G.モリスにとって十種競技での優勝が映画界デビ
ューの道を開いてくれました。事の始まりはベル 
リン大会。モリスは、異彩を放つ映画監督として 
名を馳せていたドイツ人のL.リーフェンシュター 
ルと恋に落ちたのです。当時、リーフェンシュタ 
ールはナチスが資金を提供して作らせていた党の 
宣伝用フィルム制作のため、古代オリンピア競技 
が行われていたギリシャの街オリンピアで撮影を 
行っていました。この作品は、オリンピック大会 
の回顧映画として芸術的にも高い評価を得ました。 
一方モリスは、同じく元オリンピック選手で俳優 
のJ.ワイズミューラーに替わって映画『ターザン 
』シリーズに出演し、主役を演じることになりま 
した。 
1988年,ソウル五輪の開会式でのこと。76歳の聖火ランナ
ーが観衆に迎えられてオリンピック・スタジアムに入って 
きました。しかし、その裏には韓国国民にしか分からない 
「ほとばしる感情」が隠されていたのです。さかのぼるこ 
と52年前、韓国のソン・キー・チョンはマラソンに出場し 
2時間4分という成績を残し優勝しました。しかし、これは 
韓国の人々ににがいあと味を残すこととなったのです。 
1936年といえば韓国が日本に併合されていた時代。ソンは、
日本人「孫基禎」でオリンピックに参加することを余儀な 
くされ、表彰式では優勝者の栄誉をたたえ、日本の国旗が 
掲揚されたのです。1936年の金メダリストであるソンにと 
って、本当の意味での「ビクトリー・ラン」は、52年とい 
う歳月を経てようやく実現されたのです。 
重量上げの花形選手でエジプト代表のK.S.エル・トーニは、
2位以下に 35kgの大差をつけてミドル級で優勝しましたが 
その練習方法は「トレーニングをしながら家族の絆を強め 
る」という大変ユニークなものでした。妻を 4人持ってい 
たエル・トーニは、みんなをステージの 4隅に座らせて練 
習に励んでいたというのです。