MPEG-1/2の違い

MPEG-1/2のそれぞれのメリットとデメリットを教えてください。


MPEGとは映像(+音声)をデジタルデータとして効率よく圧縮,伝達するために日本で作られた世界標準の規格です。静止画圧縮のJPEGに対して動画圧縮がMPEGであるといえます。MPEGは1も2も非可逆式の圧縮なので画質劣化が生じます。MPEGは用途に応じてスペックが三つに分けられています。MPEG-1はVHSビデオ程度の画像をPC上で見るために作られた仕様です。それに対してMPEG-2はCS放送やDVD,デジタル放送などの放送品質の映像を配信するための規格です。さらにインターネット配信などのためにMPEG-4が作られました。
 MPEG-2はMPEG-1より高画質なのかという話もありますが,画質は情報量で決まります。MPEG-2でも,高圧縮にすればMPEG-1の低圧縮より画質が下がります。また,MPEG-2でテレビ品質にした場合(720×480ドット,29.97fpsの15Mbps)はPCで再生するには適さず,当然のことながらコマ落ちして見えたり,画像が乱れることがあります。ただ,MPEG-2のほうが設定値の幅が広く,PCに適した設定をすることもできます。
 MPEG-1と2の圧縮方式の最も大きな違いは,MPEG-1が1フィールド/1フレーム(1秒で30画面)でムービーを作るのに対して,MPEG-2はテレビとまったく同じ2フィールド/1フレーム(1秒に60画面)に対応していることです。MPEG-1はPCで閲覧することが前提になっており,この方式でも滑らかさはそれほど失われません。逆に最終的な表示機器がテレビモニターの場合は,MPEG-2のほうが動きが滑らかです。さらにMPEG-2は一つのファイルに複数の情報を並列に置くことができます。簡単にいえば,テレビの番組放送と文字放送の関係です。具体的には,多国語で切り換えられる字幕で切り換えられる仕組みなどを作成できます。
 また,MPEG-2には可変ビットレート(動画の内容に応じて圧縮率を変化させてより高圧縮を目指す機能)があるとか,衛星通信のように途中で途切れるような通信状態,もしくは遅延するような状態でも画像が乱れにくい形式になっています。言い換えれば,MPEG-2は放送配信用であり,CD-ROMなどのコンテンツには制作の手間を考えると適しません。また再生には特別な機器やソフトウェアが必要となります。対してMPEG-1はWindows標準のMedia Playerで再生できるなど,PC上でのメリットがあります。
(わたなべけんいち)