Panasonic Pavilion 20世紀から21世紀へ


--- 人間の意識のフレーム2/1

伊藤:またそこで想像力という言葉が意味をもっていくような気がしますが... 。
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植島:空間の等質性とか、時間の統一性とかに揺さぶりをかけたのがこの20世紀だったはずなのに、そういう大きな枠の座標軸に再び取り込まれているような印象が一方であります。空間は等質ではないと思うし、あるところへ行ったら思考形態が変わったり、耳鳴りがしたり頭痛がしたりとかの感覚変容が起こったりとかは割りと日常茶飯事にあるのに、われわれはそれに気がつかない。それを見過ごして生きていく、そういう習慣を教育でつくられているのではないでしょうか。空間には濃淡があって、ある場所によっては特別な場所とか、それが人間社会をつくる上で大きな役割を果たしてきている気がしています。
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伊藤:人間が行っていることとか考えていることとか、人間の意識とか無意識とかをのせているあるフレームを全体的にとらええるような理論というか、そういうものをえぐりだしたいですね。
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植島:インターネットとかで表現されているのはすべて等質化でね。情報があまねくいき渡るというような、どこにいても情報が享受できるような、そういう幻想をふりまいていると思います。社会を構成している 根本的なものはそうではないのに。大学院の頃にメソポタミアの発掘調査をやっていて気がついたのですが、何千年を経ても聖地というのはまったく変わらないわけで、位置がずれないのです。宗教が変わっても一か所にあり続けるわけです。例えばエルサレムはキリスト教、ユダヤ教、イスラム教ほか百以上の宗教の聖 地なのですが、メッカもそうですが、それらがなぜ動かないかですね。征服民族も必ず同じところを聖地としています。
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伊藤:人間には見えない、聞こえない、感知できないけど、何かがあって、大きな理性みたいな純粋なかたちであって見えないけどある、ということを思考できる。そういう現れがそこにあったんでしょうね。
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植島:われわれの社会がもっている方向性とか、科学技術がいまどの地点まできているかということを表示していくというのは、基本的にはわれわれの時代がいまどこに向かっているか、われわれの社会がどういうふうにつくられているかということを表示することでもあるわけですから。



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