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BHC
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ベンゼンヘキサクロライド。1942年ごろに発見された強力な有機合成殺虫剤。特に日本では、
第二次世界大戦後、極度の食糧不足に見舞われ、米の増産に各種の施策が講じられたが、BHC
が、水稲の重要害虫であるニカメイチュウに効力を有することおよび安価なことから大増産が行
われ、食糧増産に大きく貢献した。しかし1969年になってBHCは異性体中のβ体が特に安
定で残量が多い点から、DDTとともに塩素系農薬による環境汚染、慢性中毒の危険が指摘され、
世界各国とも、その製造、使用を全面的に禁止する傾向にあり、日本でも農薬、家庭用殺虫剤と
しての使用が厳重な規制を受けることになった。農薬としてはDDTとともに長い寿命を誇った
が1970年代前半にはその歴史を閉じるものと 思われる。酸に対しては安定であるが、アル
カリには弱く、鉄イオンが存在すると分解する。節足動物および魚類に接触剤、毒剤およびくん
蒸剤として作用する。収納品は、リンデン99.8%upのものである。
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