関野吉晴からの報告
オリノコ
 南米三大河川のひとつオリノコ川は、規模こそアマゾンにはかなわないが、上流や中流には豊富な自然が今も太古の姿をとどめている。

    ベネズエラとブラジルの国境地帯に住むヤノマミ族は11万平方キロと言う広大な地域を頻繁に移動し、離合集散を繰り返してい南米熱帯低る。このため正確な数字は分かっていないが、2万人前後の人達が暮らしていると推定されている。南米熱帯低地に暮らす先住民たちの人口は、およそ40-50万人と言われているが、ほとんどの種族は多くて数千人、あるいは数百人からなっている。 ヤノマミ族は南米の熱帯低地では最大級の部族といってよい。

人口が多いだけではない。ごく一部の人たちを例外として、最近まで外部社会との交渉はなく、彼ら独自の文化をかたくなに守り、生き生きと暮らしている。 しかし1980年代後半に金鉱が発見され、ガリンペイロ(金堀り鉱夫)たちが彼らの土地に侵入してきて状況は変わりつつある。

    パリマ山中に、マイアミに本部を置くプロテスタントの新部族伝道団の布教基地がある。3人の牧師が常駐している。彼らはヤノマミ語をマスターし聖書をヤノマミ語化している。それでも聖書の教えをヤノマミ族に伝えるのは困難だ。南米の先住民でヤノマミ族ほど自由奔放で感情を行動に移す人達はいない。 別の村でカトリック神父に向かって”お前なんか嫌いだ。”と面と向かって言っているのを聞いたことがある。ヤノマミ族の行動様式は”目には目を、歯には歯を”だ。実際1990年までは日曜日に行われるミサにヤノマミ族の誰一人として現われたことはなかった。

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