HDD設定の「Cable Select」とはどのように使用するものでしょうか?
IDE HDDでは,通常一つのIDEインタフェース(=ケーブル,バス)上に2台のIDEデバイスを接続でき,2台のIDEデバイスをマスター,スレーブとして設定することでそれぞれを識別します。この場合,SCSIデバイスと同様コネクタの物理的位置は関係なく,IDEデバイスのマスター,スレーブの設定のみが識別に利用されます。
Cable Selectの場合,まず通常のフラットケーブルではなく専用ケーブルを用います。このケーブルは三つのコネクタがそれぞれインタフェース側,1台めのHDD,2台めのHDDと決められており,コネクタの位置でHDDが識別できるように信号線の一部が入れ替わっています。これはFDDケーブルと同じ理屈です。
したがって,ユーザーはHDDをCable
Selectに設定すれば,後は接続するコネクタにだけ注意すればいいことになります。ただし,Cable Select用のIDEケーブルはほとんど販売されていないのが実状です。
筆者の知る限り,富士通のFMVの一部ではCable Selectが活用されています。これはメーカーとして増設用HDDを販売する場合にユーザーにとって分かりやすいからでしょう。増設用HDDをCable Selectに設定して販売すれば,ユーザーは空いているIDEコネクタにHDDを接続するだけでいいからです。また,ジャンパなどでの設定よりも,コネクタによってドライブの優先順位が変化するほうが分かりやすいともいえます。
ただ,HDDの取り付け位置やケーブルの取り回しが制限をされるので,あまり一般には利用されないでしょう。
(坪山博貴)