Windows 95からMacintosh用PSフォントを出力する

WindowsでDTPを行っていますが,MacintoshからPSプリンタにダウンロードしたPSフォントをWindows 95マシンからも利用する方法はありませんか。


現在Windows 95に対応したATMが存在しないので,画面表示にPostScriptフォント(以下PSフォント)を利用することはできません。しかし,一番重要なPostScriptプリンタ(以下PSプリンタ)からの出力については,状況によって利用することが可能になります。
 まず,現状ではWindows 95マシンからPSフォントをPSプリンタにインストールすることができません。そのため,PSフォントをPSプリンタへダウンロードするためのMacintoshが必要になります。
 PSプリンタにダウンロードされているMacintosh用のPSフォントをWindows 95マシンから利用するには,まずWindo ws 95マシンに,プリンタにダウンロードされているフォント情報を認識させる必要があります。Windows 95に付いてくる標準のPSプリンタドライバは,PFMファイルを用意してwin.iniファイルに登録してやればPSフォントを認識するように作られています。またこの場合,画面の表示にはWindows 95が適当と判断した代替えフォントが使われます。たいていの場合TrueTypeフォントが選ばれるようです。
 Windows 95マシンの中にはPSフォントがインストールされていません。アプリケーションは,レイアウト中はPFMファイルによって与えられたフォント情報のみを認識させておいて,出力のときだけそのフォントで印刷させるようになります。このように,マシンでは情報として認識させておくだけのフォントを仮想フォントと呼んでいます。
 仮想フォントの認識には,認識させたいフォントの情報を記録したPFMファイルを作らなくてはなりません。PFMファイルのフォーマット情報は公開されているので自分で作ることもできますが,もっと簡単に,イーストが販売している「PS Print」という製品に入っているPFM作成ユーティリティを使う方法があります。
 PFMファイルに記録する情報は,PSフォントの実体名(これをフェイス名と呼びます)とWindowsに認識させるフォント名(これをフォント名と呼びます)として区別しています。
 PSプリンタに登録されているフェイス名を取得するには以下のPSコマンドをプリンタに与えることでできます。

(fonts/*) {("n)print print } 100 string filenameforall

すると,プリンタに登録されているフェイス名がマシンに返されてきます。
 フェイス名が分かれば,次はPFMファイルの作成を行います。フォント名は自由に付けられますが,Macintoshで使われている名前をそのまま使うのが無難でしょう。ここで必ず,縦書き用と横書き用のフォントを用意しておきます。
 PFMファイルができ上がったらWin.iniファイルにPFMファイルの情報を記述し,Windows 95に仮想フォントの存在を認識させます(図1)。
 これで,Windows 95からPSプリンタに登録されたPSフォントを使って印刷することができるようになります。
 ただし,PageMakerからPSフォントを使う場合にはPPDファイルの更新をする必要があります。\pm6\rsrc\ppd4フォルダにあるPPDファイルにフォント名の情報を記述します。PPDファイルにはほかにも登録する情報の項目がありますが,フォント名以外は適当に書いておいてかまいません(図2)。
(編集部)

[PostScript,LPT1]
ATM=placeholder
softfonts=16
softfont1=c:\pfm\dfkaibh.pfm
softfont2=c:\pfm\dfkaibv.pfm
softfont3=c:\pfm\dfgyol_h.pfm
softfont4=c:\pfm\dfgyol_h.pfm
softfont5=c:\pfm\ryuhh.pfm
softfont6=c:\pfm\ryuhv.pfm
softfont7=c:\pfm\ryumh.pfm
softfont8=c:\pfm\ryumv.pfm
softfont9=c:\pfm\singo_mh.pfm
softfont10=c:\pfm\singo_mv.pfm
softfont11=c:\pfm\pcrhse__.pfm
softfont12=c:\pfm\pcrmse__.pfm
softfont13=c:\pfm\pcsingm_.pfm
softfont14=c:\pfm\dfgslr__.pfm
softfont15=c:\pfm\dfksbr__.pfm
softfont16=c:\pfm\rypn____pfm,c:\pfm\rypn____pfb

図1 win.ini[Postscript,<プリンタポート名>]セクションへの記述内容


*Font Ryumin-heavy-RKSJ-H: RKSJ "(003.001)" JIS-83 Disk
*Font Ryumin-heavy-RKSJ-V: RKSJ "(003.001)" JIS-83 Disk
*Font PCRH-SE1: Special "(001.001)" Standard
*Font Ryumin-Medium-RKSJ-H: RKSJ "(003.001)" JIS-83 Disk
*Font Ryumin-Medium-RKSJ-V: RKSJ "(003.001)" JIS-83 Disk
*Font PCRM-SE1: Special "(001.001)" Standard
*Font ShinGo-Medium-RKSJ-H: RKSJ "(003.000)" JIS-83 Disk
*Font ShinGo-Medium-RKSJ-V: RKSJ "(003.000)" JIS-83 Disk
*Font PCSINGM-SE1: Special "(001.001)" Standard
*Font DFKaiSho-Bd-RKSJ-H: RKSJ "(003.001)" JIS-83 Disk
*Font DFKaiSho-Bd-RKSJ-V: RKSJ "(003.001)" JIS-83 Disk
*Font DFKaiSho-Bd-Roman: Special "(001.001)" Standard
*Font DFGyouSho-Bd-RKSJ-H: RKSJ "(003.001)" JIS-83 Disk
*Font DFGyouSho-Bd-RKSJ-V: RKSJ "(003.001)" JIS-83 Disk
*Font DFGyouSho-Bd-Roman: Special "(001.001)" Standard
*Font RyuminPropNum: Special "(001.001)" Standard
図2 PDDファイル記述内容の例