ャトランガから派生した2人制将棋は西方に向かい、ペルシアに伝わってほぼチェスに近い「シャトランジ」になりました。3ルートのうち、このルートは交易ルートとして早くからひらけ、最も早い時期であったようです。記録として確認されるのは、6世紀中葉、ペルシアの「チャトラング」。これが7〜8世紀には「シャトランジ」と呼び名が少し変わりました。

ヨーロッパへの道筋は、スペインを征服したアラブ人による「北アフリカルート」と、ペルシアから西北へ向かう「東ヨーロッパルート」がありました。

現在、チェスのクイーンは、タテ、ヨコ、ナナメ自由に動ける大変強い駒ですが、これはシャトランジのワジールも同じでその昔4人制から2人制に移行したときに余った2つの王に大きな機能をもたせて側近にしたことの名残だといわれています。チャトランガの象隊の駒はビショップ(僧侶)になり、戦車はルーク(砦)になりました。

     チェス
   ◆盤 8×8路 
   ◆駒数 32 
   ◆駒の名称 
  キング、クイーン、ビショップ、
  ナイト、ルーク、ポーン(6種類)

    シャトランジ
   ◆盤 8×8路 
   ◆独楽数32 
   ◆駒の名称 
  ラージャー=王、ワジール=将、
  フィール=象、 ゴーラ=馬、
  ペデアル・セーブ=歩兵、
  ルク=方向  (6種類)

<図>
  1. スコットランド、ルイス島で発見された「ルイスの駒」。美術品としての価値も高い
  2. 騎兵がラクダに変容したイスラエルの駒氏蔵)
  3. アフリカ彫刻として見ても楽しいタンザニアの駒
  4. スペインの歴史を反映したイスラム教(三日月)とキリスト教(十字架)の対戦
  5. なぜか東洋的なダマスカスの駒
  6. フィリピンでは馬が水牛に、塔がヤシぶきの家に変わる。