ビデオカードやディスプレイの画質を比較するときに垂直同期周波数(リフレッシュレート)が問題にされますが,水平同期周波数の数値にはどんな意味があるのでしょうか。
まず垂直同期周波数(Vsync)は,ディスプレイの電子線が1秒間に縦方向へ走査する回数,すなわち画面の書き換え(リフレッシュ)回数(通常,単位はHz)を指しており,「リフレッシュレート」とも呼ばれています。垂直同期周波数は画面のチラツキに大きな影響を及ぼすため,人間にとってどれくらい見やすい画面になるか,すなわち画質を測る尺度の一つとして用いられてきたわけです。
一方,水平同期周波数(Hsync)は,ディスプレイの電子線が1秒間に横方向へ走査する回数(通常,単位はkHz)を指しています。水平同期周波数は,前述の垂直同期周波数,そして画面の解像度を決定するうえで非常に重要な数字となります。画面の解像度をA×Bドットとすると,これらの関係は以下のような数式で表されます。
Hsync=Vsync×1.05×B
この式から,解像度や垂直同期周波数を高くするためには,水平同期周波数が高くなければならないことが分かるでしょう。
水平同期周波数は,ビデオカードというよりディスプレイ側の性能を測る尺度として用いられています。ディスプレイの水平同期周波数がどれだけ上に伸びているかによって,どれだけ解像度を上げられるか,そしてチラツキがない画面を表示できるか,ということが決まるわけです。
例えば,解像度1600×1200ドットの画面をリフレッシュレート75Hzで表示させるためには,75×1.05×1200=94500=94.5kHzの水平同期周波数をディスプレイがサポートしていなければならないわけです。また,ビデオカード側では,RAMDACがこの画面を表示させるに足るドットクロックを持っていることが必要になります。
(伊勢雅英)