1996年3月20日 日本を発つ関野吉晴に聞いた
「今年のThe Great Journey」
やっぱりアメリカという国は、今までの南米とは違ったところですね。南米も特殊なところかもしれないけれども、北米も特殊な国ですよね。その、南米の場合は日本と同じように歴史のある国、といいますか、 もちろん(北米も)アメリカインディアンは住んでいたんだけれども、大きな文明が起こらなかったところに、大量に移民が来て、それで、南米と違うのは、人種間で混血しなかったということだと思うのです。白人と、黒人と、それから、その、モンゴロイドの、インディアンがね。南米の場合は、まずモンゴロイドがいて、スペイン人がやってきて、それで黒人が労働力として連れて来られて、それが、混血して、それでいろんな形で、人種的にもいろいろな人間をつくったし、文化的にもいろいろな文化をつくってね、非常に複雑な文化をつくったのだけれども、それが、アメリカでは、プロテスタントだということと、ヨーロッパ(から来た人たち)でも、北の方なんでね、違う形で現われてきた、と。文化的な面でも、人種的な面でも。そういう違いがあるんで、(南米と)比較してみたら、面白いのではないか、と。
コロンビアのあたりからなんとなく、暴力的な感じがしてきたんですよ。車の走り方、とかね。ピストル強盗に襲われたりとか。で、そういうのがやっぱり、カナダに抜けるまで、続くんじゃないか。南米でもね、エクアドル南部・中部で、この前、ペルー人と一緒に、ピストル強盗にあったんだけど、(ペルー人の同行者は)ピストル突きつけられたの、初めてだって、言うわけですよ。僕はベネズエラでもやられてるし、コロンビアでもやられてるし、たぶん中米とか、米国行ったら、銃がひんぱんに出回ってるんじゃないか、と不安ですね。それから、言葉、まあ、慣れれば大丈夫だと思うんですけども、英語を話すのと聞くの、慣れてないもんでね.....
今年は中米、アメリカ、カナダ、あと国ではないですけどもアラスカ-時間的にはアラスカに一番時間をかけると思います。前回、南米の場合は、ここへ行けばこういう人達に会えてって、いうことが分かっていたんだけれども、今回、北米は初めてなので、分からないことばかりなのです。...おそらく、中米全部素通りしてみて、そこで、面白いところがあったら留まってしまうか、一旦アラスカまで行って、戻ってきちゃうかの、どちらかになると思います。....特にここにって、いうのは、今は決めていません。....情報が多すぎるんでね...やっぱり中米、北米の場合は。だから、どこが本当に面白いのか、分からない。どこに時間かけていいのか分からない、っていうのがあるんですよね。結局、人が見たり聞いたりしたものを聞いても、あんまりあてにならないんでね。自分で見て、話しして、歩いて、それで確認して、ここが面白そうだ、と思ったら、そこに時間かけるつもりですけどね。
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