百鬼徒然袋 巻之下

(国立国会図書館所蔵)

石燕曰く 聖徳太子の時、秦の川勝あまたの仮面を製せしよし。かく生けるがごとく なるは、川勝のたくめる仮面にやあらんと、夢心におもひぬ。
解説 秦川勝は猿楽の祖とされていますが、中世以降、猿楽の能と呼ばれ、 略して能あるいは能楽ともいいます。能では多くの場合様式化された 仮面をつけて、謡(うたい)をうたいながら囃に合わせて演じます。 能面は翁、古牛尉(こうしじょう)、中将、小面(こおもて)、 般若(はんにゃ)、悪尉(あくじょう)というふうに名前と役割が 決まっています。
面霊気は、すぐれた古い面に宿る神霊のようで、お面をていねいに 扱うように持ち主に頼むそうです。