mcs(1)


mcs -- オブジェクトファイルの注釈セクションの操作

形式

 
   mcs [-a string] [-c] [-d] [-n name] [-p] [-V] file . . . 

機能説明

mcs コマンドは ELF オブジェクトファイル内のセクション(省略時には``.comment''セクション)を操作するために使用されます。ELF オブジェクトファイル内のセクションの内容に対し追加、削除、プリント、および圧縮を行うため、または COFF オブジェクトファイル内のセクションの内容をプリントだけするために使用されます。mcs には下記のオプションを 1 つ以上指定しなければなりません。mcs は各ファイルに対して各オプションを順に適用します。

使用できるオプションは下記のとおりです。

-a string
ELF オブジェクトファイルの注釈セクションに string を追加します。string に埋め込みブランクを含む場合、引用符で囲まなければなりません。

-c
ELF オブジェクトファイルの注釈セクションの内容を圧縮します。重複エントリはすべて削除されます。残りのエントリの順序が乱れることはありません。

-d
ELF オブジェクトファイルから注釈セクションの内容を削除します。注釈セクションのセクションヘッダも削除されます。

-n name
``.comment''以外のセクションにアクセスする場合に注釈セクションの名前を指定します。省略時には、mcs は``.comment''と指定されたセクションを操作します。このオプションは別のセクションを指定するために使用できます。

-p
標準出力時に注釈セクションの内容をプリントします。プリントされる各セクションには、抜き出されたファイルの名前のタグがつけられます。アーカイブファイルの場合は形式 filename[member_name]: を使用し、他のファイルの場合は filename: を使用します。

-V
標準エラー時に mcs のバージョン番号をプリントします。

入力ファイルがアーカイブの場合(ar(4) 参照)、アーカイブは個々のファイルのセットとして扱われます。例えば、-a オプションが指定された場合、文字列はアーカイブ内の各 ELF オブジェクトファイルの注釈セクションに追加されます。アーカイブメンバが ELF オブジェクトファイルでない場合は変更されません。

アーカイブファイルに関して mcs が実行された場合、-p オプションだけが指定されている場合を除いて、アーカイブ記号テーブルは削除されます。アーカイブを ld コマンドでリンクする前に、-s オプションをつけて ar コマンドを実行し、アーカイブ記号テーブルをリストアしなければなりません。このような状況になったときは mcs が適切な警告メッセージを生成します。

国際化機能

補助コードセットからの文字を``object-files''で使用できます。補助コードセットからの文字を使用する注釈は、-a オプションで指定できます。

使用例

mcs -p file # ファイルの注釈セクションをプリントします。

mcs -a string file # 文字列をファイルの注釈セクションに追加します。

ファイル

TMPDIR/mcs*
一時ファイル

TMPDIR
通常は /var/tmp ですが、環境変数 TMPDIR を設定して再定義できます(tmpnam(3S)tempnam 参照)。

関連項目

a.out(4), ar(1), ar(4), as(1), cc(1), ld(1), tmpnam(3S)

注意

mcs は、セグメントに含まれるセクションの内容を追加、削除あるいは圧縮できません。

-n オプションで name に指定するセクション名には、ASCII 文字だけを含まなければなりません。


SCO UnixWare Forum Beta Release (BL12) -- September 1997
© 1997 The Santa Cruz Operation, Inc. All rights reserved.