◇私が『ドラクエ4』を好きな、たった一つの理由 by dummy.x.
私が『ドラゴンクエスト4』を購入したのは、発売してから1年ぐらい経過した 頃だった。 値段は、確か3,980円。もちろん新品である。どうせしばらくすれば安く なるだろうと踏んでたが、定価の半額以下とは驚いた。 期待していなかった訳じゃない。むしろ逆だ。 「面白いものなら、いつ買ったって楽しめるんだから」 てな気持ちでいた。 私は『2』をリアルタイムでプレイした。その時にはファミ通などの攻略記事を 見たりしていたし、友達とも色々話していた。そのせいで、まだ自分が知らなくて いい情報まで入手してしまい、攻略することに一所懸命になって、素直にゲームを 楽しめなかった。 当時からのシリーズ・ファンには評価が高いらしい『2』だが、私の『DQ』 ランキング(1〜4のファミコン作品で集計、確定済)では最下位になっている のはその苦い思い出があるためだ。 そこで『3』の時には、周囲の盛り上がりが収まるまで待つことにした。 雑誌の記事はすっ飛ばし、友達の話はなるべく流し聞くようにして、とにかく まっさらな状態でゲームに触れられるように、意識して関連情報を遠ざけるように していた。 そして、大体1年後、情報もほとんどなくなったころに安値で購入。さすがに これだけ時間も立てば友達からの不粋な横槍もなく、ドキドキワクワクしながら たっぷり楽しむことができた。 これに味をしめた私は、『4」のときも全く同じ事を実践したのである。 待つのは消極的だからじゃない、少なくともこの場合は「思いっきり楽しむ!」 という目的に向かって積極的に突き進んでいるのだ。 で、「4」も最初っから楽しんでいたが、確か第1章が終わりに近付いた頃から、 「なんか、今までと違う…」 と感じ始めた。 その後、第2章の最後の城内で「“無音”というBGM」の破壊力を実感したり しながら、“何か違う感”を抱えたままゲームを進めていく。 そして第4章。 町の外へ出た時、そして初めての戦闘に突入した時、“何か違う感”は“明らか に違う!”という確信に変わった。 フィールドBGM“ジプシーの旅”と戦闘BGM“ジプシー・ダンス”の煽情度 が、モノスゴかったのだ。もぉたまらんのだ。 それまでのDQシリーズにはなかった、心の臓を一発でブチ抜くストレートさ。 歴代の“ほこら”BGMもかなり胸に染みるし、言うまでもなく“アレフガルド” も一聴で心を射ち抜く名曲だ。けど、この“ジプシー〜”2曲は、これらとは全く 違っている。とにかくそのあからさまな煽情度はハンパではない。 これで私が確信した“違い”とは、: 「『4』は、ストーリー重視なんだ!」 ということ(気づくの、遅い?)。 仇討ちを願う姉妹にフィットした“シプシーの旅”だけど、他章のフィールド BGMと比較して、明らかに浮いてる。さらに“シプシー・ダンス”は第4章で しか流れない専用BGMだ。そこまで用意するというのは、つまりそれだけその ストーリーを演出したいのだろう。 そんなこんなで第5章。冒頭で見せられる村の平和な暮らし。急転直下、一気に 孤独になった少年。 だがそれを動かしている私は平然としていた。私自身に起きたことじゃないから、 当然のことだ。 アイテムを見つけようと地下室の壷を調べられるだけ調べ、地上に出る。 そして地上でも、めぼしいところを調べながら歩いていく。村の中央の、さっき まで花壇だった場所を調べる。少年が姉のように慕っていた少女がいた場所だ。 「はねぼうしをみつけました」 それだけのことだ。それだけのことで、私は、毒に侵された花壇の中に立っていた。 「僕は…泣いている!」 この感覚は、強烈だった。私は、少年と完全に同化していた。 短い時間だったけど、そのとき確かに、私はあの場所にいた。主人公の少年と して。 あの時、僕は、訳もわからず、何が起きたのかもわからず、ただ泣きじゃくって いた…。 『ドラクエ』シリーズの中で、『4』がどういう位置にあるのかはわからない。 だけど私は、ただあの時に受けた衝撃だけを理由に「『4』が好きだ」と言い 切れる。 私はゲームを遊んでいなかった、私は“実感”していたのだ、僕の身体を、 僕の立場を、僕の心を…。 P.S.〈 私が『はいなるはんたじー』を認めないワケ 〉 あの衝撃は、絶対に『FF』では味わえない。 あんなシーンでは、間違いなくプレイヤキャラが台詞(しかも陳腐な)を吐く だろうから。世界の中に入り込めるはずないじゃないか。一気に醒めちゃうよ。 ロール(役を)プレイ(演じる)なら、主人公にだって台詞はあるだろう。でも、 その台詞をしゃべるのはゲームの中のロールを演じる私でなくちゃいけないんじゃ ないか? 私は劇を見たいんじゃない、その場で演じたいんだ。 すずきさんが発表してきた『南の島のダンジョン』とかで、「主人公がしゃべる」 ってのもいいかな、とは思い始めてますけど、でも『FF』は駄目だな。恐らく、 私は一生『FF』を認めないんだろうなぁ。 何しろ私、スクウェアにいい感情ないからねぇ。「きんぐすないと」とかさぁ。 「すいしょうのどらごん」だって、『さとうげん』センセイの絵じゃなかったら、 絶対に最後までやらなかったぞ。それに、結局DOGで「アルファ」出なかったし …シュウショクシケン、オチタシ(+_+;。
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