デュアルCPUの構成は,同じクロックのCPUでないとだめですか?
デュアルCPUシステムに使用するPentiumII/IIIのデータシートを見ると,デュアル環境は同一クロックでかつ同タイプ(とくにPentiumIIの場合はロットによってデュアル不可な組み合わせも存在します)しかサポートしないと明記されています。サポート範囲という意味では,同一クロックでなければいけないことになります。
参考までに,筆者の手元にある機材で本当に動かないのかテストしました。RIOWORKSの「PDVIA」という,VIAのApollo Pro133Aを使ったデュアルCPUマザーボードに,PentiumU/266MHzと300MHz,PentiumIII/450MHzと600E MHzを交換して,Windows 2000 Professionalが動作するか確かめてみました。結果,PentiumUとPentiumIIIの組み合わせ(FSBを強制的に66MHzに設定してテスト)ではWindows 2000の起動中にリセットがかかってしまいましたが,クロック倍率の違うPentiumU×2個とPentiumIII×2個ではWindows 2000が起動して正常に動作しました。
なぜサポート外なのに動作したのかというと,デュアルCPUのシステムには複数のCPUが協調動作できるように,メモリやI/Oを制御するための機能が付いているのですが,この機能自体はFSBクロックが同一であれば問題なさそうだからです。テストに使ったVIAのApollo Pro133AやインテルのIntel 440BXチップセットのデータシートなどを調べたところ,デュアルCPU時のCPUの内部クロックに関する記述が見当たらないのです。
ですから,多くのデュアルCPUマザーボードで,ここでテストしたような使い方も可能と思われます。とりあえずWindows 2000が起動しない組み合わせでも,CPUやマザーボードが壊れることはないでしょうから,新規購入ではなく手持ちの機材を使ってみたいという場合であれば,試してみる価値はありそうです。ただし,前述したとおりサポート外の使い方ですので,あくまで自己責任の範囲でお試しください。ハードウェアの故障や動作不良があってもサポートを受けることはできません。
(渋谷 隆)
画面3 Windows 2000がPentiumII/266MHzと300MHzで動いているところ
画面4 こちらはPentiumIII/450MHzと600E MHzで動いているところ。新旧のPentiumIIIなのでL2キャッシュ容量の違う組み合わせだが動作した