'96年の11/15号p.200にあるThinkPadのCPU換装を参考にTP530CSのCPU換装を行いましたが,電源回路の変更方法がTP530CSについて書かれていないのに気づきました。電源回路変更は不要ということなのでしょうか。
インテルの486系CPUを搭載したPCでは,デスクトップPCでPGA(Pin Grid Arrayの略。ピンがパッケージの片面全体に配置されている半導体パッケージ),ノートPCはQFP(Quad Flat Packageの略。4辺からL字型の端子が出ている表面実装用の半導体パッケージ)のCPUを使うのが一般的です。インテルのPGAタイプは動作電圧が5V系であるのに対し,QFPタイプは3V系です。それに対し,AMDの5x86系CPUはPGAタイプでもQFPタイプでもCPUの動作電圧は3V系(3.3〜3.45V)となっています。そのため,AMDの5x86系CPUに換装するときは,デスクトップPCでは通常,電圧レギュレータで電源電圧を落とす必要がありますが,ノートPCではその必要がありません。
電源回路には保護回路というものがあり,ある一定以上の電流が流れると自動的に電流を遮断します。CPU換装を行ったり,外部クロックや内部クロックを上げると消費電力も上がります。個体差により症状が違う場合も考えられますが,AMD 5x86にCPUを換装したThinkPad 230Csを例にとれば,電源回路の改造を行わない場合,3倍速モード(100MHz)では正常に起動しますが,4倍速モード(133MHz)では起動の途中で保護回路が働いて電源が落ちてしまいます。そのため電源回路にある保護回路を改造して,流れる電流が多少大きくなっても保護回路が働かないようにしているわけです。ThinkPad 530CSをAMD5x86/133MHzにCPU換装した場合は,電源回路にある保護回路に余裕があるので,電源回路を改造する必要は一切ありません。
(関口哲司)