SCSIのターミネータについて

アクティブターミネータとパッシブターミネータはどう違うのですか?


SCSIバスには,合わせて18本のデータおよび制御ライン(シングルエンド8ビット幅転送時)があり,そこを高速な信号が駆け抜けています。この高速な信号は,電磁気学的には波動と見なされますから,バスの両端で反射現象を起こします。反射波は,重ね合わせの原理に基づいて,原信号を歪めたり壊したりする原因となるわけです。
 そこで,反射波を生じさせないために両端に設置する回路が,終端抵抗回路またはターミネータ(Terminator)と呼ばれるものです。終端抵抗回路には,パッシブターミネータ(Passive Terminator)とアクティブターミネータ(Active Terminator)の2種類が存在します。
 パッシブターミネータは,すべて抵抗から構成されている終端抵抗回路で,SCSI-1のときに採用されました。ところが,終端に利用するSCSI機器に供給する電源(ターミネートパワーといいます)の電圧降下などの理由で,終端が不完全となる場合があるのです。そこで,高速転送時でも高い信頼性を要求されるSCSI-2では,終端能力の高いアクティブターミネータ方式が採用されることになりました。
 アクティブターミネータとは,ボルテージレギュレータによってターミネートパワー電圧の降下を抑え,確実に終端が行えるようにした終端抵抗回路です。現在発売されているSCSI機器は,アクティブ方式の内部ターミネーション回路を持つ製品がほとんどです。
 パッシブターミネータとアクティブターミネータの違いは,抵抗が測定できるテスターがあれば簡単に調べることができます。ターミネートパワーピンと隣接するGNDピンの抵抗値が30.5オームのものがシングルエンド用のパッシブターミネータ,45オームのものがディファレンシャル用のパッシブターミネータです。また,それよりはるかに高い抵抗値を示し,またプローブを入れ替えると読み取り値が大きく変化するものが,アクティブターミネータとなります(重量が大きいほうがアクティブターミネータという通説は,必ずしも当てになりません)。
(伊勢雅英)


パッシブターミネータの回路


アクティブターミネータの回路