Last Update 97.2.8

そんなアホな?!

大阪JIJI


−酔いどれオヤジin深夜電車−
無茶すなっ!おっさん!!


何が情けないっちゅうて、電車に乗ってて遠足の小学生軍団と乗り合わせてしまうほど情けないモンはない。我が身の不運と諦めようと思いつつも、吊革空中ブランコを始めよろうもんなら、法律さえ許せば片っ端から射殺したくなる衝動にかられるのはJIJIばかりではなかろうと思う。

「深夜の電車なら、そんなこともないやろう。」

JIJIは甘かった。ホンマの小学生こそ乗ってはおらんが、もっとタチの悪い赤ら顔のヒゲの生えた小学生軍団と乗り合わすことになろうとは、、、。

時刻は夜の11時半頃。JIJIを乗せた西明石行き普通電車は京都駅のホームから、静かに滑り出していった。



7人掛けの長いシートの端っこにJIJIは座っておった。車両の中は10人弱。ガラガラや。
JIJIの正面には60前位のサラリーマンが1人、早くも居眠りを始めとる。しかし、口元が怪しげに動いとる。よう聴いてみると
う〜、う〜、、、ア〜ッタラ ボケ。う〜、う〜、ほんまに、、、ZZZ、、、。
どうやら無害のようや。
長シートの反対側の方には50がらみのサラリーマン3人組み。こいつらは油断ならん。見事に出来あがっとる。シートのあっち側とこっち側に分かれて、向かい合って大声で騒ぎ合うとる。「迷惑やなぁ」と思って見ていると、1人がもう1人の足を持ち上げてシートからズリ落とそうとし始めよる。

ほおら、タケやん、これでどうじゃ〜!!
ぎゃはははは、やめて〜な〜。いやー、わしも簡単には落とされへんどー!!ぎゃはははは!!

しかしJIJIが一番気になっとった乗客は、その3人組みの傍らに座っとった40そこそこの皮ジャンのニーサンや。何や雑誌を読んどるようやが、既に般若の形相や。やがて雑誌を丸めて右手に持ち、左の手のひらにビシビシいわせ始めよった。


ドテッ!!

ついにタケやんが座席から落とされよった。

「アイタタタタ、、、。ちくしょ〜。、、、しゃーけど床の上もヒンヤリしてて意外と気持ちエエもんやわ。よっしゃー!今度はママゴトじゃ〜!!ギャハハハハハ!!

皮ジャンの雑誌が一際うなりを上げ始める
向かいの居眠りおっさんの独り言も、はっきりし始めてきよった。

う〜、う〜、ほんま〜、ア〜ッタラが〜、、、。ZZZ

他の客は別の車両に避難し始めた。

バンジャーイ!!バンジャーイ!!みなさんっ!!バンジャーイや!!ギャッハッハッハッハ!!



バシッッッ!!
あ痛っ?!

遂に皮ジャンが切れてもた。電車が駅に着こうとしてる時やった。床に座って「バンジャイ」しとるタケやんの頭を、雑誌で思いっきりハタキよった
おどれー、ええ加減にさらせよー!他の客の迷惑も考えんかえ、ワレ!!
タケやんは、何が起こったんか分からん様子や。頭をさすりながら、キョロキョロしとる。
向かいの居眠りおっさんは、何故か急に静かになってもた。

電車のドアが開いた。
「こら、おっさん!ここで降りたらんかえ!ほんでハナシしようや、なあオッサン!
しかし、タケやんもコタえんやっちゃ。酔っ払いモード全開っちゅうところか、飄々とした感じで、
「ええ?ここで降りぃっ、てか〜?(キョロキョロ)なんや、ここまだ山崎やん。わしは高槻やねん。、、、いや、それよりニーサンの家、一緒に行こうや!ほんで風呂入れてえなぁ。なあ、ええやろ〜?ニーサン?」
「アホッ!!なんでわしがお前に風呂入れたんならんねん!!」
「な〜、ええやん、ニ〜サ〜ン。ほんで、一緒に風呂入ろうな〜。な〜。
「うわっ気色悪?!こいつ、オ○マや!!



皮ジャンのニーサンは「ほうほうの体」で逃げていきよった。
一方タケやんは相変わらず床に座り込んだまま、ニーサンの逃げていくのをボーッと見とったが、ドアが閉まると急に大声出しよった。
アホちーん!!最近はホンマ妙な奴が増えて難儀やわ!!かなん、かなん!

て、

そらオッサン、
あんたやろがな!!

と思いつつも、ちょっとタケやんのこと尊敬してもうたJIJIも変なんやろか?

[Written by JIJI][Illustration by まさし・きたお]


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