最近マザーボード関係の記事を読んでいると「ACPI機能」という言葉がよく出てきます。マザーボードのACPI機能とはどんな働きをするのでしょうか。
ACPI(Advanced Configuration and Power Interface)は,マイクロソフトが中心になって定めた電力管理のアーキテクチャです。電力管理機能としては以前にもAPM(Advanced Power Management)という規格がありましたが,これはBIOSとOSの間で定められたもので,デバイスを管理する方法についてはBIOSに任されるようになっていました。結局,システムにAPM機能が搭載されたノートPCで有効に利用されていただけで,デスクトップ機では普及するにいたりませんでした。
ACPIでは,デバイスとOSとBIOSが三位一体になって電力管理を行います。このアーキテクチャでは電力管理の中枢部はOSとなります。この点がAPMと大きく異なる部分です。また,ISAやPCIなどの拡張スロットに接続されたデバイス,USBやIEEE1394といった新しいインタフェースに接続されたデバイスなども管理対象となっているので,APMの場合のようにノートPCだけではなく,デスクトップ機やサーバーなどでも電力管理機能が利用できるようになってきたのです。
ACPIでは,電力管理を行うためにシステムの状態,デバイスの状態,プロセッサパワー状態などを4〜6レベルで細かく定義しています。レベル間の遷移は,ASL(ACPI control method Sou rce Language)というプログラミング言語によって記述されます。
ACPIとセットになって「OnNow」というものもあります。これはなんらかのウェイクアップイベントにより,即座にコンピュータを使えるようにする規格です。例えば,ボタン一つで即座にパソコンを使えるようにしたり,電話がかかったときに自動的にパソコンをアクティブにして通信処理(FAX受信や留守番電話の受信応対など)を行うことが可能です。このようにOnNowを導入すると,パソコンも家電製品のような使い勝手を得ることが可能になります。実はこのOnNowの機能も,ACPIの細かな電源管理機能によって実現されるものなのです。
OnNow/ACPIはPC97マシンでは必須の機能とされましたが,普及するのはACPIをサポートする次期Windows 95(Memphis)やWindows NT 5.0がリリースされてからになりそうです。このようにOSが直接電源管理を行う機能を,OSPM(Operating System directed Power Management)と呼んでいます。
(伊勢雅英)
ACPIで定義される電源コントロールブロック