百鬼徒然袋 巻之上

(国立国会図書館所蔵)

石燕曰く 北海に鴟吻と言へる魚あり。かしらは龍のごとく、からだは魚に似て、 雲をおこし雨をふらすと。このからかさも雨のゑんによりてかかる 形をあらはせしにやと、夢のうちにおもひぬ。
解説 唐傘のお化けは現在でも有名な妖怪の一つで、目が一つで赤くて長い舌を だし、手が二本、足が一本で高下駄を履いて飛び跳ねる姿が印象的です。
石燕の画ではそこまで一般化していない姿を描いています。傘のお化けが いつ頃から有名なのかはよくわかりませんが、「百鬼夜行絵巻」 (真珠庵蔵)には頭が閉じた破れ傘で、体が人間で下駄を履き、杖を ついた妖怪が描かれていますが、その絵では人間に近い体になっています。