画図百鬼夜行 陰之巻

(国立国会図書館所蔵)

解説 天狗は河童、鬼と並んで日本の妖怪の代表選手といえるでしょう。 山の妖怪の代表でもあります。
天狗は、もともと中国では狸かアナグマのような獣の妖怪だったり、 史書における凶星をあらわすものであったりします。しかし、 日本に入ってきて、仏教的な要素や修験道の要素が入り交じり、 日本独特の天狗像が成立しました。また、山の民への恐れ も入っているようです。一説には、仏教僧がいろいろな執着、妄念を 捨てきれずに死ぬと極楽に行けず、魔道「天狗道」に落ちて、天狗に 生まれ変わるといわれます。その中にも善天狗と悪天狗があるようです。
天狗にもいろいろ種類(階層?)があって、鞍馬天狗、大天狗、 烏天狗、木の葉天狗、飯綱などに分けられます。また、江戸時代の 「天狗経」によると12万5千5百の天狗が棲んでいるそうです。
松本地方では、天狗は鯖が嫌いなので、天狗にさらわれそうになった ときは「鯖食った鯖食った」といえばよいそうです。鯖が嫌いなのには 何か理由があるのでしょうか?