Windows NTのServerとWorkstationはどう違うのでしょうか。
二つとも,OSとしての基本構造は同じです。最大の違いは,Windows NT Workstation(以下Workstation)がプロダクトとしてはWindowsファミリーに属するのに対して,Windows NT Server(以下Server)がBackOfficeファミリーに属することでしょう。つまり,Workstationが通常のOSとして位置づけられているのに対し,Serverはネットワークサーバー製品に分類されているわけです。
具体的な違いとしては,まずServerにある一部のサービスコンポーネントがWorkstationにはありません。Serverでは,DNSやDHCP,WINS,Macintoshサービス,Index(検索)などが利用できます。HTTPサーバーも,WorkstationがPeer Web Servicesなのに対し,ServerではInternet Information Serverが付属しているなど,機能に差があります。
次に,ユーザーやファイル,プリンタなどの管理をドメインベースで行えるのはServerだけです。Serverはドメインコントローラとしての機能を持っており,ネットワーク全体を一括して管理できます。これに対してWrokstationではワークグループによる管理しかできないので,小規模のネットワークでは便利に使えるもののクライアントが増えてきた場合の管理には向きません。
ネットワーク接続数に対するライセンスの違いもあります。Workstationでは,10コネクションまでというライセンス上の制限がありますが,Serverにはこの制限がありません(ただしファイルや印刷に関してはクライアントアクセスライセンスが必要)。Workstationは接続が制限されるため,複数のクライアントから接続されるサーバーとして使うのは難しいでしょう。
そのほかにも,Serverにはフォールトトレランス機能としてソフトウェアによるRAIDなどの機能があります。フォールトトレランス機能というのは,なんらかの障害が発生した場合に対策を施すもので,Serverではディスクに障害が発生した場合にデータの紛失を避けることができます。
なお,Serverにはそれぞれ機能が違う複数のパッケージがあります。通常のWindows NT Serverに加え,いわゆるエンタープライズ用途向けのEnterprise Edition,マルチユーザー版としてWindows Terminal Server機能を持ったTerminal Server Editionなど,用途に応じて選択できるようになっています。
なお,NTの次期バージョンですが,名称が「Windows NT 5.0」ではなく「Windows 2000」に変更されました。これに伴い,Wokstationは「Windows 2000 Professional」,Serverは「Windows 2000 Server」,Enterprise Editionは「Windows 2000 Advanced Server」になりました。また,「Windows 2000 Datacenter Server」という新製品も追加されることが発表されています。
(恣岡 悄)