源氏の君が5年前に須磨に残してきた妻・明石の君と姫君が、たび重なる誘いをようやく受けて、桂の屋敷に移ってきた。源氏は正妻・紫の上の手前、「お寺参り」といつわっては桂を訪れ、姫君の成長を祝って盛大な宴を催す。
「おのおの絶句など作り渡して 月花やかにさし出づるほどに 大御遊び始まりて いと今めかしき。弾き物 琵琶 和琴ばかり笛ども上手の限りし 折に合ひたる調子吹き立つるほど 川風吹きあはせ面白きに 月高くさし上り 万ずのこと澄める夜のやや更くる程に 殿上人四五人ばかり連れて参れり」