今昔百鬼拾遺 雨之巻

(国立国会図書館所蔵)

石燕曰く 黄帝東巡し、白澤一たび見る。怪を避け害を除き、靡く所捫せず。
摸捫窩賛
解説 はるかな昔、中国の黄帝が蚩尤をほろぼした後に東巡したときに、 桓山付近の海岸で白澤(はくたく)という神獣にあいました。白澤は 人間の言葉を理解し、あらゆることを知っているそうです。黄帝が世界の 鬼神について尋ねたところ、あらゆる時代、あらゆる世界の11520 種類の妖怪について語りました。黄帝はこれを図に写して天下に広めました。
この図は「白澤図」と呼ばれ、かなりの後世まで伝わっていて、得体の 知れない妖怪の正体をあばくのに使用されていました。干宝の 「捜神記」には呉の諸葛恪が「白澤図」の知識から妖怪をあばいた話が 出ています。