百鬼徒然袋 巻之上

(国立国会図書館所蔵)

石燕曰く 鄭瓜州の瓜田に怪ありて、瓜を喰ふ霊隠寺の僧これをききて符をあたふ。 是を瓜田にかくに、怪ながくいたらず。のち其符をひらき見るに、李下不正 冠の五字ありと。かつてこの怪にやと、夢のうちにおもひぬ。
解説 「徒然草」の第六十六段では、「初雪といへども、沓の鼻のかくれぬ ほどの雪には参らず」とあり、このあたりから連想された妖怪かも しれません。
石燕の言葉にあるのは、「瓜田に沓を入れず、李下に冠を正さず」と いう格言を元にしたものです。格言との連想から、瓜田に出たのは沓の 妖怪であろうかと夢想したのでしょうか。
画の下部のもぐらか山鼠のような妖怪は、「百鬼夜行絵巻」 (真珠庵蔵)の沓の妖怪を参考にしているように思われます。