Linuxをインストールしようと思うのですが,RedHatとかTurboLinux,Debian,Slackwareなどたくさんあって混乱しています。それぞれの特徴とインストールのしやすさを教えてください。
Linuxのよい面でもあり,また初心者を悩ませる面でもあるのが,さまざまなディストリビューションパッケージの存在です。主要なパッケージの特徴を簡単にまとめておきますので,自分の目的に合ったものを選んでみてください。
●Slackware系
一時はLinuxの標準的なパッケージとして人気がありました。本家のSlackwareはWalnut Creekが販売しているパッケージで,システムの作り方は「伝統的なUNIX」に近いものです。UNIX環境を学びたい人には最適のパッケージと思われますが,一方でUNIXらしい面倒で複雑なテキストベースの設定が必要です。初心者が購入して,すぐに実用にしたいという用途には適しませんが,学習用としては価値があるでしょう。また,設定を自力でいくらでも変更できるので,ある程度スキルのあるユーザーがサーバー用途に用いるのに適しています。
日本では,Slackwareのパッケージングを練り直した「Plamo Linux」が勢力を伸ばしています。Slackwareと同じ性格を持つパッケージですが,日本語環境が組み込み済みのほか,より初心者向きに仕上がっていて,お勧めできます。インストール方法などは今号の付録CD-ROMに収録しているので参照してください。
●RedHat系統
RedHatは商用で使用されるLinuxの最もメジャーなベンダーです。Solarisなど商用UNIXに近いディレクトリ構成やシステム設定を採用しています。また,rpm(Red
Hat package manager)と呼ばれる「パッケージ管理」を備え,ソフトのインストール,アンインストールもユーティリティで行うことができるなど,商用らしい造りになっています。
RedHatベース,あるいは同じrpmを使用するパッケージは多く,例えば日本でもTurboLinux(パシフィックハイテック),Linux MLD(メディアラボ,今号のソフトレビュー参照)など日本語化されたパッケージが広く利用されています。また,’99年1月には,Vine LinuxというRedHatベースの新しいLinuxパッケージも登場する予定です。
●Debian
上記の二つは,どちらも企業の商業活動の中で作り出され,配布されているパッケージですが,Debianは完全にフリーのボランティア活動が生み出したパッケージです。活動の拠点はhttp://www.debian.org/で,新バージョンでは日本語環境も組み込まれました。
パッケージの造り自体は現代的な商用UNIXに近く,rpmによく似たシステム管理を提供しています。ツールを使ってインストールできるソフトウェアは膨大で,上記のサイトや各地のFTPサイトから数千種のソフトウェアをダウンロードすることができます。
(米田 聡)