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――開封の仕方もむずかしいでしょうね。
岡崎 なにしろ空気、水、光からしゃ断してあるので、いきなり開いたら、たちまち変質してし
まうような気がします。「だんだんに外気に触れるよう、ゆっくり開封してください」と、外ぶ
たと内ぶたの間に書いてあります。あけた後、内容物をどう処理するかについては、五千年後の
人に考えてもらうことにしました。百年ごとにあける2号機の方には「記録類はすぐに複写して
ください」「カプセル本体の溶接箇所を点検してください」と書いてあります。
古田 しかし、それぞれの時代の人が「むかしの人間にまけてたまるか」ということで、立派な
保存技術を使って残していくでしょう。
茅 百年ごとに別のカプセルを作って、つぎつぎに並べていったらどうでしょう。人間ドックも
一回だけでは効果が薄いんで、定期的にその時点での身体全体を調べてみるのがよいといわれて
います。タイム・カプセルについても同じだと思いますがね。
古田 そういえば、最近、韓国でタイム・カプセルを作る計画が持上がり、日本から“技術導入”
しようといっているそうです。東南アジアの国々でも、タイム・カプセルのことは、よく知られ
ていますからそのうち続々と作り始めるかもしれません。みんな「現代を再認識し、未来を考え
る手段になる」と、もてはやしています。
岡崎 二つのカプセルのうち、一つは三十年後の二〇〇〇年にあけるんですが、生きているうち
に、カプセルの開封に立会えるというわけで、担当者はみな張切りました。五十年後では、さす
がにそんな意欲はわかなかったでしょうね(笑い)。
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