画図百鬼夜行 風之巻

(国立国会図書館所蔵)

解説 牛の頭を持った鬼ですが、一般にはなぜか海の妖怪とされ ていて、人間や船を襲う妖怪のようです。西洋のミノタウ ルスのような姿でしょうか?また、地方によっては氏神と しても存在しているようで、宇和島では牛鬼祭という氏神 の祭礼が行われるそうです。鹿児島県の大隅半島や奄美大 島にはウンムシ(海牛)、ナマトヌカヌシと呼ばれる牛鬼 のような牛神が祀られていますが、この牛神は八角八足八 尾という特異な姿をしているそうです。
「枕草子」の「名おそろしきもの」に書かれている窮鬼 (いきすだま)が牛鬼にあたるとされています。浅草寺傍の 牛御前社の縁起にも牛鬼の出現が記されています。牛御前社 の祭神は素戔嗚尊(すさのおのみこと)で、牛頭天王(ごず てんのう)ともいいます。はたして牛鬼の伝説とどのように 関係しているのでしょうか?
牛鬼は山にも存在していて、熊野地方では、人に会うと 見つめて去らず、見つめられた人は疲労して死ぬそうです。 これは「影を飲まれる」といわれ、牛鬼に見つめられた時は 「石は流れる、木の葉は沈む、牛は嘶き、馬吼ゆる」と逆さ 言葉を唱えればよいと南方熊楠も書いています。