T2P4でAMD-K6/300MHzが使いたい

ASUSTeKのP/I-P55T2P4 Rev.3.1を使っています。K6/266MHzやK6/300MHzを使いたいと思っているのですが,CPUのコア電圧を2.5V以下に設定できません。何かいい方法はありませんか?


P/I-P55T2P4 Rev.3.1は安定性と性能の良さで人気を集め,今となってはちょっと古くなってしまいましたがいまだに現役としてバリバリ使われている方も多いでしょう。かくいう筆者もその一人です。
 さてP/I-P55T2P4(以下,T2P4)のマニュアルのCPUコア電圧設定の項では,JP20の1-2ピンをショートすると2.5V,3-4ピンで2.7V,5-6ピンで2.8V,7-8ピンで2.9Vとなっています。このほかに,9-10ピンショートまたはすべてのピンをオープンにすることで3.2Vの設定になることが知られています(ただし,リビジョンによってはこのとおりでないこともあります)。
 質問のK6用2.2V設定ですが,ジャンパピンを2本差しすることによって実現可能です。1-2ピンと3-4ピンを同時にショートさせると,2.2Vの設定となります。ただしこの場合,レギュレータによる電圧のドロップがノーマル状態よりも大きくなりますから,レギュレータ自体が発熱したり,場合によっては壊れることがあるかもしれません。実行する場合にはご自身の責任において行ってください。発熱が激しいようでしたら,レギュレータの冷却を考えたほうがいいでしょう。
 K6/266MHzやK6/300MHzを使用する場合,電圧設定のほかにクロック倍率の設定も問題となります。K6/266MHzは4倍速,K6/300MHzは4.5倍速動作ですから,T2P4の最高倍率である3.5倍では,233MHzまでしか設定できません。そこで無理やり動作させる方法を考えましょう。
 K6のデータシートを見ると,内部倍率をコントロールしているのは,BF0,BF1,BF2の3本のピンです。BF0,BF1はT2P4のJP11,JP12でコントロールできるので問題ありません。BF2だけをプルアップ,もしくはアースに落とせば,2.5〜5.5倍まで設定できるようになります。
 BF2は初期状態でプルアップ(ハイの状態)されており,2.5〜3.5倍までの設定となります。そのため,BF2をアースに落とせば(ローの状態にする),4倍以上の設定が可能です。それには,BF2(W35)ピンをマザーボードのアースに落とす方法も考えられますが,すぐ隣にあるVss(V36)とショートさせればOKです。具体的には極細い針金(筆者はリード線をほぐして使っています)をVssとBF2の間に差し込みます。この方法はAMD5x86-P75を4倍速動作させるときによく使われた方法です。
 今回の例のように,規定以外の方法で使う場合には,関係する技術資料をよく見ることが必須です。K6の場合はAMDのホームページにあるK6プロセッサデータシート(http://www.amd.com/japan/K6/k6docs/j20695h.pdf)がお勧めです。
(寺崎基生)

P/I-P55T2P4のピンと電圧の関係
ショートするピン 電圧
1-2 2.5V
3-4 2.7V
5-6 2.8V
7-8 2.9V
9-10あるいは
すべてオープン
3.2V
1-2と3-4同時 2.2V


BFnとCPU倍率
BF2 BF1 BF0 倍率
1 0 0 2.5
1 0 1 3.0
1 1 0 2.0
1 1 1 3.5
0 0 0 4.5
0 0 1 5.0
0 1 0 4.0
0 1 1 5.5




AMD-K6のピン配置(裏面)