小型のデジタルカメラにはCCDとCMOSの2種類の方式が存在するようですが,それぞれの性能の違いを教えてください。
個人向けのデジタルカメラが登場したのは5年以上前ですが,その後,急激に出荷台数を伸ばし続け,今や銀塩カメラに置き換わる存在へと成長を遂げました。さらに最近ではカメラの枠にとどまらず,ありとあらゆる機器にデジタルカメラ機能が搭載されて,多くの注目を集めています。
そのデジタルカメラの中で要となる役割を担っているのが,銀塩カメラでいうところのフィルムにあたる「センサー部分」です。撮影するアナログの映像を電気信号に変換し,デジタルデータに置き換えているのはセンサー部分であり,レンズ同様デジタルカメラの画質や性能に大きく影響する重要な部分なのです。
現在販売されているデジタルカメラに搭載されているセンサーは,Charge Coupled Device(以下,CCD)を用いたものが大半を占めます。CCDは多数の受光素子の集まりから成り立っており,アナログの映像を受光素子で読み取ってから,そのデータを受光素子の列順に読み出し,まとめて電気信号に変換することでデジタル化を行います。
CCDは感度が高く画質に優れていることから,デジタルカメラはもちろんのこと,デジタルビデオカメラやスキャナなど,多くの機器で使われています。しかしその構造上小型化が難しく,消費電力が大きいなどの理由から,携帯電話など小型の機器で使うには不向きといわれています。
CCDが苦手とする分野で多く使われているのが,Complemen
tary Metal Oxide Semiconductor(以下,CMOS)を用いたセンサーです。受光素子を使う仕組み自体はCCDと変わらないのですが,受光素子のデータ一つひとつを直接取り出して変換できるため,画像の読み込みが速く省電力性に優れているのが特徴です。また,カメラの動作に必要なLSIをワンチップ化しやすいことから,小型機器に搭載するのに非常に適した方式といえます。製造過程での素子の精度のばらつきや,構造上ノイズが入りやすいなどの問題があるため,CCDより画質がやや劣るといわれていますが,最近ではノイズを除去する回路をチップに内蔵するなどして,画質の向上が図られています。
J-フォンの「写メール」対応端末や,最近増えつつあるカメラ搭載型PDAといったモバイル機器を見てみると,使われているのはやはりCMOSセンサーを搭載した10〜35万程度の画素の低いものが圧倒的に多いようです。しかし,最近では,小型機器向けディスプレイの性能が向上し,画質に対するニーズが徐々に高まり,さらに技術の進歩によってCCDカメラの小型化/省電力化が進みつつあることから,今後は小型の機器にもCCDセンサーや,より画素の高いCMOSセンサーが採用されるケースが増えていくものと思われます。(左藤カツオ)
ミノルタの超小型デジタルカメラ「DiMAGE X」は有効画素数196万画素のCCDセンサーを搭載。
価格:7万2000円。
問い合わせ:ミノルタ フォトサポートセンタ
電話:0570-007111
http://www.minolta.com/japan/
auの次世代携帯電話「A3002CA」のデジカメにはデジタル4倍ズームが可能な35万画素CMOSセンサーを採用。
問い合わせ:auお客様センター
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