画図百鬼夜行 陰之巻

(国立国会図書館所蔵)

解説 中国では「狸」という漢字は猫(大きな山猫)のことであったよ うですが、日本に入り、今のタヌキのことになったようです。中 国の狸はとても獰猛で人を食い殺す妖怪の類ですが、日本の狸は どちらかというとユーモラスな妖怪?になっています。狸 が不思議な力を持っているという話は、平安時代の「日本霊異記」 にもすでに載っているようです。
日本では全国的に狸が化ける話が残っています。いろいろと化け ますが、狐が女性に化けることが多いのに対して、狸は男性それ も僧、坊主に化けることが多いようです。人をだましたり、食い 殺すものもありますが、なかには、僧になりすまして、勉学に励 んだりするものもいたようです。狸であることがばれても、その まま寺に受け入れられた狸もいます。
麻布七不思議のひとつに「天現寺の狸囃子」があり、江戸時代、 麻布は化け狸で有名な一帯で、現在でも狸穴(まみあな)や狸坂 といった地名に残っています。