USB2.0とi.LINK

USB2.0って,どんな速度で,どんな特徴がありますか? また,i.LINKとどちらが今後普及するでしょうか?


USB2.0はそもそも中低速デバイスの接続用であったUSBを高速化したもので,転送速度は最大で480M
bps(≒60MB/sec)になります。この転送速度はUltra Wide SCSI,Ultra ATA/33といった現在主流のストレージ向けインタフェースの速度を上回り,現在高速デバイス向けの次世代インタフェースとして普及しつつあるIEEE1394(i.LINK)の400
Mbpsをも上回るものです。現行のUSBは最高12Mbpsなので,40倍もの高速化が果たされることになります。
 USB2.0は簡単にいえば現行のUSBをそのまま高速化したものですから,特徴もそのままです。最大127個のデバイスが接続でき,ホットプラグ/アンプラグ(PC,デバイスとも電源を入れたままの接続/切断)が可能です。完全なPnPが実現され,新たなUSB機器を接続した場合でも必要に応じてドライバをインストールするだけでUSB機器が使用可能になります。また接続ケーブルも現状のものが利用可能とされています。したがって480Mbpsという高速データ転送モードが追加されたものと思えばいいでしょう。
 さて同様の高速データ転送可能なインタフェースと認知されているIEEE1394なのですが,こちらも標準化が期待されるインタフェースの一つでした。転送速度的にもUSB2.0と真っ向から競合することになります。現在も着々と普及は進んでいますが,USB2.0との違いは,USB2.0のホストコントローラがPC側の一つだけなのに対して,IEEE1394はすべてのデバイスがホストを兼ねる点です。つまり,IEEE1394ではPC抜きで対応デバイス間でのデータ転送なども可能ですが,これは少なくともPC接続専用のデバイスでは意味がありません。家電も兼ねるようなデバイス(DVカメラなど)ではIEEE1394のメリットは大きいのですが,デバイス側にもホストコントローラの機能が必要なので,当然コスト的には不利です。またPC向けチップセットの最大手であるインテルがIEEE1394のチップセットレベルでのサポートを取りやめてしまったため,現在のUSBのように最近のPCならほぼすべてのPCでインタフェースがサポートされている,という普及は見込めなくなってしまいました。
 技術的側面から見ればIEEE1394はすでに1600Mbpsまでの規格策定を進めており,USB2.0に対して優位性を保持していますし,すでに十分なパフォーマンスを発揮するHDDやMO,CD-R/RWドライブなども製品化されており,USB2.0に対して先行しています。USB2.0対応製品の登場は2001年以降とされていますから,まだちょっと先の話です。ただPC向けチップセットでのサポートが始まってしまえば,PCでは標準のインタフェースになることは間違いないでしょう。HDDはともかく,多くのリムーバブルドライブなどでは480Mbpsでも当面十分なデータ転送速度だからです。
(坪山博貴)