CABファイルって何?

Windows 98のCD-ROMの中には,マイドキュメントのアイコンを小さくしたようなCABファイルというファイルがたくさん入っていますが,このファイル形式は何ですか?


Windows 98/95のインストールにも利用されているのが拡張子「CAB」を持つ「キャビネットファイル」という圧縮ファイル形式です。CD-ROMのスペースを有効利用するためにこの形式で保存されています。

●キャビネットファイルのメリット
 このキャビネットファイルは,フロッピーディスクを多用する時代には,インストールに必要な時間の短縮につながる形式でした。
 今ではそれほどメリットはありませんが,FDDのように物理的に読み出しの遅いメディアでは,データを読み出す時間よりも,解凍作業のほうが早く処理が終わります。そのため,ほかの圧縮形式の分割された圧縮ファイルをHDDにコピーして連結する方法よりも効率が良かったから利用されていたのでしょう。これは等倍,2倍速といった低速だったころのCD-ROMドライブの利用でもいえることです。
 Windows 95のインストール時にユーザーは当然何も意識する必要はなかったのですが,特定のキャビネットファイルを操作しようとするとコマンドプロンプトからEXTRACT.EXE(OSに標準装備)を利用する必要がありました。この場合,ファイルをわざわざキャビネットファイルで圧縮,書庫化するメリットはほとんどありません。
 ところがWindows 98/2000(および,Windows 95にPlus!をインストールした状態)ではエクスプローラからフォルダと同様に開いて参照することが可能になり,簡単にファイルを取り出せるようになりました。ドラック&ドロップも可能で,特定のファイルを取り出すのも容易です。
 現在でも,キャビネットファイルは多くのアプリケーションのインストールで多くのユーザーが気がつかないうちに利用しています。ただ残念ながら圧縮,書庫化はOS標準ではサポートされていません。

●キャビネットファイルを作る
 そこでキャビネットファイルを作成する方法を解説しましょう。現在,キャビネットファイルでの圧縮,書庫化にも対応したライブラリとして「CAB32.DLL」(宮内邦昭氏作,http://www.lightship.co.jp/cab/cab32.html)というオンラインソフトが公開されています。これは単体利用できないので,対応するプログラムを組み合わせればファイルの圧縮,書庫化(もちろん解凍も)が行えるようになります。WinFD(高橋直人氏作,シェアウェア1500円,http://www.starseed.ne.jp/winfd/)のようなキーボード操作中心のファイル操作ツールや,Explzh(鬼束裕之氏作,シェアウェア1000円,http://village.infoweb.ne.jp/~fwhv5283/)のようなアーカイバ風のものもあるので,好みに応じたものを入手すればいいでしょう。
なお,Windows CEでもキャビネットファイルはサポートされています。ただ,これはソフトのインストール専用になっており,解凍用のソフトを入手しない限りキャビネットファイルの解凍ができないので注意が必要です。
(坪山博貴)


CABファイルの例

鬼束裕之氏の「Explzh」。名前のとおりエクスプローラ風に圧縮ファイルを作成可能。CAB以外にも5種類の圧縮/解凍形式に対応している