音楽CDの上位規格にSACD(SuperAudioCD)がありますが,SACDは今までの音楽CDとどう違うのでしょう? またSACDを書き込めるCD-RWドライブはありますか?
SACDはDVD-Audioと並ぶ次世代音楽CD規格の一つですが,まず重要なポイントは,既存の音楽CDとはまったく互換性がないことです。SACDは最もスタンダードなシングルレイヤー(1層記録)での記録容量が4.7GBとDVDに匹敵する大容量ですから,既存の音楽CDとは違うものといってもかまわないでしょう。またDVDのシングルレイヤーとほぼ同容量ですが,こちらとも互換性はまったくありません。
SACDは音楽CDと記録フォーマットも異なります。音楽CDがサンプリングレート44.1kHz/16ビットのリニアPCM記録なのに対し,SACDは音を密度で記録するDSD(Direct Stream Digital)方式を採用しています。音楽CDと表記を揃えるならサンプリングレート2.8224MHz/1ビットとなり,情報量としては4倍相当になります。このためSACDの再生帯域は高音側が100kHz以上,ダイナミックレンジも120dB以上と音楽CDを圧倒的に上回っています。またシングルレイヤーでも4.7GBの容量を持つため,記録時間も109分と大幅に延びています。また最初から強力なコピーガード機能を備えており,記録信号そのものが暗号化されています。
SACDは音楽CDと互換性がないのですが,ハイブリッドレイヤーと呼ぶ2層記録では,ピックアップから見て手前にSACDの信号を,奥に音楽CDの信号を記録することで,既存のCDプレイヤーでの音楽再生を可能にしています。もっともハイブリッドレイヤーのSACDを既存の音楽CDプレイヤーで再生しても,再生されるのは既存の音楽CDの記録フォーマットのままですから,高音質になるわけではありません。
ここまでの説明で分かると思いますが,現在SACDを書き込めるCD-RWドライブは存在しません。メディアが物理的に異なるからです。将来的には登場するかもしれませんが,DVDメディアと異なりSACDはPC用ストレージとしての使用を考慮していませんから,現在のCD-RWドライブのような製品は登場しない可能性のほうが高いでしょう。
ちなみにこれらSACDのタイトルはソニーグループのアーティストを中心に飛躍的にタイトル数が増しています。既存のCDプレイヤーでも聴くことができ,かつSACDプレイヤーを使うとさらに高音質で聴けるこれらのSACDタイトルは,著作権管理の面からも,今後の主流になっていくのかもしれません。
(坪山博貴)
普及価格で10月10日に登場する予定のSACDプレイヤー「SCD-XB7」(左),「SCD-XB6」(右)(価格:オープンプライス,ホソニーマーケティングお客様ご相談センター@0570-00-3311)。クラシックを中心にSACDタイトルも確実に増えてきている