百鬼徒然袋 巻之中

(国立国会図書館所蔵)

石燕曰く 諺に沙弥から長老にはなられずとは、沙弥渇食のいやしきより、国師 長老の尊にはいたりがたきのたとへなれども、是はこの芸にかんのうなる 人の此みちの長たるものと用ひられしその人の器の精なるべしと、 夢の中に思ひぬ。
解説 「沙弥から長老にはなられず」という諺は、突然にえらくはなれない という意味ですが、どうも沙弥と三味の発音から思いついた妖怪の ようです。名人が使った楽器は魂を持つのでしょうか。これは前の 「琴古主」「琵琶牧々」にも言えることかもしれません。