NTのネットワークコンピュータでWindows 95マシンが見えない

Windows NT 4.0 Workstationを導入しました。LANカードは自動で認識され正常にインストールできたのですが,ネットワークコンピュータにWindows 95のPCが見えません。なぜでしょうか?


マイクロソフトネットワークの標準であったNetBEUIプロトコルは,Windows NT 4.0から標準のプロトコルではなくなりました。ですから,Windows NT 4.0をデフォルトで(インストーラのいうがままに)インストールすると,NetBEUIプロトコルは組み込まれません。一方,Windows 95は現在でもNetBEUIが標準ですから,Windows 95にNetBEUIプロトコルしか組み込まれていないと,Windows NT 4.0からWindows 95のPCがブラウズできないという症状が現れます。
 したがって,これを解決するにはWindows NT 4.0にNetBEUIプロトコルを組み込むか,逆にWindows 95にTCP/IPプロトコルを組み込むという二つの方法が考えられます。
 マイクロソフトは現在,NetBEUIプロトコルを過去との互換性をとるためにだけ存在している,推奨しないプロトコルに位置づけています。ですから,LAN上のPCすべてに,TCP/IPプロトコルを組み込むのがマイクロソフト推奨の解決方法ということになります。
 しかし,少規模の(例えば家庭内の)LANでTCP/IPを使って得られるメリットは,さほど大きいとはいえません。インターネットに接続せず,LAN内だけでファイルなどを交換したいのなら,NetBEUIをLANの標準プロトコルにしたほうが面倒がなくてよいでしょう。TCP/IPを使うときはLANのIPアドレスを決めるなど面倒な設定が必要になりますが,NetBEUIなら不要だからです。
 一方,将来性を考えるならTCP/IPをお勧めします。TCP/IPを標準にすれば,Windows NT 4.0にプロキシをインストールしてLAN全体をインターネットに接続したり,ルーターを購入してインターネットに接続するなど,さまざまな応用が可能だからです。

*NetBEUIプロトコルを使うとき
 これは簡単です。Windows NTのネットワークコンピュータのプロパティを開き,プロトコルの追加を行ってください。プロトコルタブを開き追加ボタンを押し(画面1),NetBEUIプロトコルを選択する(画面2)と,Windows NTのCD-ROMを入れるよう促され,指示どおりに進めて再起動すれば,NetBEUIプロトコルが有効になります。今まで見えなかったWindows 95のPCがネットワークコンピュータでブラウズできるようになっているかを確認しましょう。

*TCP/IPを使うとき
 まず,LAN全体のIPアドレスを決めなければなりません。インターネット公式のアドレスを取得しないネットワークは,プライベートIPアドレスを設定するよう推奨されています。プライベートに利用できるIPアドレスはいくつかありますが,192.168.1.1〜192.168.1.254を利用しておけばいいでしょう。各PCのIPアドレスを,この範囲から決めていきます。例えば,

Windows NT 192.168.1.1
Windows 95 192.168.1.2
ノートPC 192.168.1.3

というように,適当な順に番号を振っていけばいいでしょう。
 このとき,ネットワークのIPの諸元は次のようになります。

ネットワークアドレス 192.168.1.0
ブロードキャスト 192.168.1.255
サブネットマスク 255.255.255.0

 Windows 95のPCにTCP/IPを組み込み(組み込み方は前出のNTとほぼ同じです),各PCのネットワークコンピュータプロパティのTCP/IPパネルで,手動で設定を選択して(画面3)上記の諸元と,各PCに割り当てたIPアドレスを設定していきます。また,バインドタグを確認して,マイクロソフト共有サービス,マイクロソフトネットワーククライアントなどLANで使うサービスがTCP/IPにバインドされているかを確認してください。
 すべてのPCを設定し終われば,ネットワークコンピュータですべてのPCがブラウズできるようになります。
(米田 聡)


画面1 NetBEUIを使うときのWindows NT側の設定。「プロトコル」タブを選択し「追加ボタン」をクリックする


画面2 ここで「NetBEUIプロトコル」を選択する


画面3 TCP/IPを使うときのWindows 95側の設定。IPアドレスを指定し諸元に従って入力する