本名エルモア・ブルックス。ブルース好きにとっては、その「パワー」がたまらない。 文章で書いていても歯がゆいから、実際にこのオッサンのレコードを聴いてみるといい。 まず、イントロで、たいていの人は拒絶反応を起してしまう。 「ガガガ・ガガガ・ガガガ・ガガガ・グイグデッテ・デッテ・デッテ」 言葉ではこう言い表わすより他がない。これが延々と続くのである。 それだけではない。アルバムに入っている曲の8割がこのイントロなのだ。 もちろん、調性も一緒である。(殆どがDかE) しかし、このめちゃくちゃさがブルースの一つの醍醐味である。聴いているうちに 「ああ、音楽というのはこう言うのでも構わないんだ」と思えてくる。 しかし、そこまで来てしまうと、すでに貴方はElmoreから離れられなくなっているのだ。 そのライオンが吠えるようなパワーのあるボーカル。 殺人的に粘っこいスライドギター。 その野性的かつ暴力的とも言えるすばらしさに、貴方はElmore中毒になること請け合いである。 Walterは、ボトルネック奏法をマスターしたい人には必ずこのElmoreを聴かせる。 本当に基礎的なボトルテクニックを身につけるには格好の手本となるからだ。 始めはみんながバカにする。「こんなん、簡単じゃ」と。しかし、実際にやってみると、 その粘っこさが真似できない。かくしてみんなが 「Elmoreも、やっぱり偉大なブルースマスターやねんな。」と得心する。 そうなれば、途端にみんなElmoreになってしまう。 「ギター3台にアンプがひとつ」「曲中に入る掛け声はイヤー!しかできない」 などというElmore症候群にかかってしまったのが何人もいる。 そんなElmoreフリークに一言。 「Elmoreは、心臓麻痺で死んだんやで」 Walterも一時期、心臓に不整脈が走っておった。