラムファイル:(現在用いられている番号の)プログラム1つをロード・セーブする
- バンクファイル:1-128の全プログラムをまとめてロード・セーブする
ファイルのロード・セーブはメニューから行います。
- "Load Program...":プログラムファイルを現在作業中のプログラム領域にロードする
- "Load Bank...":バンクファイルを1-128の全プログラム領域にまとめてロードする
- "Save Program...":現在作業中のプログラムをプログラムファイルとしてセーブする
- "Save Bank...":1-128の全プログラムをまとめてバンクファイルとしてセーブする
それぞれメニューを選択するとファイルダイアログが現れますので通常行うようにファイルを選択したりファイル名を入力するなどして操作して下さい。なお試用モードでは"Save Program..."と"Save Bank..."の項目はメニューから外されています。オーソライズを行うとこれら保存用のメニュー項目が現れてセーブできるようになります。
(Windows版ファイルをMacintoshで使用する場合)
Windows版Excitonで保存したファイルをMacintosh版Excitonで使用する場合はMacintoshファイルシステム特有のファイルタイプを設定しておく必要があります。Windows版ファイルをMacintoshにコピーした後、次の通りファイルタイプを設定して下さい。
- プログラムファイルの場合:ファイルタイプをexcPに設定
- バンクファイルの場合:ファイルタイプをexcBに設定
ファイルタイプの設定は例えばResEditなどのMacintoshアプリケーションで行うことができます。ResEditはApple純正のフリーアプリケーションでAppleのWebサイトから入手できますが、元々リソース編集用のアプリケーションでファイルタイプ設定用としては使い勝手はあまりよくありません。もっと使いやすいファイルタイプ編集用のフリー/シェアウエアが沢山ありますので必要な方は自分で探してみて下さい(Web検索すればすぐに見つかります)。
(Macintosh版ファイルをWindowsで使用する場合)
Windowsは伝統的にファイルの種類をファイル名末尾の拡張子で区別します。Windowsの拡張子がMacintoshのファイルタイプに相当します。Windows版Excitonでセーブされたファイルにはデフォルトで次の拡張子が付きます。
- プログラムファイルの場合:拡張子は.prg
- バンクファイルの場合:拡張子は.bnk
Macintosh版Excitonで保存したファイルをWindowsで使用する場合は上記に示した通りファイル名の末尾に拡張子を付けて下さい。Windowsは拡張子以外にファイルシステムで種類を区別する方法がありません。Macintoshだけで使用するファイルならば自動的にファイルタイプで識別されますが、後々Windowsでも使用する可能性がある場合はファイル名の最後に拡張子を付けておくことをお勧めします。
またホストアプリケーション側の機能を用いてプログラムをロード・セーブすることもできます。Cubase、Logicなど主要なVSTホストアプリケーションはプログラム単体のロード・セーブをサポートしています。こちらはホストアプリケーション側の機能ですから試用モードでもセーブはできます。ただしファイルフォーマットはホストアプリケーションで決められるためアプリケーション間の互換性はありません。
Cubase、Logicともプログラムの単体保存・呼び出しはプラグインパネル上または下(位置はアプリケーションによって異なります)のポップアップメニューから行うことができます。詳しくは各ホストアプリケーションのマニュアルを参照してください。
2.10. Excitonのオーソライズ
最初にExcitonを起動したときの状態は試用モードです。Excitonの起動時にはインフォメーション欄にバージョン情報が表示されますが、試用モードではバージョン番号の後に"(DEMO)"と表示されます。試用モードでは次の機能制限があります。
- 試用時間は1回の起動につき30分です。30分を過ぎると音が出なくなります。
- 試用時間中は10秒毎に試用時間中であることを知らせる1.5kHzの「ピッ」という発振音が出ます。
- 試用モードではExcitonからプログラムやバンクをセーブすることはできません
製品を購入された方にはオーソライズ用のパスワードが発行されます。パスワードを入力することにより機能制限が解除され、Excitonを100%フル活用できるようになります。パスワードを取得した方は次の方法でパスワードを入力して機能制限を解除して下さい。
- メニューで"Authorize..."を選択する
- インフォメーション欄に"Enter password below..."が表示されている状態で、プログラム名の入力欄にパスワードを入力する("(Enter here)"の部分をパスワードに置き換える)。
- インフォメーション欄に"Authorization Complete"が表示されればオーソライズ完了です
オーソライズが完了すると機能限定が解除されます。またメニューから"Authorize..."の項目が消え、代わりに"Save Program..."と"Save Bank..."の項目が現れてプログラムをExcitonからセーブできるようになります。
1度オーソライズを行えば以後の起動でのオーソライズ操作は不要です。またひとつのコンピューターで複数のホストアプリケーションを使用している場合はひとつのアプリケーションで上記操作を行えば他のアプリケーションでも自動的にオーソライズされますので、操作は1回でOKです。
オーソライズは必ず試用時間内に行って下さい。試用時間を過ぎるとメニューが選択できなくなり操作が行えなくなります。(30分あればどんなにタイプが遅い人でも大丈夫でしょう...)
またオーソライズは念のためシーケンスが止まっている状態で行って下さい。シーケンス実行中にExcitonにコントロールチェンジメッセージが送られパラメーターが変更されるとオーソライズも中断されます。
オーソライズを済ませた後でコンピューターのシステム設定を変更するとまれにオーソライズが無効になる場合があります。これはオーソライズ情報を暗号化して保存する際にコンピューターやユーザーなどのシステム情報を用いているためです。こういう場合はオーソライズをやり直してください。