創始者・伊勢の与市


 入浴料を取って公衆に入浴させる営業形態の銭湯が登場したのは、安土桃山時代。「そぞろ物語」には、江戸銭湯の創始者として…『天正19年(1591)の夏の頃、伊勢の与市といいしもの、銭瓶橋(ぜにがめばし)のほとりに銭湯風呂を一つ立つる。風呂銭は永楽一銭なり〜』と記されています。銭瓶橋とは、現在の日本橋の付近の事。また、その一年前の天正18年、大阪に初めて「風呂屋」が出現したとの記録もありますが、いずれにしろ、現在の銭湯に連なる公衆浴場の形態は、この当時に始まり、江戸では「湯屋」、関西では「風呂屋」と呼ばれて発達していきました。