ビデオキャプチャーのフォーマットにはいろいろありますが,どれが一番いいのでしょうか?
動画のフォーマットはさまざまですが,それぞれに特徴があり,どのフォーマットが一番いいとは一概に言い切れません。
主なフォーマットとしてはAVI(Motion JPEG),無圧縮AVI,MPEG-1,DVなどがあります。Motion JPEGは最も手軽で,そこそこの圧縮率があって加工もしやすいため,採用しているソフトウェアも多いようです。キャプチャー装置によっては高解像度でキャプチャーできるものもあり,HDD容量と高速なCPUさえあれば高い画質のビデオデータを作成できます。
それに対して,無圧縮AVIは理論上最高の画質ですが,必要になるHDD容量も尋常ではありません。単に必要な容量が大きいだけでなく,解像度とFPSを大きくすると,高速な転送速度を持ったHDDが必要になります。
MPEG-1はCD-ROMに動画を保存するために開発されたフォーマットです。1.15Mbpsというビットレートが前提にあり,このデータ量で見るに堪えることを目標にして開発されました。また,リアルタイムでの伝送は用途に含まれていませんので,エンコードには手間ひまのかかる複雑な処理を行います。このような背景があるので,ある程度の画質にはなりますが,マニアックな人が求めるような高画質にはなりません。また,一度エンコードした動画を加工するのも容易ではありません。その代わり,同じ画質ならほかの追随を許さないほどの高い圧縮率になります。つまり,録画したい時間と保存できるサイズが決まっている場合には,最もきれいに保存できるフォーマットといえます。
最近はDVフォーマットのキャプチャー装置も増えています。このフォーマットは,基本的にはMotion JPEGと同様の特性があります。ただし,高い解像度の画像を扱うので,「きれいだけど,ややサイズが大きい」動画ファイルが作成されます。このフォーマットを活用するには,保存メディアとしてJazか1GBくらいのMO,DVD-RAMなどが必要でしょう。CD-Rや230MB MOでは容量不足です。検索性やランダムアクセス性は落ちますが,DVに保存するのが容量的にはベストではないでしょうか。
また,オリジナルのフォーマットで保存するキャプチャー製品もあります。このタイプのものは汎用性が低く,ほかの人とデータ交換を考えるとあまりお勧めできません。しかし,操作性が高かったり,何かしらの付加機能の付いている場合も多く,一概に使いにくいと決めつけることはできません。ですが,最低限,汎用フォーマットへのコンバータが同梱されていることを確認してから購入しましょう。
次に,用途別のベストフォーマットを見てみます。
スキャンした動画を加工するのなら,Motion JPEGがベストでしょう。各フレームが独立しているので,フィルタを作用させるのも,テロップを入れるのも容易です。それぞれのフレームはJPEG圧縮されているので,ファイルサイズもある程度小さくなります。
動画の保存をしたいのでしたら,画質対ファイルサイズ効果の大きいMPEG-1かDVがお勧めです。次々と撮りだめするには,保存サイズの小さいほうが向いています。MPEG-1はCD-RやDVD-RAMなどに保存して,ランダムアクセスすることが多い人向けです。
それに対して,DVは高品質での保存が可能です。ディスクに保存することも可能ですが,サイズが大きくなるので,加工後にDVテープに保存すべきでしょう。
とくに用途を決めていない人の場合は,Motion JPEGでキャプチャーするのが無難です。ある程度の画質と圧縮率,加工性を兼ね備えています。なお,高速なCPUと大容量HDDがあるのなら,できるだけ高解像度でキャプチャーできることを念頭に置き,装置を購入しましょう。
(小西晃治)