自分の家に店舗を併設しています。店と家の居間,そして書斎にWindows 95マシンを置き,CU-SeeMeを使って,どこにいても店の様子を把握しておきたいのですが,Peer-PeerでつないだWindows 95マシンでそんなことができるのでしょうか。
CU-SeeMeはTCP/IPプロトコルを利用してTV会議ができるようにするソフトウェアです。
TV会議という使い方のほかに,特定の場所にカメラを設置して,その場所のようすをCU-SeeMeで観察するという利用法もあります。
このソフトはTCP/IPプロトコルを使うので,サーバーマシンをはじめ大がかりな設定が必要と思われがちですが,TCP/IPを使って結ばれているマシンの関係は本来,みんなPeer-Peer接続です。
Peer-Peerという言葉は,とても特殊でして,もはや意味がないというと語弊があるかもしれませんが,プロトコルには関連のない言葉です。TCP/IPはもともと,クライアント/サーバーなどという主従関係を持たない対等なネットワーク接続を行うために策定されています。というより,パケット通信というのはそういうものだと思います。具体的にはネットワーク,一般的にはイーサネットなどを用いた一つのブロードキャストネットワークに,ネットワークアドレスを割り当てます。このとき,インターネットに接続しないプライベートなネットワークならば,RFCに定められているプライベートネットワーク用に予約されたアドレスを用いなければなりません。一般には,192.168.0.0〜192.168.255.0に属するクラスCのアドレスを選択しておけばいいのです。クラスA,クラスBにもプライベート予約アドレスはありますが,現実にはこれらの大規模なネットワークを設定する必要はないと思われます。
次に,各ノード,質問のケースでいうと,店舗,居間,書斎に設置したマシンそれぞれに固有のIPアドレスをつけていきます。例えば,PCが3台あるネットワークで,ネットワークアドレスを192.168.1.0としたならば,192.168.1.1,192.168.1.2,192.168.1.3をつけてやります。そして,各ノードのシステムディレクトリ下にhostsというテキストファイルを作成し,その中にコンピュータ名とIPアドレスの対応を記入していきます。
例えば,
192.168.1.1 monkey
192.168.1.2 roadster
192.168.1.3 ksr-2
というような具合です。
以上のネットワークの設定は次のようになります。
ネットワークアドレス 192.168.1.0
ブロードキャスト 192.168.1.255
ネットマスク 255.255.255.0
DNS なし(空欄)
WINS 使わない
DHCP 使わない
もちろん,Windows NTがあるなら,DNSやWINS,DHCPを設定してもかまいませんが,PCが数台しかなく,一つのブロードキャストネットワークで済むならば,hostsファイルを使ったほうが簡単です。
余談ですが,PCではPeer-Peerや,NetBIOSネットワークのような特殊なネットワークが先に流通して,あとからインターネットがやってきたため,混乱の元になっているようです。TCP/IPネットワークを作るなら,TCP/IPについての知識が必要になりますので,とっつきやすい入門書なら,ソフトバンクの『祝・入門TCP/IP』,もう少し専門的な知識が必要な方は,TCP/IPだけの解説本『マスタリングTCP/IP入門編』(オーム社)が,比較的平易で読みやすいので,設定を行う前に一度読んでおくといいでしょう。
(米田 聡)
図1 家庭内LANにおけるIPアドレスの割り当て。このネットワークは外部に接続されることが許されない
画面2 hostsファイルの記述。IPアドレスのあとにホスト名(各マシンを識別する名称)を記述する。Windowsディレクトリの下にhosts.samというサンプルファイルがあるので参照するといい
画面3 ネットワークプロトコル設定の例。TCP/IPプロトコルを追加して(左上図),そのプロパティを本文にあるように設定する(右図)
画面4 CU-SeeMeのアドレス入力画面。リフレクタを使わない場合は,相手のマシンのIPアドレスを直接入力すると接続できる