オリンピック随一の万能選手といえば、女子陸上の
M."ベイブ"・ディドリクソン。ロサンゼルス大会で 
史上初、ハードル、やり投げ走り高跳びという 3つ 
の種目でメダルを獲得するという偉業を成し遂げ、 
「女王」の名を欲しいままに。「ベイブ」というニ 
ックネームは、そのディドリクソンの野球の腕が認 
められて付けられたものでした。80mハードルでは 
世界新をマークし、文句のない勝ちっぷりを見せ、 
続くやり投げでも大会新を樹立し優勝。走り高跳び 
ではJ.シイレーにわずかに及ばず金メダルは逃した 
ものの 2位入賞と健闘しました。先にアメリカで行 
われた選手権大会では、 8種目中6種目で優勝。こ 
れらの競技は全て3時間という短い時間のなかで行 
われ、しかもその間にディドリクソンは世界新を 3 
つもマークしたのです。残念だったのは、当時のオ 
リンピック憲章では女子は 4種目以上の競技に出る 
ことが認められていなかったことです。 


水泳競技では、日本勢が6種目中5種目を制し世界を圧倒しました。特に印
象的だったのは若手選手の活躍ぶりでした。若干15歳の宮崎康二は学校の 
教科書を携えてのオリンピック参加。世界の桧舞台でも冷静な泳ぎをみせ 
て 100m 自由形で優勝しました。 そしてもう一人、 14歳の北村久寿雄が 
1500m 自由形で金メダルを獲得。一気に世界の頂点へ登りつめたのです。 
「14歳の金メダリスト」は水泳界においても史上最年少でした。オリンピ 
ックに彗星のごとく現われた北村少年は、のちに世界労働組合連盟の日本 
代表として活躍しました。