今昔百鬼拾遺 雲之巻

(国立国会図書館所蔵)

石燕曰く 山谷にあり。その花人の首のごとし。ものいはずしてただ笑ふ事 しきりなり。しきりにわらへば、そのまま落花すといふ。
解説 中国から伝来した妖怪のようです。人知れぬ山奥で、多くの花を さかせています。その花の一つ一つが人の首のようで、 笑ったりしています。あるいは笑いすぎて、そのまま枝から落ちて しまう首もあるとか。
人面樹に関する伝説はアジアの国々にも残っています。中国には、 人参果という赤ん坊のなる木が登場します。インドやペルシアの伝説には、 おしゃべりの木とか、若い娘の首が数多く枝についているワクワクの 木があるとされているようです。