最近,650MBよりも大きな容量を書き込めるCD-Rメディアが出ていますが,これは普通のものとはどこが違うのでしょうか。
CD-Rは,レッドブックで定められた74分のオーディオデータ(2352バイト×33万3000セクタ)を最低限収められるだけの容量となるように作られています。多くのCD-ROMで採用されているイエローブック モード1でデータを書き込んでいくと,だいたいどのメーカーのメディアでも650〜658MBくらいの記録容量になるはずです。このとき,メディアの最外周に若干スペースが残るので,80分程度までならば作成できるといわれています。
このような流れで最近登場したのが,79分や80分までOKというお化けメディアなのです。具体的な製品には,オリエント測器コンピュータの「CD-R PW74+α」などがあります。
ただし,650MBを超えて書き込みを行うためには,CD-Rドライブと書き込みソフトの両方が対応していなければなりません。Andy McFadden氏のCD-Recordable FAQ(http://www.fadden.com/cdrfaq/)によれば,CD-Rドライブでは,ティアック CD-R55S,プレクスター PX-R412C,ヤマハ CDR 4xx/4xxxシリーズで書き込みに成功したと報告されています。しかし,同じ機種でも,ドライブに搭載されたファームウェアのバージョンによって微妙に結果が変わってくるようなので,書き込み可能な機種名を単純に列記するのは難しい状況です。実際に自分の環境で確かめてみないとなんともいえません。
次にソフトウェアですが,日本語版が発売されているものでいいますと,ビー・エイチ・エーのB’s Recorder Gold(2万9800円 TEL:06-886-0648),バーリトードのnero BURNING ROM 98(1万2800円 TEL:03-5249-5241)などが対応しているようです。
また,書き込みモードは,原則として「ディスクアットワンス」でなければなりません。ディスクアットワンスは,1枚のメディアに対して,リードイン,データ,リードアウトの1セッションを1回の書き込みで完了する方法です。追記はできなくなりますが,次のセッションのために用意された領域を節約できるので,その分多く書き込めます。蛇足ですが,通常の74分メディアも650MB以上記録できる製品がほとんどなので,ディスクアットワンスで記録すれば650MB以上書き込めるのです(外国では「OverBurn」と呼ばれているようです)。
しかし現実問題として,79〜80分記録可能なメディアは一般的な74分メディアと比較して高価ですから,よほどの事情がない限り,79〜80分のメディア1枚に収めようとせず,74分メディアを2枚使って記録したほうが,安全で経済的だと思います。
(伊勢雅英)
74分(650MB)以上の書き込みが行える,オリエント測器コンピュータ(TEL:06-965-6070)のCD-R PW74+α(店頭価格が1枚450円程度)