Ultra ATAが正しくセットアップされているかどうかチェックするにはどこを確認すればいいの?
E-IDEのHDDがマスターで付いているIDEケーブルに,スレーブでUltra ATAのHDDは付くのでしょうか。
どちらもUltra ATAに関する質問ですので,まとめてお答えしましょう。
Ultra ATAはHDDメーカーQuantumとインテルの提唱により'96年に規格化されたE-IDEの上位規格で,Ultra DMA/33とも呼ばれます。ANSIにより正式に規格化される予定です。最大データ転送速度が33MB/secと,従来のPIOモード4やバスマスタDMAモード2の2倍の転送速度を実現します。Fast Wide SCSIの転送速度が20MB/secであることからも,高速さが分かると思います。
この高速な転送速度を利用するためには,まずPCのマザーボードがUltra ATAに対応している必要があります。最近の430TX,440LX,VIA Apollo VP2/VP3/VPX,SiS 5582/5591といったチップセットを採用したマザーボードならほぼ対応しているようです。
これらのチップセットを使用していても,BIOSが対応していなければなりません(ただし,BIOSとマザーボードが対応していなくても,専用のインタフェースカードを利用するという方法もあります)。
また,HDDもUltra ATAに対応している必要があります。コネクタの形状などは通常のIDE用HDDと変わりなく,通常のモードでも使用できます。また価格も通常の製品と変わらなくなっています。
これらの環境が整って初めてUltra ATAとして機能するわけですが,もう一つチェックポイントがあり,Ultra ATA対応のHDDはマスター側に接続されている必要があります。スレーブ側だけに対応ドライブが接続されている場合には,33MB/secの転送はできなくなってしまうようなので注意が必要です。逆にマスター側がUltra ATA対応の場合には,スレーブは従来のドライブを接続して使用できるケースが多いようです。
ただし,マスター,スレーブ双方にHDDを接続する場合には,同一メーカーの製品でないとうまく動作しないことがあります。これらの理由としては,2台接続した場合マスター側のコントローラだけが使用されることと,マスター,スレーブの認識方法がHDDメーカーにより異なるためです。起動ドライブにほかのドライブが接続されていて交換できない場合には,セカンダリコネクタのマスター側に接続することで多くの場合は対応可能です。
最後になりましたが,設定の確認にはまずBIOSを確認してください。Ultra ATAが使用可能ならBIOSに「IDE Ultra DMA Mode」といった設定項目が加えられます(BIOSの説明書で確認してください)。また,Award BIOSなど起動時に周辺機器の接続状況を表示するBIOSでは,ドライブの動作モードが表示されます。
次に[コントロールパネル]→[システム]→[デバイスマネージャ]→[ディスクドライブ]を選択し,IDEドライブのプロパティの[設定]にDMAの項目が追加され,チェックされているか確認します。これでも不安なら,実際にデータ転送をして転送時間を計測するしかないでしょう。
(吹田智章)
DMAの項目(バスマスタDMAが設定されていても同様の表記)が表示される