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<日本現代風俗絵巻>
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現在われわれが日常使用している歯ブラシやげたなど、日本の生活文化の断面を示す品々をなる
べく多く5、000年後に残そうという配慮がされたが、これらの物品が、どのようにして使用
され、日常生活のうえでどんな意味を持っていたのか、などという点の伝承について、絵巻物形
式で表現することにした。絵巻物は、日本独特の形式で<絵因果経>や<源氏物語絵巻>をはじ
め、8世紀以後、ことに平安時代以後のものが、数多く残っ ており、それぞれの時代の風俗や
習慣など生活文化を知るにはこれに勝るものはない。新しく作る絵巻物は、これら伝統の絵巻物
の長所をとり、さらに現代の新技術を加味して制作、5、000年の経年に耐えられるように配
慮された。用紙は滋賀県無形文化財の成子佐一郎が特別にすいたがんぴ紙、絵の具はガラスでま
ぶした新岩絵の具などが使用されている。図柄は、四季2巻、人間の一生と、一日の生活が各1
巻で、計4巻。四季は正月行事、お水取り、花見、田植え、夕涼み、台風など日本の春夏秋冬の
移り変わりや行事を、人間の一生は標準的サラリーマンの出生から成人、就職、結婚、子供の養
育、退職、老後、死亡に至る各場面を、人の一日はあるオフィス・レディが朝起きて夜寝るまで
の一日の生活をそれぞれ描いている。各巻幅30cm、長さ7.2mで、絵は京都市立美術大学
の奥村厚一教授と、その門下生である学生たちが描いた。
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