PC UNIX開発者の横顔

PC UNIX(FreeBSD,Linux)はどのような人たちが開発しているのですか。



ボランティアな人たち。ハッカー(一般のマスコミが使う間違った意味でなく,正確な意味のハッカー)な人たち。UNIXを使いたい人たち。フリーなことに意義を見いだした人たち。といったあたりじゃないでしょうか。
 FreeBSDに限れば,この流れはJolitz夫妻が開発してネットワークで公開した386BSDに端を発します。Jolitz夫妻は,一般には386を搭載したPCでBSD UNIXが動作することを実証するために開発した,とされています。要するにPCでUNIXを動かす実験が目的だったんですね。
 Jolitz夫妻はバージョン0.1という,一応PCで動作する4.3BSDの386版を公開したあとは,フリーOSから手を引きます。しかし,ネットワークで公開された386BSDは完成度が低かったため,多くの人々が寄ってたかってパッチを当てはじめ,そういう中からFreeBSDとNetBSDという二つの系統に分かれてFreeBSDの開発が行われるようになったようです。
 当初は,386BSDにパッチを当てていたこれらのOSも,現在では4.4BSDLiteを基にした,完全にフリーで強力なOSになりました。このバージョンを開発している人々は,やはりボランティアベースで,BSD UNIXを使いたい人や,ハッカーな人,そしてフリーのOSに意義を見いだしている人ですね。
 PC UNIXのもう一方の雄であるLinuxのほうは,本誌'97年2/1号で触れたように,Linusさんが「PCで動く本物のOS」が欲しかったという理由で開発したUNIX互換カーネルが基になっています。現在でも原作者のLinusさんが中心になっている点が,他のフリーなUNIXとの大きな違いになるでしょう。Linusさんと,世界中にいる協力者がLinuxを作り上げています。こちらの開発にかかわっている人たちも,やはり,ボランティアベースで,ハッカーな人,フリーなOSが好きな人,ですね。
 あとは,GNU/FSFのストールマンさんのように,フリーであることに積極的な意義を見いだして活動している人もいます。
 UNIX系フリーOSの開発者やFSFが,何を目指しているかは,それぞれのオフィシャルサイトの文書類を読むと,より正確に把握できると思います。http://www.linux.or.jp,http://www.freebsd.or.jpや,GNU/FSFの文書を読んでください。
(米田 聡)