弁当とは、出先で食べるために携行できる容器入り軽食のことをいいます。昔 の茶人は懐石の膳組を省略化して、一つのセットに組み、簡略の中にも侘びと優 雅さを失わず、それなりに崩してはならぬ一つの様式を残してくれました。その 中でも京都の代表的な物としては以下の物があげらます。
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1.大徳寺縁高弁当 大徳寺弁当は京都紫野の大徳寺で用いた点心用の縁高弁当です。この縁高弁当 は、四隅を面取り風に折り曲げて、一か所に綴目のある桧板の曲物です。そして 蓋を返せば大徳寺としたためた焼印が目につき、折敷または八寸としても利用で きる風雅なものです。大徳寺弁当は寺院で用いられたものですから、本来は精進 料理を詰め合わせるための弁当であったわけです。一般の会席などで使われ始め てから、献立の内容も変わり、生臭みの少ない魚なども加えられるようになりま した。
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2.松花堂弁当 江戸初期の学僧松花堂昭乗が好んで用いた絵の具箱であったことから、その名 が出たといわれます。松花堂好みといわれる縁高の割籠弁当は、中が十文字の破 子板で四枡に仕切られています。松花堂は単なる割籠弁当をひとつの膳組として、 割籠の寸法を定め、飯や料理を盛る位置を定め、ほこりよけにすぎないと思われ た蓋を裏返し、これを折敷として、吸い物膳に見立て、懐石の食作法にまで向上 させました。 |