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[飛天]・[詩曲]
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両曲とも、日本万国博覧会の松下館内のバックグラウンド・メ`ュージックとして、作曲家松村
禎三によって、1969年9月から11月にかけて作曲された。〈飛天〉は、タイム・モiプセル
を展示してある前棟に用いられた音楽。天平様式の堂宇の中、天井は3階まで吹き抜けて天空と
化し、雲形のシャンデリアのもとでカプセルが5、000年の未来への夢を誘う前棟の空間構成
に合わせて、宇宙の無限の神秘性を表現するかのような荘 厳な曲である。編成は、弦楽オーケ
ストラと女声合唱を主体とし、2台のハープ、ピアノ、チェンバロ、セレスタ、その他の鍵盤
(けんばん)楽器等を配している。<詩曲>は、後棟の茶室用に作られたもので、振り袖(そで)
姿の女性が見物客にお点前(てまえ)をさしあげる、休らぎの場に流れ た。前棟の”動”に対
して、日本の伝統的文化による“静”の美を表わし、邦楽器である筝(そう)と尺八の二重奏が
そのふんい気を盛り上げている。この2曲は、特別製作されたゴールデンレコード盤1枚に収納
された。なお、上記の<飛天>、<詩曲>に〈祖霊祈祷(きとう)〉−同じく松村禎三によって
万国博のテーマ館用に作曲されたもの−を加えたLPレコード盤が、<EXPO'70松村禎三>
というタイトルで、日本ビクター株式会社より市販された。
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