どうしてDOS/V用,PC-98用があるの

WindowsになってからPC-98とDOS/Vで同じソフトが使えるようになったのに,それぞれ専用のパッケージがあるのはなぜですか。


OS側で用意されたAPIだけを使って普通にコーディングされたWindowsアプリは基本的には機種依存しません。では,なぜ「PC-98パッケージ」「DOS/Vパッケージ」と分かれているものがあるのでしょうか?
 まず一つは配布媒体の制約による場合です。Windows 95登場以前のころ,CD-ROMドライブは非常に高価で,OSもアプリケーションもほとんどのものはフロッピーディスクで供給されていました。PC-98では1.25MBのフロッピーディスクが一般的で,1.44MBでフォーマットされたものを読み書きできなかったため,配布用の媒体が異なるだけで中身は一緒,というものも多く見受けました。この二重パッケージがメーカーに与える負担は少なくなかったでしょう。
 しかし,このところPC-98でもWindows 95が動作する機種なら1.44MBのディスクを扱えるようになり,ほとんどの機種にCD-ROMドライブを標準搭載するようになりました。
 最近発売された市販アプリケーションでは1.25MB版(いわゆるPC-98版)を用意しているものは見かけなくなりました。
 ただし,特定機種にしかないハードウェアリソースを直接操作するような場合は機種依存することになります。
 また,ゲームなどのように,Windows 95のDOS窓で動作するDOS版アプリケーションも,動作対象となっている機種のDOS窓でしか動作しません。
 加えて,ハードウェアとセットでパッケージされている場合に,その機器がISAバス用だったりCバス用だったりすると,アプリケーション自体は機種依存しなくても「PC-98用パッケージ」などとして,店頭に並ぶことになります。もっともこうした特定用途向けデバイスについても最近はPCI化が進んでおり,前述の配布媒体のことと併せ,やがて完全に単一のパッケージですべてOKとなる日も近いと思います。
(菊池潤)




本文で解説していた以外にも,古いアプリケーションでは,アプリケーションから直接ハードウェアファンクションを呼び出すものも機種依存になる。本文にある「DOS版ゲームが対応機種のDOS窓でしか動かない」のもこの理由による