百鬼徒然袋 巻之下

(国立国会図書館所蔵)

石燕曰く 明皇あるとき書を見給ふに、御机の上に小童あらはる。明皇叱したまへば、 臣はこれ墨の精なりと奏してきへうせけるよし。此怪もその類かと、 夢のうちにおもひぬ。
解説 猪口は酒を飲むときの小さな杯のことです。暮露はぼろぼろ、 ぼろのじともいわれる托鉢僧で、虚無僧の前身かと思われます。
猪口暮露も石燕の創作でしょうが、猪口を編み笠のように被った 小さな暮露がたくさん机の上を歩き始めるような画です。このような 妖怪は「硯の魂」 にもあった通りです。また暮露に関する妖怪は 「暮露々々団」にもありました。