関野吉晴からの報告
ボリビア高地平原
チチカカ湖とその水が流れ出て潤す地域をアルチブラーノ(高地高原)と呼ぶ。チチカカ湖畔ではかつてティワナコ文明が栄えた。現在も潅漑設備が完備し、農業が行われ、人工密度も高い。ボリビアは中南米の中で最も先住民族の人工比率の高い国で、1994年からは先住民アイマラ族が副大統領になった。なかには実業家として活躍している者もいる。しかし多くの先住民族は昔ながらの生活を続けている。

一方、南部は水がほとんど蒸発してしまい、塩湖、塩原を形成し、湖や自然の造形もカラフルで、絵画のような世界が続く。乾燥が著しく、夜間の気温の低下が激しい。そのうえ土壌も塩分を多く含み、農耕には適さず、ヒツジ、アルパカ、リャマなどが放牧されている。とくにチリ、アルゼンチンとの国境地帯では、道らしい道もなく、家畜の放牧さえできない。ごく一部の地域で零細鉱山労度社が硫黄などをほっているにすぎない。

ユンガと呼ばれるボリビア国内でも温暖な地域に位置している。人口およそ800人、そのほとんどが黒人。16世紀にポトシの銀山で奴隷として働かせるために、たくさんの黒人がアフリカ大陸から連れてこられた。ところがその多くは高度と寒さに順応できなかった。白人たちは彼らを温暖なユンガに移し農業労働をさせることにした。彼らの子供がユンガ地方にいまも暮らしているのだ。その数1万7千人と言われている。

また、そのユンガ地方は温暖な気候から農業が有名なコカの産地でもある。コカはほとんど病気にやられることのない強い作物でもある。簡単に代替作物に乗り換えるわけにはいかない。ボリビア高原で働く人たちが遥か以前から伝統的にかみ続けてきたものなんです。

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