近ごろテレビコマーシャルなどでiナンバーという言葉を聞きますが,これは何でしょうか。INS64でのダイヤルイン追加番号とどう違うのでしょうか。同じであればiナンバーのほうが安価なので,導入しやすいと思っています。
iナンバーは広告などからも分かるように,ISDN回線で契約番号以外にもう1個の電話番号が付加されるNTTのサービスです。NTTでは以前からダイヤルインサービスで一つの回線に複数の電話番号を付加できるようにしていますが,iナンバーは制限があるぶん安価にサービスを利用できるようになっています。まずサービスの違いを簡単に列挙します。
iナンバー
・追加番号は1個(契約番号と合わせて1回線2番号)
・代表回線では利用できない
・同一の市内局番内でしか使用できない
・対応TAが必要。現段階でも多くはなく,以前のTAでは対応できないものも多い
・300円/月と低利用料金
ダイヤルイン
・追加番号は2個以上可能
・代表回線でも使用できる
・追加番号で利用する市内局番に制限はあるが,必ずしも同一でなくてもよい
(使用する交換機の制限はある)
・既存のほとんどのTAが対応している
・1番号につき900円/月と利用料金は高い。
契約番号にも必要になるので,追加番号1個でも1800円/月が必要
・グローバル着信選択が設定可能なTAでは,契約番号分の利用料金を節約できる
この違いは番号の通知方式の違いであり,ダイヤルインでは割り当てられた各ダイヤル番号が通知されてきますが,iナンバーでは例えば契約番号にかかってきた電話ならポート番号が1,追加番号にかかってきた電話ならポート2というふうに通知され,このポート番号を基にTAが処理しています。これがダイヤルインとiナンバーの違いです。
実際のところSOHO用途までならば1回線で二つの電話番号が利用できるiナンバーで十分でしょう。問題は最近のTAでしか利用できないことです。ただしTAも低価格化が進んでいますから,TAを買い換えたり追加しても,すぐに元が取れる場合が少なくないのではないでしょうか。ダイヤルインでは2番号利用で月当たり最低でも945円(税込み,以下すべて同),iナンバーなら315円で,月当たり630円の節約になります。3年あれば2万2680円の節約です。さらに現在グローバル着信選択に未対応のTAを使用していると,ダイヤルインでは月当たり1890円,1年で2万2680円節約できてしまいますから,TAを新たに購入してもすぐに元が取れる計算になります。
(坪山博貴)