PCI拡張カードを増設したら,IRQが足りなくなりました。簡単に増やす方法はありませんか。
PCIバスはIRQの共有が可能という前提で設計されていて,一つのIRQでも複数のPCIカードを動作させることが可能です。また,Windows 98/NT/2000は特殊な場合を除き,原則的にIRQの共有ができるという前提で作られています。そのため,最近のマザーボードでなおかつWindows 98など新しいOSを利用するのであれば,IRQの不足は発生しづらいといえます。
逆にいえば,これらの条件さえ整っていれば,IRQの共有を行っても,原則的には,トラブルは発生しません(あくまで原則で,ハードウェアの種類によってはトラブルが起こる可能性もあります)。ですので,IRQの共有をBIOSの設定などにより故意に避けているのなら,それをやめてIRQを共有するよう設定を行い,IRQの不足を解消させましょう。
ちなみにPCの状態,あるいはWindowsが原因でIRQが足りなくなる場合には,次のようなケースが考えられるので,状況に応じて対処してください。
●初期のWindows 95またはWindows 3.1を利用している場合
初期のWindows 95は,構造上の制約からIRQの共有をサポートしていませんでした(本来はサポートできるのですが,トラブルが発生する恐れがあるためIRQの共有をしないようになっていました)。また,Windows 3.1やDOSは構造上,IRQの共有をサポートできません。
OSがIRQの共有をサポートしていない場合,BIOSなどの設定でPCIカードのIRQをスロットごとに変更する必要があるため,IRQが簡単に不足してしまいます。物理的に足りないIRQを増やすことはできませんから,Windows 98へのバージョンアップで対応するしかないでしょう。
●ISAカードやPCカードスロットを使用している場合
ほとんどのマザーボードはISAカードのIRQとPCIのIRQが重ならないよう割り当てます。古いISAカードはIRQの共有に対応できない恐れがあるためです。
また,ISAバス同士はハードウェア的な制約によりIRQの共有ができません。古いマザーボードでは,例えばISAバス4本にPCIバス3本といった構成をよく見かけます。このようなマザーボードで,ISAバスに複数のIRQを消費するようなカード(典型的な例はサウンドカードです)を装備しつつ,PCIカードを装備すると,IRQの不足が発生する可能性があります。
そのような場合,古いISAカードの使用をやめ,PCIカードに置き換えるといいでしょう。例えばサウンドカードなら,PCIバスのサウンドカードに変更すればIRQの消費が抑えられ,かつIRQの共有も可能になるためIRQ不足が解消できます。
もう一つ,ハードウェアが原因でIRQが不足するケースとして,PCカードスロットの利用が挙げられます。16ビットのPCカードスロット(PCMCIA)は,数スロット分の空きIRQが必要です。デスクトップPCにPCカードアダプタを取り付けると,2スロットなら2個のIRQを消費(アダプタによっては3個消費する場合もあります)してしまい,IRQの不足が発生します。
そのような場合,根本的な解決は難しいといえます。PCカードスロットの利用を止めればいいのでしょうが,そうはいきません。利用するPCカードがストレージ系(フラッシュメモリなど)に限られているのなら,USB-PCカードアダプタやSCSI-PCカードアダプタに替えてみるという手段はあります。
(米田 聡)