電源で,GND,±5V,±12Vのほかに「Power Good」というオレンジのケーブルがありますが,これはどういう役割を持っているのでしょうか。
Power Goodは,電源電圧があるレベル以下になったときに,PCをリセットさせる役割を持っています。電圧が低下したまま使用を続けるとPCが動作不安定に陥り,場合によっては貴重なファイルなどを破壊することがあります。そのような事故を防ぐために,電圧が下がるとPCを強制的にリセットしてしまうわけです。
Power GoodはIBM PCから受け継がれた機構ですが,現在はPower Good程度の機構では事故を防ぐことはできません。Windows 95を含め,すべてのOSがバックグラウンドプロセスでHDDへの書き込みを行っていますから,突然のリセットはファイルを失う可能性を意味するからです。事故を防ぐ必要があるのなら,UPS(無停止電源装置。写真下)を導入するほうがいいでしょう。
日本の一般家庭では,電源電圧が一定していますから,Power Goodのお世話になるケースは少ないと思われます。しかし,事務所などに使用されるビルでは,電源電圧が安定していないところもかなりあるようです。
昭和40〜50年くらいまで,オフィスで使用される電気といえば蛍光灯,FAX,電話,コピー機くらいでしたから,当時建設されたビルは,その程度の電源がまかなえるくらいに設計されています。そんなビルで大量のオフィス機器を導入すると,トランスや受電部の能力が不足し,場所によっては95Vを下回ることも少なくありません。そのような状況下でPCを使用すると頻繁にPower Goodが働いてPCにリセットがかかります。
これには,電源周りの強化工事以外に根本的な解決の方法はありません。ただし,電圧を安定させる機能が付加されたUPSを使い,ある程度のレベルまでは対応することができます。
(米田 聡)
安全性が重視される環境ではUPSの導入も検討する必要がある