画図百鬼夜行 陽之巻

(国立国会図書館所蔵)

石燕曰く 奥州安達原にありし鬼。古歌にもきこゆ。
解説 安達ヶ原の鬼婆といった方が通りがよいでしょう。かつて、宿を 求める旅人に対して昼間は親切な老婆のふりをして、夜になると 殺して食べてしまう恐ろしい鬼婆が住んでいたということです。 東光坊祐慶という坊主がこれを成仏させ、弔うために塚を作った ということです。それが現在の福島県安達ヶ原黒塚であり、観音寺 であるそうです。
「みちのくの安達原の黒塚に鬼こもれりときくはまことか 平兼盛」 (「大和物語」巻五十八)とか謡曲「安達原」もあり、有名な伝説 といえるでしょう。