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1970年代から80年代初頭、ボクシングのスーパーヘビー 級で活躍した選手と言えばキューバのT.スティーブンソ ンをおいて他にいないでしょう。彼はオリンピックとア マチュア選手権で頭角を現し、圧倒的な強さを見せまし た。この無敵のボクサー相手に初めて 3ラウンドにまで 持ち込んだ選手といえば、ハンガリーのI.レヴァーニ選 手。ただし彼は準決勝でこの強敵との接触を避けようと リング内をただ必死に動き回っていたというのです。そ んなスティーブンソン選手でしたが、 4度目の防衛は成 りませんでした。と言うのも、1984年のロサンゼルス大 会にキューバは不参加を決めたのです。自国の共産主義 体制に忠実に従っていたスティーブンソンは、同時代の オリンピックスターたちの多くがプロに転向し、スター の座に落ちついていたにも拘わらず、その流れに逆行し、 生涯アマチュアで通しました。彼の友人であり、歯に衣 を着せぬ発言で有名なボクシング界の英雄ムハメド・ア リは、スティーブンソンについて次のように言及してい ます。「プロになっていれば、疑いなく世界ヘビー級の タイトルを獲得していたであろうに、そのチャンスをみ すみす逃してしまったんだ」と。 |
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