PDFファイルをフリーのツールでとりあえず作ることはできませんか? 使用OSはWindows 2000 Professionalです。
PDF(Portable Document Format)とは,アドビシステムズが開発した統合ドキュメントファイル形式のことです。同社の表示用ソフトである「Adobe Acrobat Reader」を使用することによって,書類上の文字,画像,レイアウト情報などのあらゆるデータを,ファイル作成時に使用したアプリケーションやプラットフォームにかかわらず,表示/出力できる,電子文書配布用のデータ規格です。あらゆるソースドキュメントについて元のフォント,レイアウト,カラー,グラフィックスを再現できることが特徴です。
PDFファイルを作成するには,「Adobe Acrobat 5」(アドビストア価格:2万8310円 お問い合わせ:アドビシステムズ カスタマーインフォメーションセンター 電話03-5350-0407)を利用するのが一般的です。
ただ,Acrobatを利用する以外にもPDFファイルを作成する方法はあります。例えば,PostScript互換のコーディングエンジン「Ghostscript」(L.Peter Deutsch氏作,http://www.cs.wisc.edu/~ghost/)を利用する方法です。もともとUNIX用ですが,バージョンが進むにつれ,そのWindows版も配布されており,これを利用すればかなり制限はありますがPDFファイルを作ることができます。このGhostscriptにはAladdin 版とGNU版があります。どちらもフリーソフトですが,Aladdin版は商業的な配布に制限があります。
では,その導入方法を紹介しましょう。
1. Ghostscriptのインストール
まず,Ghostscriptを入手します。GhostscriptのWebサイトから最新のWindows 95/98/NT/2000用のgs700w32.exeをダウンロードし,ファイルを実行すると簡単にインストールできます。
2. PostScript対応プリンタドライバのインストール
[スタート]メニュー→[設定]→[プリンタ]を開き,「プリンタの追加」を選び,「プリンタの追加ウィザード」で,ローカルプリンタの空いているプリンタポートに,Windows標準のPostScript対応のプリンタドライバをインストールします。
ここでカラープリンタのドライバを利用
すればカラーのPDFが作成可能になります。実際には機器がつながっていませんから,テストページなどは印刷しないようにします。
3. バッチファイルの作成
次にリストのようなバッチファイルを作成します。
以上のような準備ができたら,例えばWordやExcel,Internet Explorer,PowerPointといったアプリケーションからPDFを作成できるようになります。
PDFファイルの作り方としては,[ファイル]→[印刷]でさきほど作成したプリンタのアイコンを選び,[ファイルへ出力]にチェックを付けます。
そして[印刷]ボタンを押すと,ファイルの保存先を指定するダイアログが出てくるので,デスクトップなどの適当なディレクトリに保存します。
そのファイルをさきほど作成したバッチファイルにドラッグ&ドロップすることで,出力先ディレクトリにPDFファイルができ上がります。
(尾本和巳)
インストールしたPostScriptプリンタを選択して,[ファイルへ出力]をチェックし[印刷]ボタンを押す
ファイルの出力ダイアログが出てくるので,適当な名前を付けて保存する
保存したファイルを作成したバッチファイルにドラッグ&ドロップ
出力先ディレクトリをC:\temp\に指定し,出力ファイル名をtemp.pdfにした
Acrobat Readerで開いてみると,文字はあまりきれいではないがフルカラーのPDFファイルになっている
リスト
C:\gs\gs7.00\bin\gswin32c.exe -dNOPAUSE -dBATCH -sDEVICE=pdfwrite -sOutputFile=出力先ディレクトリ\出力ファイル.pdf -c 300000 setvmthreshold save pop -f %1