ハブアーキテクチャを詳しく知りたい?

Intel 815,815Eで採用されているハブアーキテクチャの特徴を教えてください。



440BXまでのインテルのチップセットは,ノースブリッジからCPUバス,メモリバス,AGPおよびPCIバスという四つのバスが出ていました。またサウスブリッジはPCIバスでノースブリッジと接続し,内部にはIDEコントローラとPCI-ISAブリッジ,そのほかの周辺機器が統合されているという構成でした。ところが以下のような問題が出てきたのです。

・レガシーフリーPCが推奨された結果,ISAバスが不要になり,ISAバスを装備しないことが推奨された。

・IDEの転送速度がどんどん上がってきており,Ultra ATA/33の33MB/sec,Ultra ATA/66の66MB/secを経て,現在主流のUltra ATA/100では100MB/secに達し,今後は150MB/secのSerialATAに移行しようとしている。こうした高速化に伴い,PCIバスの速度(133MB/sec)では間に合わなくなりつつある。

・サウスブリッジとほかのPCIデバイスが同列になっているので,例えばサウンドカードやネットワークカードが動いていると,その間IDEの転送が妨げられることになる。

・ノースブリッジからPCIの信号線を引っ張る必要があり,配線長が長くなるうえにレイアウトが面倒である。

 そこでIntel 810以降では,ハブアーキテクチャと呼ぶ独自の構成をとることにしました。これは,従来のノースブリッジにあたるMCH(Memory Control Hub)/GMCH(Graphics Memory Control Hub)と,従来のサウスブリッジにあたるICH(I/O Control Hub)の間を,266MHz/8ビットの独自高速バスで接続すると同時に,PCIバスのコントロールをICH側に移しました。これにより,以下の改善がなされました。

・MCH/GMCHとICHの間が従来の133MHzから266MHzに高速化されたため,速度不足が解消された。

・ICH内部にPCIバスとは別にIDEコントローラを用意したので,仮にPCIバスが拡張デバイスで利用中でもIDEの転送の妨げにならない。

・PCIバスがICHから出るため,PCIスロットのそばにICHを置くことで配線長を短縮し,かつ配線自体を容易にした。

 ちなみにこのハブアーキテクチャはIntel 810以降,インテルのすべてのチップセット,現在ではIntel 810/815/820/840/850で採用されています。
(大原雄介)



図1 従来の接続方法とハブアーキテクチャの違い