今昔百鬼拾遺 雨之巻

(国立国会図書館所蔵)

石燕曰く 大政入道清盛、ある夜の夢に、されかうべ東西より出て、はじめは 二つありけるが、のちには十、二十、五十、百、千万、のちにはいく 千万といふ数をしらず。入道もまけずこれをにらみけるに、たとへば 人の目くらべをするやう也しよし。平家物語にみえたり。
解説 「平家物語」巻五の「物怪之沙汰」に記されていますが、平清盛が 福原に遷都して、いろいろな怪異が現れたようです。大面の女の他に 千万のどくろが現れて清盛をにらみつけたが、逆に清盛もにらみ返した ということです。平家一族に滅ぼされた貴族や武家の恨みが 現れたのでしょうか。