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ビタミンB1(オリザニン)
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1910年、東京大学の鈴木梅太郎が、米糠(こめぬか)の中に、脚気(かっけ)に対して有力
な成分が存在することを認め、有効成分の分離に成功。米の学名oryzasativaに基づ
き、oryzaninと命名した。1911年、オリザニンの名称で市販されたが、これは世界
最初のビタミン剤である。同年、C.Funkは、同様に米糠エキスを研究し、生命に必要なア
ミンの意味で、Vitamineと命名したが、これが現在のビタミンの名称の起源になってい
る。成人の1日必要量は1〜2mgで、欠乏すると、脚気、神経炎、食欲不振、心悸 亢進(し
んきこうしん)などがみられる。臨床的には、前期欠乏症の治療に用いられた。さらに日本では、
類似化合物として、チアゾール核の開裂したチオール型B1誘導体が種々合成され、生体内で組
織親和性、持続性のすぐれたものが発見されて従来のB1欠乏症以外に新しい薬理作用による適
応症の拡大が行われた。1968年には、年産593tのB1およびB1誘導体が合成されて、
世界一の生産を誇り、日本人の健康維持に大きな貢献をしている。
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