ドライブをすべてSCSIにした場合,Windows 95(OSR2)起動ディスクの作成法を教えてください。
「SCSI BIOSがよく分かりません。例えばTekramのSCSIカードにはSCSI BIOSなしなどとありますが何のことですか。
起動ディスクを何に使うかによりますが,PCを起動するフロッピーはWindows 95が普及した今でもDOSです。そして,DOSで読み書きできるディスクは,BIOSのINT13h(ディスクBIOS)がサポートしているか,あるいはDOSの16ビットドライバを使って追加したブロックデバイスです。
BIOSのINT13hは,2番めの質問にあるSCSIのBIOSと深く関連しています。
マザーボードに搭載されているBIOSは,PCデフォルトのデバイスをサポートします。基本的にシステムBIOSでサポートできるHDDはE-IDEのみで,SCSIはサポート対象外です。例えば,PCを起動するとき,BIOSはINT13hを呼び出して起動プログラムをメモリに読み込みます。したがって,システムBIOSではSCSIのHDDから起動できません。また,同じ理由でBIOSを呼び出してHDDをコントロールしているDOSからも,SCSIのHDDは見えない(認識されない)ことになってしまいます。
そこで,INT13hと同じように働き,なおかつSCSIを扱う基本入出力プログラムが導入されているのが,SCSIカード上のSCSI BIOSです。カード上のSCSI BIOSは,システムBIOSのINT13hを乗っ取り,自分が管理しているSCSI HDDとE-IDE HDDの双方をINT13hで使えるようにします。
カード上のSCSI BIOSでINT13hエミュレーションが機能すれば,そのHDDからPCを起動できますし,DOSのHDDとしても認識されます。ただし,SCSIカードによってはSCSI BIOSの設定プログラムで「BIOSで2台以上のドライブをサポートする」項目を設定する必要があるので気をつけてください。
2番めの質問にあるBIOSなしのSCSIカードですが,これはシステムBIOSの中にSCSI BIOSの機能を収録しているマザーボードで利用します。例えば,TekramのマザーボードはTekramのSCSI BIOSが内部に組み込まれているのです。また,SCSIのHDDから起動しないのなら,BIOSは必要ないともいえます。Windows 95はDOSとは違い,自身の32ビットドライバだけでデバイスを認識していますから,ドライバさえ組み込めばSCSI HDDが利用できるようになるからです。実際,TekramのBIOSなしカードでも,ドライバを組み込めばTekram以外のマザーボードでも利用できます(繰り返しますが,SCSI HDDから起動はできません)。
さて,最初の質問に戻ると,SCSI BIOSがあるカードなら,原則的にDOSの起動ディスク(例えば,Windowsの[コントロールパネル]→[アプリケーションの追加と削除]で作成した起動ディスク)で全HDDが読み書きできます。しかし,CD-ROMドライブなどHDD以外のデバイスは,普通のDOS起動ディスクでは扱うことができません。先に述べたINT13hは構造的にHDDとFDD以外には使えない入出力だからです。
ですから,起動ディスクでCD-ROMドライブを含めたドライブを扱いたいのなら,CONFIG.SYSでDOSドライバを組み込み,AUTOEXEC.BATでMSCDEX.EXE(DOSでCD-ROMドライブを使う拡張コマンド)を実行する必要があります。DOSドライバはインタフェースカードに,MSCDEX.EXEはWindowsディレクトリ以下のCOMMANDサブディレクトリにあるので,起動ディスクにコピーしておきましょう。例として,アダプテックのSCSIカード(AIC-7xxx系カード)で使う起動ディスクのCONFIG.SYSとAUTOEXEC.BATを示しておきます。
--CONFIG.SYSに以下の2行を追加
DEVICEHIGH=ASPI7DOS.SYS
DEVICEHIGH=ASPICD.SYS /D:ASPICD0
--AUTOEXEC.BATに1行追加
LH MSCDEX.EXE /E /D:ASPICD0
(米田 聡)