福は内、鬼は内 天河神社 日本の民族芸能には鬼が出てくるものが多い。 愛知県の天竜川沿いの山間部に、12月から1月にかけて行われる『花祭』に鬼がで る。そして反閇〈はんべ〉とよばれる力足を踏む。 これは悪霊を鎮める呪法とされ、この鬼に踏んでもらうと健康になると信じられている。 大分県豊後高田市天念寺の『修正鬼会』〈節分〉に鬼がでる。 そして燃え残りの松明で村人の腰を後ろから軽く叩く。これは厄を払うと信じられ、 村人は腰をかがめて鬼の松明を待ちうける。 九十九里浜に近い千葉県匝瑳郡〈そうさぐん〉光町虫生〈むしう〉の広済寺に伝わる 『鬼来迎』〈8月16日〉には地獄の鬼婆がでる。この鬼婆に赤児を抱いてもらうと 、虫がなおると信じられ、母親は舞台の鬼婆に赤児をさし上げて抱いてもらう。また 病弱のものは亡者の役になって、鬼に責められると体が丈夫になると信じられている。
このように、鬼は恐ろしいが、人間に害は加えず、悪魔を払い、村や村人に幸福をも たらす存在として登場する。鬼の恐ろしさに畏怖しながらも、その強い霊力によって 保護されることを願い、荒ぶる神に近い存在として崇めているのである。
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