Celeron/266MHzは,400MHzなどにオーバークロックして動くものと動かないものがありますが,同じCPUなのになぜこんなに違うのでしょうか。
通常,CPUに限らずLSIは,例えば動作速度400MHzの専用工場で作るわけではありません。LSIは製造時に大きなばらつきが出るのが特徴で,極端な例では,同じプロセスを使い同じウエハー(シリコンの板)上に作られたLSIであっても,動作する速さなどに違いが生まれます。もちろん,製造ラインが異なっていたり,製造に使用した機器が違っていれば,製造されるLSIの特性は変わることが大いにあり得ます。LSIの動作周波数は,例えば0.25μmオーダーで作り込まれたトランジスタのゲート間距離など微妙な違いに左右されるからです。
メーカーとしても,定格以上のクロックで安定して動作したCPUならば,ユーザーの手に渡ってからも安定して動く確率が高いので,多少高めのクロックで動く製品を販売することがあります。
したがって,テストされた周波数を超える範囲でも,動作する可能性があるチップが市場に出回るのです。Celeronの場合,外部100MHzのPentiumUと同じ0.25μmプロセスで製造されていますから,上限の周波数が高い可能性は十分にあります。ただし,先に述べたようにばらつきは大きいというわけです。
同じことはPentiumUにもいえるのですが,PentiumUはキャッシュメモリに厳しいアクセスタイミングを要求するため,Celeronほどクロックアップ耐性が高くないとされています。
(米田 聡)
CPUはロットによって,オーバークロック耐性にばらつきがある。写真はCeleron/266MHzの中でもオーバークロック耐性が高いといわれているSL2Q型番のもの