デジタルビデオの動画データを圧縮するさいにキーフレームや圧縮の品質という設定項目がありますが,これらの設定はどのような働きがあるのですか。また,画質をよくするためには,これらの項目をどのように設定すればいいのでしょうか。
大量の画像/音声データのかたまりであるデジタルビデオは非常にデータ容量が大きく,そのままでは転送速度の問題でまともに再生することができません。そこで,CODECと呼ばれる圧縮(伸長)技術を使って,秒間データ総量の制限を行います。このCODECは,データの転送速度(秒間のデータ量)の設定を基にデータの圧縮を行います。これは,再生するメディアに合わせて,転送速度が十分に間に合うようにデータ量を制限するためのパラメータです。倍速CD-ROMドライブから再生するのであれば300KB/sec以内,HDDから再生するのであればそのHDDの転送速度に見合うサイズに設定します。
デジタルビデオの圧縮CODECにはさまざまな種類がありますが,一般的なCODECではキーフレームと呼ばれる,圧縮元になる基準フレームを設け,そこから設定した数フレームに対して差分圧縮を行います。これは,隣り合ったフレーム(画像データ)同士が非常によく似ているという,ビデオ(連続動画)の特性を生かした圧縮方法です。キーフレームを15と設定した場合は,基本的には15フレームおきに圧縮の基になるフレームが設定され,そこから14フレームは差分圧縮で構成されていきます。
もし,キーフレームの間隔を長く(大きく)設定すると,差分圧縮で構成される画像データが増えるため,秒間のデータ量と総容量を小さくすることが可能です。また,それとは逆にキーフレームを短く(小さく)設定すると,元データで構成されるフレームが増えるため,秒間のデータ量と総容量は大きくなります。しかし,キーフレームを長く設定した場合に比べて,画質が向上します。
圧縮の品質設定は,差分圧縮を行うさいにどの程度の情報を簡略化するかを表した指数です。100に近ければ近いほど圧縮率は抑えられ,画質は向上します。逆に,0に近づくほど圧縮率が上がり,画質は劣化するのです。CODECによって同じ数値でも画質にバラツキがあるので,いろいろ試してみるとよいでしょう(画面下)。
本誌主催のデジタルビデオ・コンテストの推奨パラメータは,
画像サイズ:320×240ドット
使用するCODEC:Cinepak by Radius
データの転送速度:300kB/sec以内
キーフレーム:2
圧縮の設定品質:100
になっています。これは,応募作品をCD-ROMに収録することを想定し,倍速のCD-ROMドライブで再生できる範囲で最高画質の設定にしています。もし,HDD上でのみ再生することを考えるのならば,データ転送速度をHDDに合わせて設定すれば,より大きな画面で,画質もさらに向上させることができます。
また,インターネット上で公開するのであれば,画面サイズを小さくし,さらにデータの転送速度を100KB/sec以下に抑えるなど,データを小型化する必要があるでしょう。
(渋谷"H"古風)
動画圧縮の設定は環境に応じて使い分けよう