近ごろテレビコマーシャルなどでiナンバーという言葉を聞きますが,これは何でしょうか。INS64でのダイヤルイン追加番号とどう違うのでしょうか。同じであればiナンバーのほうが安価なので,導入しやすいと思っています。
これには,いくつかの要因が考えられます。まず,TCP/IPオンリーの環境(Qの方は当てはまらないようですが)では,DHCPのIPのリースに時間がかかる場合があり,そのようなケースでは結果的にネットワークのブラウズに時間がかかります。DHCPサーバーを利用している環境では,まずWINIPCFG.EXEを「ファイル名を指定して実行」で起動して,ネットワークカードのIPアドレスを更新してみましょう(画面1)。
質問の方のように,TCP/IPに加えてNetBEUIが組み込まれている場合,Windowsがブラウズリスト(ネットワークコンピュータの一覧)を得るのに時間がかかっていることが考えられます。解決法を述べる前に,Microsoftネットワークがどのようにしてネットワークコンピュータ一覧を得ているか簡単に解説しておきましょう。
Microsoftネットワークでは,LAN内の特定の1台が「ブラウズマスター」と呼ばれる役割を担います。ブラウズマスターはLANに接続しているPCをリストアップして一覧を管理し,ほかのPCに一覧のリストを提供します。
通常,一番最初に電源が入ったPCが自動的にブラウズマスターに設定されます。ただし,LAN上にWindows NT,あるいはSambaサーバー(UNIX上のMicrosoftネットワークサーバー)がある場合,そのサーバーが優先してブラウズマスターの役割を担います(注:Sambaではパラメータでブラウズマスターになるかどうかを設定できます)。
家庭内LANでは,PCの電源を入れたり切ったりするのが普通ですから,ブラウズマスターが切り替わるケースが多発する可能性があります。質問にあるように即座に一覧が出るときは,すでにLAN上にブラウズマスターがあったためです。一方,なかなか表示が出ないときは,まだブラウズマスターがリストアップを行っている最中,あるいはブラウズマスターが切り替わっている最中と考えられます。いずれにしても,LAN上のブラウズマスターがクライアントのリストアップを完了するまで,ネットワークコンピュータ一覧は表示されません。
というわけで,解決法として「ブラウズマスターを特定のPCに決める」方法があります。一番簡単なのは「常に電源を入れておくWindowsマシンを一つ用意する」ことですが,一般の家庭では難しいかもしれません。
そこで「Microsoft共有サービス」を組み込んでいるPCで,そのプロパティを開き詳細設定にある「ブラウズマスタ」を「自動」(デフォルト:電源が先に入っているPCがブラウズマスターになる)から「有効」にします(画面2)。すると,そのPCが必ずブラウズマスターに設定されるようになります。
ブラウズマスターを有効にするのはLAN内の1台に限定し,必ず先に電源を入れるようにしてください。複数台のPCでブラウズマスターを有効にすると,自動にしたのと同じ状態になることがあります。
詳細設定にはもう一つ,LMアナウンスという項目があります。こちらはMicrosoft LAN Manager 2(DOS時代のネットワークOS)が使っていたブロードキャスト(一斉同報通信)によるネットワークコンピュータ一覧に関する項目なので,デフォルト(いいえ)のままでかまいません。
以上の操作を行えば,ネットワークコンピュータの一覧が今までより速く表示されると思います。それでも若干のタイムラグはあり,我慢できないというのなら「ファイル名を指定して実行」で,
エエhostname
として[Enter]キーを押してみてください。こうすると強制的にhostnameに指定した名前のコンピュータをブラウズできます。
(米田 聡)
画面1 DHCPサーバーからIPアドレスのリースを受けるのに時間がかかる場
合は,WINIPCFGを使って「書き換え」を行い,強制的にIPアドレスのリース
を受ける
画面2 Microsoft共有サービスのプロパティでブラウズマスターを有効にし
たPCを1台作っておく