













知ってる?空海さん
空海伝説
●四国巡礼の起こりには大師信仰の影響が大きいと言われていますが、その大師の
霊験に関する伝説が数多く語り継がれています。人々はその伝説をも崇め、大師を
深く信仰してきたのです。大師は慈悲深くもありますが、一方で悪者は懲らしめる
という、見方によれば意地悪い話も伝わっています。清水を湧せたり、また木の実
を減らさせたり、食べ物を食べられなくさせたりと内容は千差万別です。(以下は
『巡礼の民俗』武田明著を参考にしました)
●室戸岬の突端の浜には『大師目洗池』があります。この池の水はどんなに日照
りが続いても干あがることはないといわれています。

●昔、大師が室戸で里芋を洗っている女に出会い、一つ分けてくれと頼むと女は
この芋は食べられぬと断りました。そこで大師はその芋を本当に堅くして食べら
れないようにした『喰わずの芋』が、今も最御埼寺に見られます。
●第26番札所の金剛頂寺にある池のカエルは大師に不手際をおかしたのか、鳴き
声を封じられて鳴かなくなったといわれています。

●第26番札所の金剛頂寺にシメ縄を張った大釜があります。昔大師が米に困って
三合三勺の米を入れて炊くと米が釜一杯になったといわれ、今もこの大釜が残さ
れています。
●安芸市の伊与木川のニナガイは貝の尻が尖っていないそうです。これは昔大師
が川を渡った時に大師の足を突き刺したので、それ以来呪文を唱えて貝の尻をな
くしたといわれています。
●南国市後免の西外れにある『御大師井戸』。この井戸の水は塩辛くて飲めなか
ったのですが、大師の念力によって真水になったといわれ、今もその地に石碑が
建立されています。

●窪川の岩本寺近在には口なしのヒルが棲んでいます。これは田植えの時にヒル
が農民の血を吸うので、大師がヒルの口を封じたからといわれています。

●土佐清水市の金剛福寺には大師七不思議の伝説があり、ここにも『喰わず芋』の
話があります。また、『ゆるぎ岩』や海上の安全を祈念した梵字が残されています。

●このような話は数多くあり、中でも「遍路の元祖」といわれている伊予の国の衛
門三郎という長者の話は悲しいものです。
●昔、非常に強欲な人と村人から恐れられていた衛門三郎さんは、托鉢に来た大師
を竹ホウキで打とうとしました。そこで大師の怒りをかい、8人の子供が次々に死
んだそうです。そこで三郎さんは、大師に巡り会ってあやまろうと四国の遍路旅に
出たといい、これが「遍路の始まり」として伝えられています。21回も四国を巡り
ましたが、大師に会うことができずに山道で倒れてしまいました。いよいよ臨終の
極みに大師が現れ、罪業を許されたといわれています。かわいそうな話ですが、た
だ、生まれ変わりの望みを授かり、後年、伊予の若君として再生したとも伝えられ
ています。










96/8/15 (C)高知県