NICはISAかPCIか

ISAとPCIのLANカードのどちらを選択するべきでしょうか。PCIのメリットはどこにあるのでしょうか。


まずISAバスとPCIバスの特徴について少しお話しします。ISA(Industry Standard Architecture)バスは早くから存在し,現在でもAT互換機において広く利用されています。データバス幅が16ビット,バスクロックは標準で8MHzで,最大転送レートは16MB/secとなっています。PCI(Peripheral Component Interconnect)バスは,今ではあまり目にしなくなったVESAローカルバス(VLバス)と同時期に,インテルなどが中心になって提唱したバスアーキテクチャです。バスのデータラインとアドレスラインをプロセッサの多重化技術を使って共有させたことにより,データ転送の効率がよくなったことが長所の一つです。データバス幅は通常32ビットで,最大バスクロックは現状では33MHzまでが実用となっています。最大転送レートは133MB/secです。
 PCIバスのほうがISAバスよりも高速転送が可能ですが,もしLANカードが10Baseのカードでしたら,カードが必要とする最高転送レートはせいぜい1MB/sec程度なので,PCIでもISAでも大差ありません。100Baseの場合には,ISAバスの実効速度では厳しいので,PCIバスのほうが望ましいでしょう(ISAバス用の100Baseカードはほとんど見かけませんが)。
 ただし,一つ注目すべき点はCPUの負荷です。PCIバス用のLANカードはほとんどがバスマスタ方式を採用しています。一方,ISAバス用のLANカードは一部の高級タイプを除けばPIO方式です。したがって,UNIX系OSで常に多数のデーモンを走らせるような場合には,PCIバス用のほうがいいでしょう。
 現在ではPCIバス用とISAバス用の製品間での価格差もなくなりつつありますし,PCIならばIRQの共用ができるのでリソースの節約にもなります。現状ではPCIバス用のLANカードを購入するほうが得策でしょう。ただ,OSによって使えるLANカードと使えないLANカードがありますので,製品の具体的な対応状況はネットワークに詳しいショップなどで確認したほうがいいでしょう。
(伊勢雅英)