私はもともとMacユーザーで,「仮想メモリ=遅い原因」というイメージがあります。Windows 98では,物理的なメモリをたくさん持っていても,仮想メモリを使わなくてはいけないのですか?
結論をいえば,使わない設定はできますが,お勧めできないといったところでしょう。
Windows 98に限らず現在のOSでは,それ自身を起動するだけでも多くのメモリを必要とします。さらにメモリを必要とする巨大アプリケーションを複数起動しなければならないのが現在のWindows環境ですから,メモリをいくら搭載しても足りないといえます。ですが,ある一定のメモリ容量を搭載していれば,快適にアプリケーションを操作できます。それを可能にしているのが仮想メモリなのです。
Windowsが起動すると,HDD上にメモリアドレスを持った領域を確保します。これを仮想メモリ空間といいますが,この領域をアプリケーション側から見ると,物理的なメモリ領域と同じに見えるのです。いわば「疑似メモリ空間」をHDD上に作成しているのです。
仮想メモリがないと,たとえ128MBの物理的なメモリを搭載していても,Windows 98を起動してしまえば,アプリケーションなどは起動しますが,ものすごく動きが遅くなってしまいます。
通常は,Windows 98をはじめアプリケーションの多くが,起動するとそのほとんどの部分が仮想メモリ上にも展開されます。
物理メモリには,現在の処理に必要なプログラムやデータ,画面などが展開されています。例えば複数のアプリケーションを起動していると,現在処理しているデータなどは物理メモリ上に展開されています。そして,現在ウィンドウ上に表示されていない部分は,仮想メモリ上に展開されています。ここで,現在表示されているアプリケーションのウィンドウを下になっているウィンドウと切り替えたりすると,物理メモリ上のデータと仮想メモリ上のデータを入れ替え,画面に表示します。
このように,物理メモリと仮想メモリとでデータの交換をすることを「スワップ」とか「ページング」と呼び,メモリからHDDにデータを書き込むことを「ページ(ング)アウト」,HDDからメモリにデータを読み込むことを「ページ(ング)イン」と呼びます。
マシンに必要な搭載メモリ容量はどのくらいかを判断するとき,目安となるのがこのスワップです。アプリケーションを起動してなにかデータ処理をすると,頻繁にスワップが発生するような場合,システム全体の処理能力も低下してしまうので,このようなときにはメモリの増設が必要といえます。ビジネスユースであれば,64MBでも十分利用できますが,ビジネスでも動画などのマルチメディアデータを利用するようになった現在では,128MBは標準メモリとして欲しいところです。
●「システムモニタ」でメモリチェック
自動設定される仮想メモリですが,現在のメモリ容量を確認,変更もしくは切るためには,コントロールパネルから,[システム]→[パフォーマンス]→[仮想メモリ]を選択してください。[仮想メモリ]というダイアログボックスが表示されます。通常は[仮想メモリの自動設定]に設定することが推奨されています。例えば,増設したHDDに仮想メモリを設定し直したいというような場合は,[自分で設定する]を選択して変更してください(画面1)。
ところでスワップが頻発したらメモリを増設しようといっても,できれば数値とかグラフとかでスワップの状態やページイン/アウトを確認したいものです。そこで利用したいのが,Windowsに標準で搭載されている「システムモニタ」です(画面2)。ただし,標準のセットアップではシステムに組み込まれていないので,コントロールパネルにある「アプリケーションの追加と削除」を選択し,[Windowsファイル]の[システムツール]から選択,インストールしてください。このシステムモニタを利用すれば,スワップファイルのサイズ,ページインやページアウトやディスクキャッシュサイズ,ディスクキャッシュでのキャッシュヒットやキャッシュミスなど,メモリ関連の情報を入手することができます。
(阿部信行)
画面1 仮想メモリを手動で設定する項目く
画面2 「システムモニタ」でスワップの状態を確認してみる