Panasonic Pavilion
座談会

埋蔵を終えて

 ■イントロダクション
 ■五千年の旅路につかせて
 ●埋蔵を終えて
 ●制作の苦心
 ●収納物の選定
 ●あきらめた物
 ●保存の技術
 ●五千年後……さて



――タイム・カプセルは、大阪城本丸跡の地下十五メートルではるか五千年のかなたに向かって 
長い旅路についたわけですが、ここに集まられたみなさんはカプセルの生みの親、育ての親であ 
り、感慨もひとしおと思います。地中に降りてゆく一号機カプセルをみて、いかがでしたか。 
茅 タイム・カプセルは科学技術の結晶ですね。現代の科学文明というものに自然頭をめぐらし 
ました。この百年間の科学は電気を駆使することでできあがった。さてつぎに人間が使いこなし 
てゆくものは何だろうか。これからの五千年で、人間は生命をコントロールできるようになるだ 
ろうか――などとね。 
赤堀 収納物選びの役目をしたものですから、やはり選定小委員会なんかでの楽しいやりとりが 
思い出されました。それから、五千年後の人類がカプセルのふたをあけるとき、どんな気持ちに 
なるだろうか――この想像が実に楽しい。われわれも五千年なんていう先のことは、カプセルに 
たずさわる前は考えたこともなかった。個人の生命はいつか消えるが、収納物選定に参画したこ 
とで、われわれの“考える”という生命作用は五千年後まで残される。なにか生きてきたかいが 
あったような気持で(笑い)。 
奈良本 わたしは、いまの人類は文明の曲がり角にあると思っているのですよ。このまま進歩を 
続けてゆくことが人類にとって幸福なのかどうか。歴史的に一度ここで断絶した方がよいのでは 
ないかと思えてくる。十八世紀にはじまった現代文明が隆盛の頂点にきた。ここでスパッと切っ 
てしまって、その極致にあるものを大阪城の井戸の中に埋込む。歴史的に非常に意味のあること 
だと思いました。五千年後の人たちは二十世紀の後半が、ローマ帝国の末期のようだったという 
かもしれない。 


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