デフラグは何をしているのか

デフラグツールは具体的にはどういう作業をしているのですか。


デフラグツールなどでいう「フラグメンテーション(fragmentation)」とは,ディスク上のファイルが細切れに断片化している状態を指します。デフラグツールはこれを整理して並べ直してくれるソフトのことです。では,ファイルの断片化はなぜ起きるのでしょうか。
 ファイルにデータを追加していくと,当然ながらサイズが大きくなります。例えばAというファイルを,初め100KBで生成した後,そこに50KB書き足せば150KBとなります。このときディスク上のデータは前から順番に連続して書き込まれるため,Aにデータを書き足す前に別のファイルBを同じディスクに生成してしまうと,ディスク上ではファイルAの最初の100KBと追加した50KBの間に,ファイルBが挟まれるかっこうになります。つまり,Aの実データは100KB(A1)と50KB(A2)に分断されてしまうのです。
 これが断片化を起こしている状態で,ファイルを読み込むときは,A1の後,A2の位置までヘッドを移動させなければデータの読み込みが完了しません。
 当然,ファイル全体が連続しているものに比べ,余計なシークが発生する分,読み込み速度が低下します。PCの使用時間が長くなれば,フラグメンテーションは多くなるので,それだけ読み込み速度が遅くなっていくのです。
 ファイルの移動や削除を繰り返していると,同様に空き領域が分断化します。
 FATファイルシステムではこういったことに対する配慮がされていないため,ファイルもディレクトリも前から順番に並べられ,ファイルが分断化しやすくなっています。そのため,Windows 95にはデフラグツールが標準でバンドルされています。
 NTFSでは,データをすぐにディスクに書き込むのではなく,まずMFT領域に保存し,ある程度処理が経過してから書き込みます。このため,FATに比べ比較的フラグメントは発生しにくくなっています。そのため,NT4.0にはデフラグツールが付属していませんが,NTFSも完璧というわけにはいかず,やはりディスクの分断化は起こります。これを解消するためには,市販のサードパーティ製品を用意する必要があります。
 NT4.0用で有名なデフラグツールとしては,シマンテックのNorton Utilities Version2.0 for Windows NT 4.0(1万9800円。TEL:03-3476-1156)に含まれるNorton SpeedDisk,相栄電器のDISKEEPER 2.0 for Windows NT(Workstation用:9800円。Server用:4万3800円。TEL03-3447-7544)などがあります。
 Windows 95標準のデフラグツールはNorton SpeedDiskのサブセットで,DISKEEPERはマニュアルバージョンがNT5.0にバンドルされることが決まっています。
 Windows 95標準のデフラグは手動起動しかできませんが,上に挙げた2製品ではスケジュール動作やバックグラウンド動作なども可能です。
(菊池 潤)

Norton SpeedDiskはNorton Utilitiesに含まれている


NT5.0で採用が決まっているDISKEEPER