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■収納品注釈
DDT
ジクロロジフェニルトリクロロエタン。1939年、スイスのミュラーによって発見された強力 
な殺虫剤。第二次世界大戦(1939年〜1945年)中、戦時最優先産業の一つに取り上げられ、 
アメリカで開発された。有機合成農薬時代の幕を開くとともに、安定しており、しかも安価なこ 
とにより、第二次世界大戦後、世界中に普及した。農薬として果樹、野菜などに広く利用された 
が、脂溶性が高いため、農作物から直接経口的に人体の皮下脂肪層に、また間接的にも牧草から 
家畜を経て、肉、乳に含まれて人体に移行蓄積し、慢性中毒を起こすことが知られるに及んで、 
1968〜1969年、世界各国でその使用制限、もしくは禁止措置がとられるようになった。 
日本においても、1969年末、その製造が自粛されたので1970年代前半には、BHCとと 
もに、その姿を消すものとみられる。しかし全世界的 において、農作害虫をはじめ、マラリヤ 
撲滅を目的とする防疫害虫の駆除に果たしたDDTの功績は偉大で、1948年にはミュラーの 
業績に対してノーベル生理医学賞が授けられている。酸に対しては安定であるがアルカリ条件下 
で脱塩酸される。空気中あるいは紫外線による分解はほどんどみられない。DDTはこん虫類、 
くも類、甲かく類などの節足動物と魚類、両生類などの冷血脊椎(せきつい)動物に接触剤および 
消化中毒剤として作用する。収納品はpp’−DDT 99.8%upのものである。