マイクロソフトのハードウェアガイドラインについて

PC 99という規格があるという噂を聞いたのですが,本当でしょうか?


マイクロソフトは,'95年に「Hardware Design Guide for Windows 95」で,PC 95というハードウェアに対するガイドラインを規定して以来,ほぼ毎年のように発表しています。
 PC 95は,必須仕様が「CPUがi386以上,メモリは4MB以上」など,比較的緩やかなガイドラインでしたが,'96年4月に発表されたPC 97ではUSBやIEEE 1394といった,当時まだどのマシンも搭載していなかった次世代インタフェースの装備を必須または推奨とするなど,ハードウェアメーカーにかなりのインパクトを与えることになりました。昨年4月に開かれたWinHEC97(Windows Hardware Engineering Conference)では,新たにPC 98というガイドラインが発表されました(当時はバージョン0.6。正式バージョン1.0は'97年9月に策定)。PC 98は,PC 97のマイナーバージョンアップ版のような位置づけになっており,PC 97と基本的な部分はそれほど変わっていません。また,PC 98からは,マイクロソフトとインテルが共同で規格を策定することになっています。
 PC 99(正式名称はPC 99 System Design Guide)は,1999〜2000年における基本的なPCの仕様を定めたガイドラインで,現時点では,まだドラフト(草稿)レベルのものしかありません。PC 99の最初のバージョンであるドラフトバージョン0.3は,'98年2月4日に公開されました。細かな仕様については,まだこれから変更される可能性がありますが,PC 99の基本的な仕様は,PC 97/98を受け継ぐものといっていいでしょう。
 PC 99の規格のうち,最も基本的な規格であるBasic PC 99では,PentiumU/300MHzと同等のパフォーマンスを持つプロセッサと,256KBのL2キャッシュ,最低32MBのメモリ(推奨64MB)を装備し,ACPI対応が義務づけられています。ベースクロックは100MHz以上が推奨とされています。拡張スロットやインタフェースに関しては,USBポートを二つ装備することや,PCIバスの最新規格であるPCI 2.2に対応したPCIスロットを装備することが必須となっています。また,ISAバススロットやISA経由で接続されるデバイスを装備することは許可されていません(PC 98でもISAスロットの搭載は推奨されていませんが,モデムカードとサウンドカードに関しては,'99年1月までという条件付きで許可されています)。IEEE 1394対応インタフェースの装備も推奨条件とされています。また,2倍速DVD-ROMドライブの搭載が必須とされている点も注目されます。
 家庭向けのConsumer PC 99では,56Kbpsモデムの装備が,Office PCではネットワーク機能の装備が必須とされています(ネットワーク機能に関しては,Consumer PCやEntertainment PCでは推奨条件になっています)。グラフィックスサブシステムには,AGP採用が推奨されているほか,3Dアクセラレーション機能も必須となっています。
 ノートPCのガイドラインであるMobile PC 99では,マイクロソフトが規定したMobile Power Guidelinesへの対応が推奨されているほか,DVD-Videoの再生が可能であることも必須とされています。ただし,3Dアクセラレーション機能の装備は必須ではなく,推奨とされています。
 なお,PC 99の今後のスケジュールに関しては,'98年3月6日までにドラフトバージョン0.5が公開され,'98年6月15日までに正式バージョン1.0が公開される予定となっています。
(石井英男)