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松下館は、日本万国博覧会会場の
南西端、西口に近く位置し、敷地面
積は 10,313m2で、日本政府館、
ソ連館、アメリカ館に次ぐ広さをも
った出展館の一つであった。道路に
面した入口側を除く周囲を、約1万
本のもうそう竹がうっそうと取り囲
みその内側には人工池が、敷地面積
の約半分にあたる5,000m2を占め
ていた。松下館の建物は、この他
の中に建てられた2棟(とう)から
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なり、建面積2,748m2(前棟1,416m2、後棟その他)1,234m2、、天平時代(西暦
729〜767年)の建築様式を取り入れた堂宇で、その他)屋根の棟(むね)の高さは18.4
mあった。堂宇は鉄骨造りで、破風の付いた軒の深い、胴葺(ぶ)き<の入母屋(いりもや)
の屋根を支え、外装はスチール・サッシに乳白色ガラスをはめていた。松下館の外観は、
さながら浮御堂(うきみどう)のような2棟の建物が竹林と一体となって池面に映り、
さわやかな葉ずれの音とともに、他のパビリオンでは感じられない、日本古来の伝統の
閑静な美しさを見せていた。そして、日中は、端麗(たんれい)な屋根のりょう線と、優
雅な障子風の璧面が陽光に映え、夜間になると、光る壁が、水面に幽玄な姿を浮かべた。
松下館建築設計・監理 日本芸術院会員 吉田五十八
建築施工 (株)大林組・鹿島建設(株)・(株)竹中工務店
照明設計 松下電器産業(株)照明研究所
音響設計 松下電器産業(株)音響研究所
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