VoIPという言葉を最近よく聞きますが,どういうものですか?
VoIPとは,Voice over IP(Internet Protocol)の略で,音声データをIPパケットに変換してデータを転送する技術のことを指します。ネットワークのブロードバンド化が進んでいる昨今では,とくに注目を集めています。
最近は,VoIPを使った安価な長距離電話のサービスも始まり,これからの技術といえます。一般の電話機同士で行うものやPC同士で行うものなどさまざまで,音声や動画をやり取りするWindows 2000標準のNetMeetingもVoIPの一種といえるでしょう。また,VoIP機能付きのルーターやVoIPゲートウェイもあります。モジュラージャックが付いており,電話を差して導入するだけでルーター間で内線電話になるという製品もあり,インターネットを経由しVPN接続された本店と支店などであれば,互いに内線電話として利用できるため,大学や研究所などで使われている例もあるようです。
VoIPには,ベストエフォート方式のコネクションレス通信という特徴があります。インターネットで使われているIPパケットに変換するため,任意のIPネットワークに転送できます。また,通話料金がかからないため,通信コストが低く抑えられるというメリットもあります。ただし,ベストエフォート方式を採用しているため,QoS(サービス品質)を維持するのが難しく,通常の電話と比較して音声品質があまり良くなかったり,音声遅延も大きかったりというデメリットも存在します。これは,IPによるネットワークはトラフィックの予想がつきにくいという特性によるものです。そのため,音声品質を保証するなんらかの仕掛けが必要になります。
現在,VoIPにはいくつかのプロトコルがありますが,基本となっているのが「H.323」という規格です。これは,ITU-T(国際電気通信連合・電気通信標準化部門)によりビデオカンファレンスを行うための通信規格として定められたものです。映像や音声,データといったマルチメディアデータの取り扱いにも優れていますが,QoSに関する規格は含まれず,VoIPの品質の保証はありませんが,現在,QoSに関する標準化も推進中で,将来的には快適な音声通話ができるようになります。
(赤坂健太郎)
図 VoIPを利用した内線電話の接続イメージ