百鬼徒然袋 巻之上

(国立国会図書館所蔵)

石燕曰く 白うるりは徒然のならいなるよし。この白うねりはふるき布巾の ばけたるものなれども、外にならいもやはべると、夢のうちにおもひぬ。
解説 石燕の言う「しろうるり」は「徒然草」第六十段の真乗院の盛親僧都の 話のようです。すなわち、「この僧都、ある法師を見てしろうるりと いふ名をつけたりけり。「とは何物ぞ」と人の問ひければ、「さる物を 我も知らず。若しあらましかば、この僧の顔に似てむ」とぞいひける」と いうことで、言葉感覚の遊びのようなものでしょうか。
白容裔は古ぞうきんのお化けで、悪臭を放ち、空を飛んで人にからんで くるようですが、たぶん石燕が「しろうるり」から言葉の連想で 思いついた妖怪でしょう。