ファンやクーラーなど,見た目はほとんど変わらないのに値段は数倍という商品を見かけますが,高価なパーツはどんな点が優れているのですか?
パーツのみではないのですが,まず,一概に「高いから優れている」とはいえない点に注意してください。こうしたパーツは,仕入れ状況によって値段が左右されます。ベストセラー品は大量生産により原価が下がり,かつ店側も大量入荷によって仕切り値を下げることで低価格での入手が可能になる(インテルの標準クーラーがこのケースに当たりますね)ものもあるので,逆にあまり売れていない製品が高くなることもあるのです。
それはさておき,一般にクーラーの場合値段の違いは,
@材質に熱伝導率が高いものを使うため,材料コストがかかる(BlizzardやAlphaのヒートシンクがこの例)
A材質が硬い,あるいは複雑な加工をしているので加工コストがかかる(BlizzardやAlpha,あるいはWINDYなどがこの例)
Bファンの性能がいい(その分高価になる)
などの理由によると考えられます。
一方,ファンのほうでは,
@ケーシング(ファンの外側の枠)に金属を使うなどコストがかかる作りである
Aフィンが高効率を狙って複雑な3次元形状をしており,部品作成に手間がかかる
Bモーター部の性能がいい(その分高価になる)
といった原因によるものでしょう。
モーターでは,
@コイルの材質や巻き方が特殊で,高効率や大トルクを実現できるようになっている(その分,汎用品よりもコストがかかる)
A軸受けに使っているベアリングの材質がいい
などが主なコストアップの要因でしょう。とくに,ベアリングの場合は,材質(硬ければいいというものでもない),真球度(ボールベアリングのみの話だが,どれだけ理想的な球に近いかを示す。これが真球に近いほど,騒音低下や抵抗減少,寿命の延長に役立つ),使っているベアリングの数(一般には多いほど寿命が延びる)などが複雑に絡み合っており,ここにいいものを使うと簡単に(モーターの)コストが1桁から2桁は上がってしまいます。
最近では,流体軸受けを使ったもの(抵抗と騒音が大幅に減るが,寿命も短くなる)なども登場しており,これらのコストは一概に外から見ただけでは分かりません。基本的には店員さんなどに「この値段の違いはどこからくるのか」と直接聞いたほうが無難でしょう。
(大原雄介)