今昔百鬼拾遺 雲之巻

(国立国会図書館所蔵)

石燕曰く 凡深山幽谷の中にて一陣の魔風おこり、山鳴、谷こたへて、 大石をとばす事あり。是を天狗礫と云。左伝に見えたる宋に おつる七つの石も、うたがふらくは是ならんかし。
解説 誰もいない山中で突然に大音響がして、石や砂がつぶてのように 降ってくることを「天狗礫」といいます。これは、山に不浄を 持ち込んだとき、あるいは山で猟をしよう としたときの、天狗の 怒りあるいは警告だといわれます。
時には民家のあるところにもおこるようですが、それは「そらつぶて」と いって狐かの しわざであろうといわれています。