音声データをPCに取り込む方法

CDの音楽データをWAVファイルにしてPCに取り込みたいのですが,方法を教えてください。


音声データを取り込む方法としては,一度アナログデータとして再生し,それをサウンドレコーダで録音しWAV化する方法と,なんらかの手段でデジタルのまま取り込んでしまう方法の2種類が考えられます。前者はWindowsに標準で付属するサウンドレコーダーを使えば簡単にWAV化できますが,どうしても音質の劣化は否めませんし,おそらく知りたいのは後者の方法でしょう。
 CDから音楽データを取り込む場合,いくつかの条件を満たせばPCに搭載されているCD-ROMドライブが利用できます。まず,取り込みに使えるCD-ROMドライブはSCSI接続の,しかも特定メーカーの製品に限られます。具体的には,プレクスター,ソニー,東芝あたりの製品がこの機能を持っていることで有名ですが,筆者が試した範囲ではパイオニアの4.4倍速ドライブやティアックの8倍速ドライブなどでも吸い出しが可能でした。なおCD-Rドライブはほとんどの機種がこの機能を持っています。
 なぜATAPIのドライブではダメなのかというと,ATAPIは仕様的に不確定な部分が多く,オーディオデータをバス経由で転送する方法も定まっていないためです。SCSIでもこの機能はオプションなので,ドライブに実装するかどうかはメーカー次第です。
 次にソフトウェアですが,これもSCSI経由でのオーディオデータの読み取り機能を持ったものを用意する必要があります。一番簡単なのはCD-R書き込みユーティリティを使うことですが,このところ安くなったとはいえWAV変換のためだけに使うには少々高価です。単体では発売されていないのですが,筆者の一番のお勧めはプレクスターのPowerPlex32(画面1)です。残念ながら同社のCD-ROMドライブ専用なのですが,ほとんどの場合ドライブ速度での取り込みが可能で,作業時間を大幅に短縮できるからです(例外的に12倍速ドライブの場合のみ8倍速相当での取り込みとなります)。一般的にはオーディオデータの吸い出しは等速で行うのが普通で,頑張っても倍速程度なので,最新の20倍速ドライブならそれこそ20倍速く作業が終わります。Windows 95のほか,NT 4.0上でも動作します。
 フリーソフトウェア,シェアウェアなどでもいくつか同種の機能を持つものが出ています。インターネットや,NIFTY SERVEなどで探してみてください。大手アーカイブサイトには必ずいくつか登録されています。筆者の知っている範囲ではNIFTY SERVE FWINMMの3番ライブラリ#592に登録されているCDレコーダー(中田 功氏作。CR403ALL.LZH)などがあります。
 SCSIカードは何でもかまいませんが,取りこぼしを防ぐためにできればPCIのバスマスタ型を用意したいところです。新規に購入するのであれば,ダイアモンド・マルチメディア・システムズの新製品,「FirePort40」(1万9800円 TEL:03-5695-8401)がUltra WIDEなのにFast SCSI並みの価格で,外部ポートはクシ形50ピン,コントローラはSYMBIOSの53c875と汎用性が高く,しかも一部で有名な多機能CD-R書き込みソフト「Elektroson GEAR 4.0」が付属するなどお買い得度も高くお勧めです。
 CD-DAはCD-ROMほどエラー補正機能を持っていないため,外的要因によるデータ化けを起こす可能性が高くなっています。普通にD/A変換して耳で聞く分には少々データの欠損があっても分かりませんが,WAV化すると一発で分かるほどノイズが出てしまいます。高速なドライブほど,この傾向は強く,SCSI経由でオーディオデータを取り込むさいにはケーブルの長さやターミネータの仕様を確認しておいたほうがいいでしょう。
 最後に,当然のことながらサウンドソースは著作権法の保護下にあり,私的利用以外の目的での無断複製はアナログ・デジタルを問わず罰せられます。友人などにコピーしたテープをプレゼントするというのも著作権法違反です。素材集のように,著作権フリーを明記しているものでも再販などについては制限のあるものが多いので,使用条件はよく確認してください。
(アーカイブTech Lab.菊地 潤)


画面1 PowerPlex32。プレクスターのCD-ROMドライブに付属するアプリケーションだ