今昔百鬼拾遺 雲之巻

(国立国会図書館所蔵)

石燕曰く 僧の妻を梵嫂といへるよし、輟耕録に見えたり。ある山寺に七代以前の 住持の愛せし梵嫂その寺の庫裏にすみゐて、檀越の米銭をかすめ、 新死の屍の皮をはぎて餌食とせしとぞ。三途河の奪衣婆よりもおそろし おそろし。
解説 ある山寺に、七代よりも前の住職の妻という女がやってきて、 庫裏(住職の居間)に住みつき、寺へ来る人々の持ってくる米やお金を かすめ取っていました。その貪欲さのせいか、死んだばかりの死体の皮を 剥ぎ取って食べる恐ろしい鬼婆に変わってしまったそうです。 この鬼婆のことを古庫裏婆と呼びました。