PIAFSでインターネットにアクセス

もうすぐPHSでPIAFSという高速通信ができる規格が実用化されますが,PIAFSに対応したPHSを使えば,Webページなどが28800bpsモデムと同じように見ることができるのでしょうか。


'97年の春から運用されるPIAFS(PHS Internet Access Forum Standard)は,PHSを使って32Kbpsの高速データ通信を行えるようにする規格です。この規格では,データ伝送フォーマットと,伝送誤りが生じたときに再度データを送信するデータ再送方式を規定しています。実際にはエラーチェックのために冗長なデータをやり取りするようになるので,ほぼ28800bpsモデムと同じぐらいの転送スピードに落ち着くようです。さて,PIAFS対応のPHSを使えば,すぐにどこのブロバイダでも高速通信ができるようになるかというと,残念ながらそうではありません。PIAFSの規格を使ってデータ通信を行えるのは,PIAFS対応機器間に限られているからです。したがって,PIAFS対応のPHSから送られたデータを受け取るには,受け側もPIAFS対応のPHSかPIAFS対応ターミナルアダプタ(TA-P)が必要になります。つまり,プロバイダを経由してインターネットに高速でアクセスするためには,契約しているプロバイダにTA-Pが設置されていなくてはならないのです。
 大手のプロバイダはTA-Pの設置を明らかにしていますが,中堅プロバイダで,今のところ対応を表明しているところは少ないようです。
 しかし,TA-Pに対応していないプロバイダにも高速でアクセスする方法があります。一つはPHS事業者が用意している,PIAFS信号をアナログに変換するアクセスポイントを利用する方法です。この場合,PIAFS対応PHSからISDN公衆回線でアクセスポイントまできたPIAFSデータは,そこでアナログデータに変換されて一般公衆回線に転送され,プロバイダ,または商用ネットの公衆回線用アクセスポイントにアクセスすることになります。アナログ回線での転送速度は28800bps程度になる予定です。
 もう一つは,DDIが提供している14400bpsの転送速度でアクセスできるメディア変換機能を利用する方法です。これは基地局内にPHSのデータ通信をアナログデータに変換するメディア変換装置を取り入れて基地局とメディア変換機能対応PHS間でエラー訂正などの処理を行い,基地局からNTTのアナログ公衆回線にデータを転送します。速度は14400bpsでPIAFSと比べて遅いですが,データの受け側は今までどおりの設備で対応できるというメリットがあります。
(編集部)