アデールは軍人で電気技術者だった。この19世紀テクノロジーの徒は、重力に対し蒸気機関で対抗したのだ。

1890年10月9日、蒸気エンジンつきこうもり型飛行機<エオル>で実験し、本人の乗った<エオル>は、50mほど飛行し、地面から浮き上がった。と本人は主張するが、わたしの見たところ、飛行といえるしろものではなかった。けたたましいエンジン音とともに50m走ったにすぎない。しかし彼の反省は、馬力不足だった。もっと馬力さえあれば…。と思っていたようじゃ。

彼の作り上げた1892年2号機、1897年3号機は、いずれも強力な蒸気エンジンを積んでおった。しかしすべてうまくいかなかった。