最近のモデムはDSVD対応だけど

モデム規格の「DSVD」って何ですか?



DSVDは「Digital Simultaneous Voice and Data」の略称で,モデムを用いて1本の電話回線(アナログ回線)でデータ通信と音声通話を同時に行うことができる通信規格です。音声通話機能はモデムが提供し,モデム自体に内蔵したマイクとスピーカーや,モデムに接続したマイク,ヘッドホン,ヘッドセットなどを利用して音声通話を行います。モデムでは送信側が音声をデジタルデータに変換し,これとシリアルポートからのデータを合成して対応モデム間でデータ通信を行います。受信側ではこれと逆のことを行えば,音声通話とデータ通信を同時に行うことができます。また実際にはモデム間のデータ送受信は同時に行われますから,途切れることなく音声通話も行うことができます。当然ですが,音声通話に利用される分本来のデータ通信は速度が低下することになります。
 DVSDで勘違いしてはいけないのは,音声通話もデータ通信も直接接続された1対1のモデム同士でしか行えないことです。例えばインターネットへ接続(ISPのアクセスポイントに接続)しながら友達と音声通話が行えるわけではありませんし,お互いがインターネットに接続しているからといって,DSVD機能を利用して音声通話ができるわけでもありません。インターネット全盛の現在では個人同士のモデムを直接接続するようなことはほとんどないでしょうから,今となってはあまり実用的な機能とはいえません。お互いにインターネット接続している場合なら,NetMeetingのようなソフトを用いて音声通話を実現するほうが現実的でしょう。
 なおDSVDと同様なものとしてASVDがあり,こちらは「Analog Simultaneous Voice and Data」の略で,音声をデジタル化しません。その分モデムは安価製造できますが,DSVDよりも音声通話の品質が悪くなります。ASVDを進化させたものがDSVDといえます。
(坪山博貴)