新型PowerMacintosh G3について

DOS/Vマシンを使っているのですが,最近のアップルには心惹かれるモノがあります。新型PowerMacintosh G3ってDOS/Vマシンに比べどこがスゴいのですか


アップルコンピュータの発売した新型PowerMacintosh G3シリーズ(以下,新G3)は,ユニークな外観が衆目を集めていますが,機能,性能でも十分ウィンテル系PCのハイエンドモデルと拮抗し得るマシンで,価格も20万円台前半からと手ごろです。従来のMacintoshと大きく異なるのは,従来型のパラレルSC
SIやRS-422シリアルポート,FDDなどのレガシーデバイスを切り捨て,FireWire(IEEE1394)やUSBといった次世代標準技術を積極的に取り入れている点,100Base-TXの標準搭載やネットワークブート機能の実装など,ネットワーク環境下での使用を強く意識した設計になっている点です。
 現在のMacintoshは,民生向けのパーソナルコンピュータとしては唯一,IBMとモトローラが開発した「PowerPC」という非インテル系RISCアーキテクチャのCPUを搭載し,OSにはアップルが独自に開発した「MacOS」を採用しているマシンです。PowerPCはまったく新規に設計されたアーキテクチャなので,x86シリーズのように過去との互換性を持たせる必要がない分構成がシンプルで,同じクロックでもより高速に動作します。CPU同士の単純な演算性能比較ではPentiumUを凌駕することも多く,MacOS上のWindows(DOS/Vマシン)やプレイステーションのエミュレータが十分実用的な速度で動作していることからもその性能の一端がうかがえます。新G3が搭載している「PowerPC750」はバックサイドキャッシュと呼ばれるメモリ専用バスを備え,CPUクロックと1対1〜1対3の速度でL2キャッシュを制御できるため,メモリアクセスによる速度低下を最小限に抑えられるようになっています。新G3では300〜400MHzのCPUと512KB/1MBのバックサイドキャッシュを1対2で接続しています。これはモジュール内にL2キャッシュを収めたPentiumUなどとほぼ同等の構成ですが,CPUの設計自体は1対1,つまりXeonやCeleron,K6-Vなどと同様CPUと同じ速度でL2キャッシュを制御することも可能になっており,サードパーティ製のCPUアクセラレータではそうしたハイパワーなものも発売されています。
 新規に設計されたロジックボードはマルチメディアとネットワークを強く意識したものです。形状はマイクロATX規格に準拠したものとなっています。そのほか,オンボードで400Mbpsの転送レートを持つFireWireとUSBを各2ポート,100Base-TX Fastイーサネットポートを実装しており,ウィンテル機でもまだ実装例の少ないATI RAGE128ビデオコントローラ(VRAM16MB)が66MHz32ビットPCIバスに接続されているほか,64ビットPCIバスを3スロット備えています(上位モデルではUltra2 SCSIカードが1枚実装済み)。キーボード,マウスはUSB接続のものが同梱されますが,ADBポートに従来タイプのものを接続することも可能です。冒頭でも触れたとおりFDDを持たないため,多くのPostScriptフォントなどのようにキーディスクを必要とするものは単体ではインストールできませんし,オンボードのSCSIポートが廃止されたため,従来の環境から周辺機器を引き継ぐには拡張カードの追加が必要です。
 とくに話題に上ることの多い筐体のデザインは,アクセサリや文房具,家具などのデザインで主流となりつつあるトランスルーセントを大胆に取り入れたものになっています(デザイナーはJonathan Ive氏)。筐体内部へのアクセスがとにかく簡単なのが最大の特徴で,レバーを一つ倒すだけでロジックボードにすべてのオプションを取り付けたまま展開することが可能になっています。
(米田 聡)



G3の側面写真。いかにもアップルらしいセンスだ