今昔百鬼拾遺 雨之巻

(国立国会図書館所蔵)

石燕曰く 論語曰、「郷人儺朝服而立於そ階」

註儺所以逐疫周礼方相氏掌之
解説 平安時代のことですが、十二月晦日の夜には禁中において疫鬼を 追いはらう追儺(ついな)と呼ばれる儀式が行われます。これは 「鬼やらい」とも言われ、一年の疫鬼を追いはらうための儀式です。
この儀式では、頑強な男が方相氏になって、黄金四目の仮面をつけて、 服装は玄衣朱裳で、左右の手には盾と戈(ほこ)をもって、「鬼やらい」 と大声あげて戈と盾とで振り払い、桃の弓を射て疫鬼を追い払う役割を します。
方相氏は無形の疫鬼を追い払う役割でしたが、時代がたつにつれて、 その恐ろしい姿から方相氏自体が疫鬼とみなされて、駆逐されるように なってしまいました。またその後、鬼をはらう「節分の儀式」にも 結びつけられたようです。