ビシュヌ神一族

世界の中心、メール山(須弥山)。
そこに周囲130万キロの全てが黄金と宝石でできているバイクンタという天国がある。池には青、赤、白の睡蓮が咲きほこっている。

この光り輝く天国に、ビシュヌ神とラクシュミー女神は住んでいる。そして鳥神ガルダが二人の乗物として仕えているのである。

ヒンドゥー教徒のうち
ビシュヌ派は、額にシンボルの“V字型の印”を付けている。



【ビシュヌ神】

・インド三大神の一人で世界の維持神。

温厚で、慈悲深く、地上での《不正義や不道徳を正す》ために、さまざまな神格を持った化身となって現れる。特に10化身が有名である。その中には、クリシュナ神、インド叙事詩「ラーマーヤナ」のラーマ王子や、仏教の開祖ブッタ(仏陀)が含まれている。そして、最近ではインド独立の父マハトマ・ガンジーや詩人タゴールをビシュヌ神の化身とする説もある。

ビシュヌ神の重要な武器は、高速に回転している、鋭い刃物をもった円盤チャクラで、ブーメランのように投げて敵を両断してしまう。

仏教では、密教の「毘紐天(びちゅうてん)」として両部曼陀羅の一部に描かれているが、無名に近い。



【クリシュナ神】

・インド人がもっとも愛し、憧れる神。

「黒い神」という意味で、かぐいまれな知恵と美貌の持主。

幼少の頃から不思議な力を示し、インドラ神や悪魔、悪龍を打ち負かし、勇名をはせていた。

また、16,000人もの牛飼いたちとの奔放な恋愛。
そして彼が最も愛した人妻ラーダー。

彼の自由な性格と
音楽、舞踊は多くの人を魅惑しつづけている。

彼は、解脱するための苦行と相反するような信愛(バクティ)の思想を具現化した存在なのである。