ディスプレイケーブルの多くは0.5〜2.0mくらいですが,長くすると何か問題があるのでしょうか。また使用されている線材が良ければどこまでも長くできますか。
ディスプレイケーブルに流れる映像信号は高い周波数を持っていますので,ケーブルの容量(キャパシタンス)の影響を受けやすく,ケーブルが長くなればなるほど信号が減衰してしまいます。
しかし,一番決定的な問題は,ビデオカードのコネクタ部分(D-Sub15ピン)によるインピーダンス不整合です。ビデオカードやケーブル自体は特性インピーダンスがある特定の値になるように設計されていますが,このコネクタ部分だけインピーダンス値が異なるために,信号周波数成分の劣化が起こってしまいます(それに伴って,反射なども起こります)。この信号劣化はケーブルが長いほど顕著になります。BNCの同軸ケーブルを用いることによってある程度は回避できますが,ビデオカード側がBNCなどの同軸ケーブルで出力するように改善されないと根本的な解決にはなりません。実際に高級なワークステーションなどでは,ビデオ出力側もBNCコネクタになっています。
以上から,現状のコネクタ仕様ではあまりケーブルを長くするのは難しいでしょう。
(伊勢雅英)