プリンタポートでECP,EPP,SPPとありますが,その違いが分かりません。
パラレルポートは,たいていのコンピュータに搭載されています。主な用途として,プリンタを接続するインタフェースが挙げられると思いますが,最近では,パラレルポートを介してコンピュータ同士をつないだネットワークを構築したり,CD-ROMドライブやバックアップデバイスなどのストレージデバイスを接続するといった使い方もされています。このように応用範囲が広いのは,パラレルポートが比較的高速にデータを転送することが可能だからです。パラレルポートは,シリアルポートと違ってデータを一度に8ビットずつ転送する(これがパラレル=平行と呼ばれるゆえんです)ことができたり,また,シリアル転送のときのような,信号をエンコードしたりデコードする待ち時間もいりません。そのため,拡張仕様パラレルポートの最大転送速度は,115Kbpsのシリアルポートよりも約100倍速いとされています。
古くからある最も一般的なパラレルポートは,SPP(Standard Parallel Port)と呼ばれているものです。IBMが最初のパソコンにパラレルポートを搭載したとき,プリンタメーカーであるセントロニクスの規格に全面的に従ったので,それ以来,コネクタやプロトコルにはこのセントロニクス仕様が採用されています。この仕様のデータ転送レートは約500KB/secです。
さらに,プリンタ以外のデバイスを(汎用性を維持して)接続したり,さらなる高速化を行うために,'94年にセントロニクスの仕様がIEEE 1284-1994という形で標準化されました。この規格では,以下に挙げた5種のモードが定義されています。
@互換モード(SPPと互換)
Aニブルモード(プロトコルについては仕様書に記述されていない)
Bバイトモード(プロトコルについては仕様書に記述されていない)
CEPPモード(Enhanced Parallel Port)
DECPモード(Extended Capability Port)
EPPモードは,SPPモードに加えて双方向通信を可能にしたもので,インテル,Xircom,Zenith Data Systemsが共同で開発したものです。データ転送レートは500〜2000KB/sec程度と比較的高速なので,現在では一部のプリンタ,ノート用のHDDやCD-ROMドライブ,パラレル接続のZipドライブなどに採用されています。
ECPモードはEPPモードを拡張したもので,ヒューレット・パッカードとマイクロソフトが共同で開発したものです。RLE(Run Length Encording)を用いたデータ圧縮転送が可能なので,理論的には従来のポートと比較すると最大で64倍の高速転送が行えることになります。しかし,現状では,ECPに対応したデバイスはあまり見かけません。
(伊勢雅英)