パソコンコンセントについているアース線はどこにもつながなくてもいいのでしょうか。
パソコンのコンセントにはアース線が付属しています。DOS/Vマシン全盛の現在では,アース付きの電源コンセントが一般的になりましたが,ちょっと昔のPC-9801などの日本製マシンにはほとんどアース用の電源端子は用意されていませんでした。
これは,DOS/Vマシン用電源が200V/100Vの切り替えができることに端を発しています。100Vの商用電源を使う場合はアースはほとんど必要ありませんが,200Vの商用電源をアースなしで使用した場合,人間対マシンの電圧が200Vとなって大変危険です。そこで,アース端子を接続し,人間対マシンの電圧を100Vとすることで感電などを防ぐことが必要となるのです。つまり,200Vの電源に接続する場合には,アース端子は必須となります。
100Vの商用電源を使用した場合にも,アース端子を接続するメリットはあります。例えば,一部の高周波誘導がアースに落ちる場合もあり,高周波ノイズが低減されることになります。マシンに接続したスピーカーから大量のノイズが出ている場合には,スピーカーケーブルの取り回しとともに,アースをしてみるといいでしょう。また,漏電に対してもアースは有効です。この場合,アースをとると漏電遮断器が敏感に作動するため,すぐに漏電の有無を知ることができます。ただし漏電そのものを軽減するわけではないので注意してください。洗濯機やウォシュレットにアースが必須なのは,上記の理由によります。
家庭用の商用電源には,洗濯機用のコンセントなどの一部を除いて,アース対策はなされていません。一戸建ての場合には,アース棒を地面に埋め込むなどの工事で簡単にアースを用意することができますが,集合住宅では困難です。アルミサッシなどから無理にアースをとると,接地先そのものが回路として構成されてしまい,よくない結果が生じることが多いので,やめたほうが無難です。
アース端子は200V用と割り切って,200Vのコンセントに接続する場合にはアース端子にしっかりと接続し,100Vの商用電源を使う場合には,あまり気にせずに,できる範囲でアース対策をとるしかないというのが,現状でしょう。
(Y.Sahashi)