Windowsの「インターネット接続の共有」だけでフレッツ・ADSLでのインターネット接続は共有できますか?
結論からいえば可能です。Windows 98 SE/Me/2000の機能であるインターネット接続の共有はとくにインターネットに接続する形態を問いません。かなり特殊なドライバなどでインターネットに接続するのでない限り,モデムやTAでのダイヤルアップ,各種ADSL,CATVなどさまざまなインターネット接続手段でインターネット接続を共有できます。
注意点があるとすれば,フレッツ・ADSLはイーサネットでのブリッジモデムタイプですから,まずADSLモデムと接続するPCにはLANカードが2枚必要です。さらに「インターネット接続の共有」の設定では,ADSLモデムに接続したLANアダプタのプロファイルのプロパティから設定するのではなく,フレッツ接続ツールをインストールすると選択可能になる「P.P.P.o.E Adapter」のプロパティから設定する点です。この点に注意すれば,モデムやTAでインターネット接続の共有を利用する場合とほとんど変わりません。
またADSLモデムを接続したPC以外にはフレッツ接続ツールをインストールする必要もありません。正確にいえばADSLモデムを直接接続していないPCにフレッツ接続ツールをインストールしても,そのPCから直接フレッツ・ADSLでインターネットに接続できないからです。
Windowsの「インターネット接続の共有」を利用した場合,注意したい点もあります。ブロードバンドルーターなどと異なり,パケットフィルタリングなどができない点です。「インターネット接続の共有」は「IPマスカレード+NAT」というブロードバンドルーターとほぼ同じ仕掛けでインターネット接続の共有を行っていますから,この点で一定のセキュリティ機能も果たします。しかしこれだけでは常時接続では少々セキュリティ面で不安があるのも事実です。
またTCP/IPの設定で融通が利かなくなる一面もあります。「インターネット接続の共有」では実際にインターネットに接続するPCのLAN側のIPアドレスが「192.168.0.1」固定になり,このPCがDHCPサーバーになって,ほかのLAN上のPCはTCP/IPの設定をDHCPサーバーにゆだねることが原則になっています。実際にはレジストリの変更でDHCPサーバー機能を無効にしたり,IPアドレスを変更したりもできますが,これは公開された情報ではなく,正式な利用法でもありません。
ブロードバンドルーターはフレッツ・ADSLに対応(PPPoEに対応)した製品がすでに実売1万円台から多く出回っていますし,フレッツ接続ツールも不要になります。ほとんどの製品がパケットフィルタリングなどのセキュリティ機能も備えていますし,LANの設定もより柔軟に行えます。
Windowsの「インターネット接続の共有」は確かに安上がりですが,ブロードバンドルーターを導入したほうがさまざまな点でメリットが大きいといえます。
(坪山博貴)
Windows 2000の「インターネット接続の共有」の項目