今昔百鬼拾遺 霧之巻

(国立国会図書館所蔵)

石燕曰く 西国の海上に船のかかり居る時、ながきもの船をこえて二三日も やまざる事あり。油の出る事おびただし。船人力をきはめて此油を くみほせば害なし。しからざれば船沈む。是あやかしのつきたる也。
解説 「あやかし」は海の妖怪で女性に化けた例もありますが、一般には海上で 大きなもの、船や磯や瀬や怪火、ある時は山のようなものに化けるよう です。あやかしの化けた船や山には避けて通ると害を受けるので、逆に つっこむのが良いとされているようです。
たらいと水で供養すれば消え失せるとか、オカマサマの灰を撒けば よいそうですが、灰が穢れていると効果がないようです。タデ箸を 振るうとか節分の豆を撒くと難を逃れられるという地方もあります。