microATXって普通のATXとどこが違うのですか。
基本的にmicroATXは,通常のATXのサイズを小さくしただけと考えればいいでしょう。まず,マザーボードのサイズを,幅はATXのままで長さを2.4インチ(61mm)縮め,これに合わせてケース取り付け用の穴2個の位置を新規に定義しました。サイズが小さくなったため,拡張スロットの数が減っています。ATXでは通常6本程度(PCI/ISA共用スロット1本含む)あったのが,microATXでは4本に減りました。
microATXの主な目的はコストの削減です。microATXを採用した場合,消費電力も低下するため(バス数が減って最大負荷が減少するので),より低出力で安価な電源ユニットを利用できるようになりますし,部品数を削減でき基板面積が減るので,マザーボード製造コストが下がります。ケースも小型化できるので,コストと設置面積の両方でメリットがあります。
1000ドルPC,あるいは800ドルPCといわれる最近の低価格PCの場合,必要な部品のほとんどがマザーボードにオンボードで搭載されているので,拡張スロットの数がそれほどたくさんある必要はなくなってきていますが,かといってすべての拡張スロットをなくしてしまうと将来の拡張性で不満が出ます。そこで,拡張性を適度に残して余分な部分を削ったmicroATXがクローズアップされているわけです。
ケースや電源などに関しても設計のガイドラインは用意されていますが,新規にこれらを設計しなくても既存のケースや電源がそのまま流用できるという柔軟性の高い規格になっています。スムースに既存のATX規格から移行できるような配慮がなされているのも,microATXの特徴です。
なお,本号から始まった新連載「イタ研」(p.246〜)で,ATXのP2BとmicroATXのP2E-Mを扱っていますので,どのように違うのか見比べてみるといいでしょう。
(大原雄介)