百鬼徒然袋 巻之上

(国立国会図書館所蔵)

石燕曰く 天井の高は灯くらうして冬さむしと言へども、これ家さくの故にも あらず。まつたく此怪のなすわざにて、ぞつとするなるべしと、夢の うちにおもひぬ。
解説 石燕の言う「天井の高は灯くらうして冬さむし」は「徒然草」 第五十五段の「天井の高きは、冬寒く、燈暗し」を指しているようです。
天井嘗は、人が寝ている間に天井を嘗める妖怪ですが、嘗めた後が シミとして残るようです。逆に天井にできたシミを見て、誰かが なめたんだろうかというのが、天井嘗の現れた理由でしょうか。天井に 関連した妖怪には、今回収録していませんが、「続百鬼」の中に 「天井下がり」という妖怪の画も描かれています。