ACアダプタは流用できるか

周辺機器のACアダプタのサイズが大きいので,ほかの機器に付属のサイズが小さいACアダプタを流用したいのですが,大丈夫でしょうか。


電源アダプタにはAC-DCアダプタとAC-ACアダプタがありますが,ここでは日本で最も普及しているAC-DCアダプタを想定します(海外からの輸入品ではAC-ACアダプタを使用する製品が数多く見られます)。なお,AC(Alternating Current)は交流,DC(Direct Current)は直流のことです。
 まず確認しなければならない点は,プラグの形状と極性です。流用するアダプタのプラグ形状は,元のアダプタのものとまったく同じでなくてはなりません。そして,形状が同一でも,プラグの金属部に割り当てられる極性の+と−が逆だと,機器の破損だけでなく発火の原因となります。プラグが丸い筒状になっているものの場合,そのプラグの内側と外側で極性が違います。この極性はACアダプタや,機器側の差し込み口に記載されていることが多いのですが,なかには記載されていないものもあります。テスターがあれば,内側と外側のどちらが+であるかは容易に確かめることができますが,ない場合は極性が分かりませんので,ACアダプタの交換はあきらめたほうが無難です。
 プラグの仕様が同じだった場合,第2の関門として出力部の電圧と電流を調べる必要があります。ここでいう電圧とは,周辺機器に対して供給する電圧を指します。これが,元のものより高い場合には故障の原因になりますし,低い場合には安定して動作しなかったりまったく動作しません。アダプタに電圧が記載されていない場合には,極性のときと同様にテスターを用いて確かめることは可能です。
 電流は,周辺機器に安定して供給できる最大電流を指します。元のアダプタと同一かまたは大きくなければなりません。小さい場合には,アダプタ内の回路が過負荷になるため故障や発火の原因となります。一般的に,電流量の大きいアダプタはサイズも大きくなります。したがって,今回のご質問のように,大きいものを小さいものに換える場合,元のアダプタより電流量が小さくなる可能性が高いので,非常に危険です。
 なお,電流がどのくらいなのかを調べるにはアダプタを分解して内蔵されたトランス(変圧器)の仕様を確かめる必要があるので,素人は手を出さないほうがいいでしょう。
 付属品以外のACアダプタを使うと,当然メーカーの保証は受けられなくなります。あくまでも自己の責任で行ってください。
(伊勢雅英)


ACアダプタのプラグにはいくつかの形状がある。一般的な円筒状のものでも太さはいろいろ


ACアダプタにはこのように極性や電流,電圧が書かれているが,なかには書かれていないものもある。その場合は交換をあきらめるほうが無難


図 極性の表示