SCSIカードとUltra ATAカードの共存は可能ですか? IRQが共有されている感じですが。
まず,原則としてSCSIカードとIDEカード(質問にあるUltra ATAカード)の共有も可能であり,IRQの共有も問題ありません。PCIではIRQの共用を可能にしており,例外があるとすればごく初期のPCI SCSIカードにIRQ共用を許さない製品があった程度でしょう。
SCSIカードとIDEカードで注意するのは,どちらも接続したデバイスからOSが起動できるインタフェースとしては同等であるという点です。PCでは原則としてIDEインタフェース,SCSIインタフェースの順でOSは起動可能なデバイスを探しますが,ここでいうIDEインタフェースはチップセットに含まれたオンボードIDEインタフェースを指しており,IDEカードを指しているわけではないのです。したがって,SCSIカードとIDEカードをPCIスロットに取り付けた場合,小さい番号のPCIスロット(ATXフォームファクターの場合,上から下に番号が振られる)に取り付けたカードから認識し,起動するデバイスを探します。したがってSCSIカードにもIDEカードにもHDDを接続する場合,OSを起動するHDDが接続されたほうをより小さい番号のPCIスロットに差し込むようにする必要があります。また,この場合BIOSの「SCSIから優先して起動する」といった設定は意味を持ちません。この設定はオンボードIDEインタフェースと拡張スロット上のSCSIのどちらを優先するか,という意味であり,拡張スロット上のSCSIカードとIDEカードの優先順位を決定する機能ではないからです。
なお現実的にはSCSIカードとIDEカードの両方を取り付けると,どちらかのBIOSが無効になってしまうことがあります。通常は起動時に拡張カード上のBIOSは自動的に適切なアドレスにマップされるのですが,これがうまくいかない組み合わせが存在するのが原因です。この場合,取り付けスロット位置を変更すると改善する可能性が高いようです。
(坪山博貴)