AGPの2X,4Xって自動設定なの?

AGP 4Xモード対応のチップセットでは従来の1X,2Xのビデオカードは自動認識されるのでしょうか? 使用しているViperX 770はジャンパがあるのに,ViperUにはジャンパがありません。


AGPにおけるチップセットとビデオカードの関係は単純で,AGP 1X〜4Xにおいては相互に互換性を持ちます。チップセットが1X対応でも4X対応ビデオカードが利用できますし,チップセットが 4X対応でも1X対応ビデオカードが利用できます。もちろん低いレベルに合わされますから,どちらかの高性能な部分が利用できません。相性問題は散見されるようですが,これはチップセットとビデオカードがAGP 2X同士やAGP 4X同士の組み合わせでもあることなので,AGPの仕様の違いが原因とはいい切れないといえます。
 設定については基本的には何もないと思っていいでしょう。Viper V770シリーズのようにAGP 1X/2Xと4Xをジャンパ設定で切り替える製品のほうがまれで,どちらかといえば設計段階でAGP 4X対応マザーボードがほとんど実在しなかったので,より確実な動作のためにジャンパによる切り替えにしたようです。ほとんどのビデオカードにはAGPに関連する設定は存在しませんし,マザーボード側も同様です。したがって一部の例外を除けば,チップセット,ビデオカードの組み合わせで最も高速な転送モードが使用されます。マザーボードのBIOSにはAGP 2X,AGP 4Xの有効/無効を設定できる製品が多いのですが,これはあくまで明示的に機能を無効にするもので,例えばAGP 2XのビデオカードとAGP 4Xのマザーボードの組み合わせだからといって,マザーボードのBIOSでAGP 4Xを無効にする必要は通常ありません。例えば,相性問題などで4Xでは不都合が発生する場合に,4Xを無効にするといった使い方をします。
 付け加えておきますが,AGPの各転送モードに関してはドライバ側の対応も必要です。したがってAGPがその性能をフルに発揮するには,チップセット,ビデオカード,ディスプレイドライバのすべての対応が必要です。もちろんOSの対応も必要で,例えばWindows 95でAGPがサポートされるのはOSR2以降であり,それ以前のWindows 95ではAGPの機能は無効になります。これは物理的にビデオカードが使用できないのではなく,AGPビデオカードはPCIビデオカードとして扱われ,性能的なアドバンテージはなくなります。AGPカードの多くがWindows 95 OSR2以降の対応になっているのはこのためです。またWindows NTも正確にはAGPに対応していませんから,AGPビデオカードはPCIビデオカードとして機能しています。
 性能的なことを付け加えておけば,現状ではAGPの転送モードの違いは描画速度にあまり大きな影響を与えていません。3Dビデオカードの多くは16MB,32MB,果ては64MBと巨大なローカルメモリを備えており,3Dゲームなどでもテクスチャデータの多くがローカルメモリに収まってしまうからです。AGPはメインメモリとビデオカード間の転送速度を向上させる(正確にはビデオカード側からメインメモリに高速にアクセスできる)ことが目的であり,ローカルメモリが十分に大きいとメインメモリへのアクセス頻度が低下しますから,超高解像度,多色環境でもなければあまり意味をなさないのです。
 上記のことからいえるように,AGPに関しては組み合わせをあまりシビアに考える必要はありませんし,設定に関しても同様です。現状ではAGP 4X対応のマザーボード,ビデオカードを組み合わせ最新のドライバを使用しておけばより理想的とだけはいえるでしょう。
(坪山博貴)



詳細なジャンパ設定がマニュアルに記載されていた「Viper V770」
(価格:オープンプライス 問い合わせ先ダイアモンド・マルチメディア・システムズ TEL03-5695-8401)