今昔百鬼拾遺 雲之巻

(国立国会図書館所蔵)

石燕曰く 軽大臣遣唐使たりし時、唐人大臣に唖になる薬をのませ、身を 彩り頭に灯台をいただかしめて、灯台鬼と名づく。その子弼宰相 入唐して父をたづぬ。灯台鬼涙をながし、指をかみ切り、血を 以て詩を書して曰、

我元日本華京客 汝是一家同姓人
為子為爺前世契 隔山隔海変生辛
経年流涙蓬蒿宿 遂日馳思蘭菊親
形破他郷作灯鬼 争帰旧里寄斯身
解説 灯台鬼の話は、「平家物語」や「源平盛衰記」の俊寛の話に挿話として 入っているようです。軽大臣は由来がわからないのですが、石燕の記述は 「和漢三才図会」の薩摩国、鬼界島の中の記述を参考にしているようです。