ぴっち着信でパソ通

PHSを受信用の電話回線としてパソコン通信を行ったり,ネットワーク接続をしたりすることはできますか。


受信用の電話回線ということで,モデムで自動着信してデータ通信をするというケースを想定して話を進めます。
 PHSの「みなし音声」を使った通信では,イヤホンマイク端子を利用するため,接続されたモデムでPHSへの着信を感知することはできません。また,PHS側からモデムを制御できないので,自動着信を行えません。したがって,一般的なイメージでの受信用の電話回線として利用することはできません。
 4月1日からPHS各社が一斉にサービスを開始した,PIAFSによる32Kデータ通信では事情が若干異なります。PIAFSでは専用の通信カードを用いるため,自動着信が可能になります。ただし,PIAFSは独自の通信形式を使用しており,PIAFSを利用したPHS同士の通信時に限って自動着信でのデータ通信が可能なようです。
 また,DDIポケット電話グループが独自にサービスしている「αDATA」では,専用通信カードを用いて一般的なモデム通信(14400bpsまで)と,同期64K接続(実際のデータ通信速度は32K)を実現していますが,自動着信はサポートされていません。αDATAでは,端末からアンテナまでは32Kでデータ通信を行い,アンテナ部に設置されたメディア変換装置でモデム通信のための音声信号変換,同期64K接続のための信号変換をしています。発信時には通信カードがメディア変換装置に対して通信形式を指定することができますが,着信時はできません。とくにモデム通信と通常の音声通話を,着信時に確実に識別する方法がありませんから,自動着信を行うことは難しいでしょう。
 現状では,PHSをデータ通信の受信用電話回線として利用できるのは,PIAFSを利用したPHS同士での通信に限られるようです。
(坪山博貴)