数々の人類の偉大な業績を残した19世紀も幕を閉じよう
としていました。産業革命が起こり、民主主義のうねり 
が広がりつつありました。けれども、大量生産という産 
業システムがもたらした、せわしい生活のペースは、人 
々に過去のロマン主義や純粋さ、地域に固有な文化など 
に対する思慕をつのらせました。そうした思いの一つの 
理想として、自己や社会の進歩の手段として、精神と肉 
体の完成をめざすオリンピックの復興が掲げられたので 
す。そして、教育者であり献身的なヒューマニストであ 
るピエール・ド・クーベルタン男爵がその復興に尽力し 
たのも極めて自然な事だといえるでしょう。