同時発生ストリームとは?

サウンドカードのスペックに同時発声ストリーム数とあるのはどういうことでしょうか。この数字が大きいとよいことがあるのですか?


一般にサウンドカードといっていますが,中身はMIDI音源と同等のものと見てよいでしょう。また,同時発声ストリーム数とは一般に言う同時発音数として話を進めます。
 MIDI音源には音色数と同時発音数という大きな要素があります。音色数はどんな楽器の音が出せるかの数をいい,ドラムなどのリズム音色とは分けている場合が多いようです。ただし,同時に発音できる音色数には制限があります。
 一方,同時発音数とは同時に出せる音の数をいいます。ただし,この最大同時発音数は使っている音色の作り方によっては減ってしまうこともあります。
 本格的なDTMの走りとなったローランドのMT-32は音色数128音色から同時発音音色数8音色+リズム30音色,同時発音数は最大32音と強力になりました。しかし,それでも十分とはいえないのです。例えばギターをストロークで弾いた場合,弦が6本あるので最大6音の発音となります。ピアノなら両手で10本。これは極端かもしれませんが,和音に4音,メロディ2音とすると,これだけで6音必要になります。この音をペダルを踏んだ状態で別の和音を4音弾いた場合,先に弾いた音の残響音が残っていなければならないので,一時的には10音必要ということになります。
 ピアノトリオの演奏なら17〜20音程度(+ドラムの発音数)は必要になり32音もあれば十分ですが,バンドスコアなどを基にデータを作ってみると,意外とあっという間に同時発音数をオーバーすることがあります。オーケストラ演奏の再現となると,まさに音が足りません。
 発音数が足りなくなった場合には,自動的に一番最初に発声された音から消して,新しい音に割り当てられます。この場合,余韻として残っている音から削られていくことになり,その結果がどんな感じになるかは容易に想像できるでしょう。
 実際に販売されているプロによる音楽データでは,少ない発音数で最大の効果をあげるように,音色の切り替えで同時発声数不足をカバーしたり,ストリングスの1オクターブユニゾンは一つにまとめ,音色やエフェクトで厚みを付ける,楽器同士で重複する音は最小限にするなどアレンジされている場合が多いようです。一方,アマチュアのコピー作品では聴感に忠実な再現を目指すたいへん凝った傾向が見られます。このようなアレンジではどうしても同時発音数は増える傾向があります。
(吹田智章)
(注)ストローク:弦を上から下へ,または下から上へ弾き,まとめて音を出す奏法


1本のギターでも6本の弦のそれぞれから音が出ているため6音必要