今昔百鬼拾遺 雲之巻

(国立国会図書館所蔵)

石燕曰く もののけある家には月かげに女のかげ障子などにうつると云。荘子にも 罔両と景と問答せし事あり。景は人のかげ也。罔両は景のそばにある 微陰なり。
解説 物の怪の棲む家には、月の光で女の影がうつるそうです。 男だけで暮らしている家には、「影女」が棲みつくことがあり、 月夜には影だけが現れるようです。
石燕の文章の中の荘子は「斉物論篇」にある有名な話です。 「もうりょう」は「続百鬼」に描かれている妖怪ですが、ここでの 「もうりょう」とは影の縁の、影の部分で も光の当たる部分でもない曖昧な領域のことです。