今昔百鬼拾遺 雨之巻

(国立国会図書館所蔵)

石燕曰く 翠帳紅閨に枕をならべ、顛鸞倒鳳の交あさからず、枝をつらね翼を かはさんとちかひし事も佗となりし胸三寸の恨より、七尺の屏風も 猶のぞくべし。
解説 屏風といえば寝室にあって、いろいろな秘め事をみてきたものである ようですが、それがなんらかの魂をもったものでしょうか、恨みを もったものでしょうか、情事のときに屏風の上に現れて覗くようです。 どうも女性の姿をしているようです。
秋田県に伝わる話では、長い髪をたらした痩せた女が覗き込んでいたと いうことで、たいそうな美人を妻にした武士が結婚初夜から毎晩覗かれた そうです。しかし、屏風を取り除くと出なくなったそうです。覗きの他に 悪さをしないようですが、覗かれ続けるのも困りものですね。