禁断の秘技?HDDの低レベルフォーマット

HDDの低レベルフォーマットとは何をしているのでしょうか。また,「低レベルフォーマットをしたHDDは保証しない」というショップがありますが,ユーザー個人でやってはいけないことなのでしょうか。


低レベルフォーマットとは,HDDの初期化の最も原始的なもので,HDDの記録部に物理的に溝を書いていきます。「低レベルフォーマットをしたHDDは保証しない」というのは,一般には「IDEのHDDをBIOSのメニューから低レベルフォーマットするな」ということを意味しています。
 BIOSなどによる低レベルフォーマットは,BIOSに設定された(もしくは自動認識された)シリンダ,ヘッド,セクタ数の情報を基に行います。しかし,現在のIDE HDDは実際のシリンダ,ヘッド,セクタ数と,BIOSに設定されたシリンダ,ヘッド,セクタ数が異なります。また,内周部と外周部で密度,つまりセクタ数が異なるのも当たり前となっています。
 現在では,BIOSのシリンダ,ヘッド,セクタ数の設定は,BIOSがHDDにアクセスするためだけに存在しており,物理的な仕様にはなっていません。ところがBIOSは,設定されたシリンダ,ヘッド,セクタ数を物理的な仕様だと思い込んで低レベルフォーマットを行うので,不都合が生じます。
 低レベルフォーマットはメーカーが製造時に温度,湿度などが管理された気密室などの理想的な環境で行っているので,こういった管理がされていない一般的な環境で行うことにメリットはないという側面もあって,ユーザーレベルでの低レベルフォーマットは推奨されていないようです。
 基本的に個人で行う作業ではありませんが,HDDの異常などでどうしても認識できないといった場合に,最後の手段としてやってみる価値はなきにしもあらずといった側面はあります。ただし,保証が受けられなくなるので,購入したショップなどに持ち込んだほうが無難です。
(坪山博貴)


HDDの低レベルフォーマットは素人は手を出さないほうが無難