Panasonic Pavilion 20世紀から21世紀へ


--- 新しい肉体の神話と美学5/2

伊藤:以前、植島さんは、インターネットでできないことを考える方が重要だという発言をされました。現状を一面化して考えるのではなく、複雑なものは複雑なまま受け止めるある種の感覚、世界を認識するときのベーシックな視点というものが、これからの世紀においてはさまざまなかたちで問われていくと思われます。インターネットでも、メディアテクノロジーでも、情報の問題でも、大きなスパンで考えていくとそれが一過性のように見えるとか、それがいろんなかたちに組み合わさって、例えばインターネットとVRが組み合わさってひとつの次元をつくったり、テレプレゼンスとネットワークが組み合わされて違う位相を用意していくとかが現れてきていますが、いまは、そういうことの大きな模索期に入っているのではないでしょうか。そういう状況のなかでモノとか肉体を通してもう一度新しい磁場に入り込んでいくとか、そういった視点が求められているし、問われているように思われるのです。
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植島:ネグロポンテがすでに1980年頃にいってたことで「通信衛星とかデジタル化によってあらゆるメディアが共通項をもちうる。共通項をもつとすると、ビジュアルとかオーディオとかのあらゆる情報が互換性をもちうるとき、われわれはそれを進化と呼べるのか」という問いかけは、インターネットとかひとつひとつ新しい地平が来るたびに、何度も繰り返される問いだと思うのです。共通項や互換性をもつと、一番危険なのは常に同じところで情報がまわっていて、一か所に情報回路が集まりだすということ。ベイソンの言葉「複数の異なる記述は、常に単数の記述よりも正しい」(ひとつの事象に関してどっちが間違っているか、間違っていないかというより複数の記述の方が常に正しい)という視点が、情報回路が集約されていく過程で欠落していくのではないか。そういう危機感がありますよね。



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