LinuxにはSlackwareやRedHatなど,いろいろな名称のパッケージが店頭に並んでいます。それぞれどのような特徴があるのでしょうか。
同じLinuxでもパッケージ作成者のポリシーで使い勝手は大きく変わってきます。ここでは代表的な三つのパッケージを簡単に紹介しましょう。
Slackware
当初は数人のグループが自分たちのためのパッケージとして作成していましたが,現在はCD-ROM出版で有名なWalnut Creekが総配布元になっています。すべての内容はフリーですが,Slackwareという名称(商標)はWalnut Creekが持っています。
パッケージの特徴は,伝統的なUNIXであることでしょう。ソフトウェアのインストールやバージョンアップはソースコードのコンパイル→ビルド→インストールの手順で,自力で行うのが基本になっています。システム設定もテキストベースの手作業です。UNIX/Linuxを学ぶのに適している反面,とにかくPCそのものをを使いたいユーザーには面倒かもしれません。
RedHat Linux
パッケージを有償サポート付きで配布しているのが大きな特徴です。パッケージを購入すると2回までRedHatのサポートを受けることができます。また,年間サポート契約もできるなど,サポートを売りものにする商用パッケージといえるでしょう(サポートを有償で提供して利益を得ることはGPLも認めている)。
商用を意識しているため,パッケージの作りも現在のSystemX系商用UNIX,例えばSolarisに近いものになっています。システム設定のGUIツールが添付されているほか,アプリケーションソフトはRPM形式のバイナリをインストーラで組み込むことができます。RedHatが提供するRPMパッケージを使用する限り,ユーザーはソフトのコンパイル,インストール,設定などの面倒な作業に煩わされることがありません。
Debian/Debian-JP
Slackware,RedHatともに開発/配布元が企業で,ある程度は商用を意識して閉じたグループが開発しているのに対して,DebianはGNUに準じた開発が行われています。つまり,Debianの開発には誰でも参加できるのです。
例えば,パッケージに日本語ソフトを加えてほしいと考えても,Debian以外のパッケージはなかなか要求に応えてくれませんが,Debianなら開発者として日本人が加わり,パッケージに日本語ソフトを加えられます。
実際,すでにDebian-JPプロジェクトが始動しており,β版の配布は開始されています。日本語ソフトが充実した時点で正式なDebianパッケージに加えられることが決まっているので,今後,日本でもDebianが主流になる可能性が高いかもしれません。
パッケージはRedHatとよく似ていて,商用UNIXと近い構成になっています。独自のパッケージ形式による自動インストーラとアップデート機能を持ち,Debianが提供しているソフトウェアなら,自動インストーラで組み込むことが可能です。
(米田 聡)