スキャナを選ぶさい,USBとSCSIの各方式によるメリットを教えてください。USBではSCSIに比べて転送速度の面で不安が残りますが,大丈夫でしょうか?
シリアル接続からパラレル接続へと接続方式が変化してきたスキャナですが,高性能化(扱うデータサイズの増大)によりSCSI接続モデルが,またWindows 98の登場でサポートされるPCが増えたことからUSB接続モデルが登場してきました。これら2方式が事実上の主 流といってもいいでしょう。
SCSI接続では,最低でも5MB/sec(ナローSCSI)の転送速度が確保され,現時点での一般的なスキャナ接続方法としては一番高速です。DOSの時代には,SCSIインタフェースとの相性問題が発生するケースもありましたが,この点はWindows 95になると大きく改善されました。SCSIインタフェースに依存するのがミニポートドライバのみになり,スキャナへのアクセスに利用されるASPIレイヤーが分離されたからです。
DOSの時代には,ASPIレイヤーまでSCSIインタフェースの各ドライバが提供していたこともあり,この面で非互換性の問題が出ていたのです。現在でも,スキャナに関しては多少SCSIインタフェースとの相性問題が残っているようですが,代表的なSCSIインタフェースを使用していればまず問題はないでしょう。
USB接続の場合は,転送速度は最大でも1.37MB/sec程度であり,Fast SCSIの9分の1,ナローSCSIの5分の1程度と,かなり遅く感じられます。しかし,その半面,接続や切り離しがいつでもでき(Hot Plug),SCSI接続の場合のSCSI ID,ターミネーションなどの面倒な管理は一切不要になります。また,Windows 98登場以降の,ほとんどのPCがUSBインタフェースを持っている現在では,別途インタフェースを購入する必要もありません。例えば,ノートPCなどでもUSBポートがあれば使えるわけです。USBケーブル自体も細身で取り回しがよく,手軽さという点では圧倒的にUSBが優位です。
ただ,現状ではOSがWindows 98に限定される点には注意が必要です。スキャナが関連するグラフィックス処理では,OSにWindows NTを使用する人も少なくないでしょう。SCSI接続スキャナすべてがWindows NTでの動作を保証しているわけではありませんが,多くの製品がWindows NTでも使用可能でしょう。
さて,気になる転送速度ですが,もちろん高速であればそれに越したことはありません。しかしスキャナの場合は,データ転送以外にも実際に書類をスキャニングする処理により多くの時間がかかります。トータルで見た場合,SCSI接続とUSB接続で大きく処理時間が違うのはかなり大きな画像を処理する場合に限られるでしょう。またSCSIインタフェースの理論上の最高転送速度で常時データ転送が行われるわけではない点にも注意が必要です。日々大量にスキャナでの画像取り込みを行うならともかく,趣味の範疇でスキャナを使用するなら,SCSI接続とUSB接続のデータ転送速度の差をそれほど重要視する必要はないでしょう。
(坪山博貴)
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