HDDのストライピングとはなんですか。また,どのように設定すればいいのでしょうか。
ストライピングはRAID(Redundant Arrays of Inexpensive Disks)の一種です。RAIDは安価なディスク,つまりいわゆる普通のHDDを複数台用いて,高速で大容量,また信頼性の高いディスク装置を実現する手法です。RAIDは,基本的に0〜5までの6段階のレベルが定義されており,このうち「RAID 0」と呼ばれるものがストライピングに相当します。ストライピングは,複数のディスクに対して並列に読み書きを行い,I/Oパフォーマンスを飛躍的に向上させる方法です。ディスク1台では,高速化にどうしても限界があるので,複数台を並列に読み書きすることによって高速化を行うのです。
さて,このストライピングを実現するためには,まず同容量(できれば同機種)のHDDを2台以上用意しなければなりません。そして,OS(ソフトウェア)側でもなんらかのストライピング設定が必要になります。設定方法はOSによってさまざまなので,今回はWindows 95/NTについてだけお話しすることにします。
まず,Windows 95では基本的にRAID機能をサポートしていませんので,RAID機能を追加するソフトウェアを用意する必要があります。アダプテック EZ-SCSI Pro 4.5(以下EZ-SCSI)がこの機能を備えています。EZ-SCSIではRAID 0のみサポートし,ストライパというユーティリティで設定を行います。
このあたりはどのようなディスク構成であるか,どのような効果を期待するかによって設定方法が違ってきます。一歩間違うとディスクの中身を破壊してしまう可能性がありますので,マニュアルに従って慎重に設定するようにしてください。
Windows NTでは,特別なリフトは必要なくOSに標準でユーティリティ(ディスクアドミニストレータ)が付属しています。Windows NTでは,レベル0と1をサポートしており(1はミラーリングです),EZ-SCSIとほぼ同様の操作によって設定を行うことができます。
ここで触れた方法は,ソフトウェアだけでRAID 0を実現するソフトウェアストライピングと呼ばれるものです。ソフトウェアストライピングは,特別なハードウェアがいらない,IDE HDDでも実現できるなどの利点がありますが,それほど高い効果を期待することはできません。したがって,業務用途などでより高い効果を必要とする場合には,RAID機能をハードウェア的にサポートするRAIDカードを用いるのが一般的です。
RAIDカードは,性能によって,価格もピンからキリまであります。なお,RAIDカードを用いた場合のストライピング設定は,OS側ではなくRAIDカードのBIOSで行うケースが圧倒的に多いです。設定方法は各製品のマニュアルを参照して下さい。
(伊勢雅英)