スキャナの用語を教えて!

スキャナを買おうと思っていますが,カタログを見ると「光学解像度」「最大解像度」「dpi」などという数値が載っています。これらはどのように見ればいいのでしょう? また,どれを重視すればいいのでしょうか。


イメージスキャナの最も重要な性能の指針として「解像度」があります。スキャナ購入を考えている人は,最初にチェックすべき項目でしょう。
 しかし,カタログを見ると,単に解像度と書かれている場合と,「光学解像度」と書かれている場合があります。さらに,両方が書かれている製品もあって,迷ってしまう人も多いでしょう。
 光学解像度は,画像をスキャンするハードウェアの解像度で,製品ごとに固定されています。それに対して,単に解像度という場合は光学解像度を指すこともありますが,「スキャンした画像をPCに出力するさいの解像度」という意味でもあります。
 後者の場合は,ハードウェアがスキャンした画像を基に,計算で指定した解像度のデータを作っています。このうち,重要なのは光学解像度です。同じ画像を光学解像度300dpiと600dpiのスキャナでそれぞれスキャンすることを考えてみましょう。
 図1は,比較的なだらかな曲線で表現される(周波数の低い)画像です。このような画像の場合,いずれのスキャナでも似たような結果が得られます。一方,図2は細かい変化のある(周波数の高い)画像です。こちらでは,両者の差は決定的です。一般に,風景写真のスキャンなどは周波数が低く,文字や図形のスキャンは周波数が高くなります。したがって,フォトレタッチ用の画像取り込みなどが主用途の場合には安価で低解像度のスキャナでかまいませんが,OCRなどに使うのなら可能な限り高解像度の製品を選ぶべきでしょう。
 ビット数は,RGBそれぞれ何ビットでスキャンできるかを表しています。例えば,8ビットならRGB各256階調,10ビットなら1024階調という具合です。製品によっては,RGBのビット数の合計で表示しているものもあります。この場合,「スキャンビット数は24ビット」のようになります。
 スペックとして表示されるビット数はスキャンするハードウェアの感度です。これをPCに出力するときは,フルカラースキャンでもRGB各8ビットです。では,8ビットを超えるスキャンビット数はなぜ必要なのでしょうか。
 現在のイメージスキャナは,ほとんどがスキャン時の補正をサポートしています。これは,スキャンした画像をPCで補正すると画像の持つ情報量が減るためです。画像の持つ(最大)情報量の変化は図3のとおりです。初期のイメージスキャナのように補正を行わないのでしたら,スキャン時のビット数は出力時のビット数だけあれば足ります。しかし,今や補正は常識ですから,スキャン時のビット数が多ければ,それだけ出力画像情報量の減少が少ないのです。
 具体例として,γ≒2で補正する場合を考えてみましょう。出力を8ビットに固定して,スキャンビット数が8,9,10ビットでの元濃度と出力の関係を図4に示します。8ビットでは出力に現れない値があり,ヒストグラムが櫛形に歯抜けします。9ビットでは抜ける歯が減りますが,やはりヒストグラムの櫛形が現れます。しかし,10ビットになると出力値と理論値の差がかなり小さくなっていて,ほとんどの値が出力され,曲線の再現性も高く情報量の減少が少ないことが分かります。もちろん,ビット数を増やせば,さらに良好な結果が得られるようになります。
(小西晃治)


図1 周波数の低い画像の場合 図2 周波数の高い画像の場合



図3 RGB各チャンネル1ピクセルあたりの最大情報量の変化


図4-1 8ビットの場合
図4-2 9ビットの場合
図4-1 8ビットの場合