Socket7のチップセット,430TXでは64MB超のメインメモリを搭載するとパフォーマンスが落ちるという制限がありましたが,これはSlot1系のチップセットでも同様なのでしょうか。
Socket7と異なり,Pentium Pro,PentiumUに代表されるインテルのP6アーキテクチャCPUはL2キャッシュをCPUパッケージ内に持っています。そのため,L2キャッシュの制限はチップセットではなく,CPUに依存します。
PentiumUでは,CPU IDが650H以前の製品が512MB,651H以降の製品が4GBまでのメインメモリを,L2キャッシュでサポートしています。なお,PentiumUでは333MHzの一部からCPU IDが651
Hとなり,350MHz以降のPentiumUはすべて651H以降です。今夏ごろから出荷されているDeschutes版の266,300MHzは652Hとなります。
こういったCPUでも,L2キャッシュでサポート可能な容量を超えるメインメモリを搭載すれば処理速度が落ちる可能性は十分考えられます。しかし,PentiumUでは最低でも512MBのメインメモリをサポートしているので,サポート外になるほど大容量のメインメモリを搭載したPCは,個人ユースではまずないと思います。
また,430TXなどのように64MB超のメインメモリがL2キャッシュでサポートされない場合でも,64MBを超えた容量のメインメモリを搭載したことが原因で処理速度が遅くなる状況はそれほどありません。現在のOSは一般に,メインメモリが足りなくなると,メインメモリとは比較にならないほどアクセス速度の遅いHDDを仮想メモリとして利用します。そのため,L2キャッシュを利用できるできないにかかわらず,メインメモリが多く搭載されているほうが有利なのです。もちろんPCの使い方によって例外は存在しますが,そう多い事例だとは思えません。
(坪山博貴)